「おはよう!」
「ああ……おはよう」
今日は日曜日なので、この人の仕事はお休み。
だけど、こんなに朝早くから起きてくるのは、
きっとそういう性分……なのだろう、と思う。
「今朝も早いんだな」
「そうかな?」
あなたに比べれば、そうでもないよ。
「ねえ、朝ご飯食べて一息ついたら、お散歩に行かない?」
「散歩?」
「うん」
今日は朝から晴れているから、気持ちいいと思うんだ。
「そうだな……そうしよう」
微かに笑って、そう言ってくれた。
「じゃあ……朝ご飯の準備するね」
「ああ、頼む」
そうしてあたしたちは朝ご飯を食べ、
一息ついたあと家を出た。
「朝は寒いかなって思ってたけど、
日なただったらあったかいね」
「ああ」
まだ昼間は暑い日があったりするけれど、それでももう10月なのだ。
朝晩は冷え込むようになり、すっかり夏も終わったのだと自覚する。
「あ、見て」
「ん?」
あたしたちは、公園にやってきた。
そこで見つけた黄色の花を指さし、あたしは言う。
「かわいいね。なんてゆう花かな」
「そうだな……
何度か見たことはあるが、名前までは解らないな」
今度調べてみるね。
そんななんでもない言葉ひとつひとつに、
ちゃんと頷いて答えてくれる。
あたしは、それがいつも嬉しかった。
「……おめでとう」
「?」
あたしの唐突な言葉に、珍しくきょとんとする。
「お誕生日、……おめでとう」
「ああ……ありがとう」
今度は意味を解ってくれたようで、そう答えてくれた。
――年に一度、この日に。
この大切な日にあなたの隣に居ることができて、
どんなに嬉しいだろうか。
どんなに、幸せだろうか。
あなたに、それが少しでも伝わっているといいな…。
「……あと一回りしたら帰ろう」
「うん!」
そうして自然とつながれた手は、大きくて温かかった。
特別なことなど要らない
(お前が居れば、それで。)
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ブログ掲載SSの再録です。
手塚部長のバースディ夢として書きました。
テニプリページに掲載中の2011年バースディ夢「ありがとう」と
同じ設定を思い描きつつ書きました。
別にそちらを読んでいなくても、大丈夫なんですが。
部長はあたしの中で永遠に部長だし、永遠に好きだと思います。
本当に揺るがない。
ネタは出来ているので、余裕が出来たら原作沿いっぽい長編を書きたいです。