『何か欠けているとあなた自身が思うのなら、』
思うのなら?
『取り戻すべきだと思う』
「やはり、そうか……」
問いかけに対するその人の答えは、予想通りだった。
私には何かが欠けている…
否、何かを失っているのではないか。
思い出さないでいるのでは、ないか……。
それが自分でも解っているのに、行動に移せないのは。
私自身が、それを、怖いと感じてしまっているからだ。
「……だが、このままでいいわけがない」
答えが解りきっている問いに、真摯に答えてくれた。
彼女は、いつだってそうだ。
我々が迷ったとき、いつもそうして導いてくれる。
『あたしはただ、思ったことを言っているだけです』
そうだ、彼女はいつだって。
思ったことを口にしているだけだという。
だが、だからこそ心に響いてくるのではないか。
私は、そう思っていた。
「取り戻すべき、か……」
彼女の言うとおり……
やはり、取り戻すべきだ。
私は何をやっていたのだろう…
迷っている暇など、ないはずなのに。
「すぐに向かわなければ」
「失礼します…少し、よろしいですか」
彼女を訪ねると、少し驚いたような顔をした彼女が現れた。
「あ、あの……
さっきは、すみません」
そして、開口一番に謝罪を述べる。
「どうして、あなたが謝るのですか」
「だって、その……
偉そうなことを言ってしまったから」
そんなことは……
「そんなことは、ありません。
私は、あなたの言葉でようやく決意できたのです」
「え…?」
私の言葉に、彼女が目を丸くする。
「私は…自分の失っているものを、取り戻そうと思います」
「……!」
これから、すぐに。
「それで申し訳ないのですが……
あなたも、共に来て頂きたいのです」
もう恐怖は無い。
ただ、あなたにも知ってほしいから。
私という存在を。
今は失っている、これから取り戻そうとしている「私」という存在を。
「……解りました」
一緒に、行きましょう。
力強く答えてくれた彼女と共に、私は歩き出した。
彼の陰陽師のもとへ。
私がそれを取り戻しても、
(あなたならば、きっと 受け入れてくれる)
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幸鷹さんです。
けっこう前にプレイしたので曖昧なんですが(オイ
この人のルートには色々びっくりしましたね。
まさか!みたいな。