「ねえ、」
どうして、
「どうしてあなたは、」
そうやっていつも、無理をするの。
あたしが心配で心配で仕方がないと思っていること
知っているくせに。
どうして、そうやっていつも無理をするの。
「……知らねーよ」
んなこと、知らねーよ。俺は。
「どうして、」
だって、他でもないあなたのことなのに。
どうして知らない?
どうして、答えてくれない……?
「お前が心配してくれてることは、解ってる」
それならば、
「お願いだから、無理はしないで……」
あなたが傷つくのを、もう見たくないの。
お願い。
お願いだから、……
「俺だって、いい年して無茶はしたくねーよ」
でも、譲れねェときがあるんだ。
譲れねェものが、あるんだ。
だから、
「だから、そのためなら、無茶だってすんだろーな」
たぶん、これからも。
「そんな……」
じゃあ、あたしは。
あなたのいちばん近くで、あなたが無理するのを、
ずっと見ていなくちゃならないの?
「あたし、は……」
あたしがあなたの隣から居なくなれば、
それを見なくても済むのかな。
あなたが無茶するのを、見なくて済むのかな……
「そいつァ無理だな」
「どうして、……」
あたしの瞳を見据えて、言う。
「俺の譲れなねェもんはお前だから、
ずっと隣に居てもらわなきゃなんねェし」
だから。
悪いけど、ずっと隣で俺を見ていてくれ。
それがお前にとって、つらいことだとしても。
「そんな……」
じゃあ、あたしは。
結局あなたが無理するのを、見ているしかないの。
何も、できないの……?
「見ていてくれれば、それでいい」
それが、支えになるから。
「ねえ、」
どうして、
「どうしてあなたは、」
そうやっていつも、不敵に笑うの。
あたしの不安なんてちっぽけなものだと思えてしまうくらいに。
どうしてそうやって、あなたはいつも不敵に笑うの。
「残念だったな」
俺から、離れられなくて。
「……、」
いいよ。
「それで、いいよ……」
離れられなくて、いい。
きっと、ずっと前から決まっていたことだから。
あのとき与えられたのは、
(君とともに在る運命だった)
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ブログ掲載SSの再録です。
銀さんの誕生日を祝いたくて書いたんですが
意味不明な文章になりました。
このとき無性にシリアスが書きたかったとゆうのもある。
タイトルの「あのとき」というのは、つまり、銀さんと出会ったときです。
もう出会ったときから運命決まっていたとか。
すごく恐ろしいけど、すごく惹かれるものがありますね。