「話があるんだが」
「はい?」
これから台湾に戻るらしいという彼が、そう言った。
…正直今回の一件でしか関わったことがなかったから、
改めて話なんて、いったい何だろう…と思わなくもなかった。
「今から、少しいいか」
「はい、大丈夫です」
けれど特に用などはないから、あたしはそう答えたのだ。
――人目につかないところまでやってきて、ようやく彼は本題に入った。
「お前に一つ、提案がある」
「提案、ですか?」
聞き返したあたしの言葉に頷き、彼は言葉を続ける。
「俺と一緒に、台湾へ来ないか」
「…………え?」
一瞬何を言われたのか、よく解らなかった。
それが顔に出ていたのか、彼はもう一度言う。
「俺と一緒に、台湾へ来てくれないか」
「え、あ、あの……」
一体どうして、彼の中でそういうことになったのだろうか。
何も答えられずにいると、彼は、少し笑った。
「お前のことが、気に入った」
だから、連れて帰りたい。
「え、で、でも……」
あたしはただの候補生で、ただの高校生で。
特に優れた祓魔師というわけでもないし、一緒に台湾へ行くという意味が解らない。
それを遠回しに言ってみると、彼はこう答えた。
「意味はある。
俺が、お前を気に入ったからだ」
いや、それがよく解らないんですってば…!
つっこみたいのをこらえ、何も言えず黙っていると。
「……嫌か?」
「……!?」
急にあたしを抱き寄せ、耳元でささやくようにそう言った。
「あ、う……」
どうしよう、どうしよう…!
「俺と行くのは、嫌か……?」
もう一度問われる。
「い、嫌じゃ、ない、です……」
あたしにはもう、こう答えるしかなかったのだ。
捕らわれてしまった
(一瞬の、出来事だった。)
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劉さんです。
映画を見て以来、すげーハマっています。
かっこいい!!
たまたまツイッターで誕生日が発覚したので、便乗してみました。