今日はなんと!
黒崎さんたちが、尸魂界に遊びに来てくれたのです。
「お久しぶりです、皆さん!」
「よー、久しぶり」
「招待してくれてありがとう」
私が駆け寄ると、黒崎さんと織姫さんがそう返してくれた。
「君も相変わらず元気そうだな」
「はい、雨竜さんも」
二人に続いて、雨竜さんも声を掛けてくれた。
声には出していないが、後ろに居るチャドさんも頷いてくれている。
「さ、感動の再会もその辺にして……
ぱーっとやるわよ!!」
「え、こんな時間からお酒ですか、乱菊さん!?」
既に盛り上げ体勢にある乱菊さんは、その手に酒瓶を持っている。
まだ日も高いというのに、飲む気満々みたい。
「俺がお供します、乱菊さん!」
「よく言った、修兵!!」
……と、檜佐木副隊長まで既に飲む気になっている。
「ど、どうしよう……!」
「こうなったらどうしようもないだろ」
「僕も同意見」
「阿散井副隊長に、吉良副隊長!」
私が慌てていたところに、二人の副隊長がやって来た。
彼らはよく乱菊さんや檜佐木副隊長と共に過ごしているので、
もう二人の性格など解りきっているようだ。
慌てる私に対し、半ば諦めた感じで言った。
「今日くらいは平気だろ、たぶん」
「うん、総隊長の許可は取ってあるって、さっき雛森くんも言ってたし」
「そ、そうなんですか……」
さすが雛森副隊長、こういう事態も予想してたのかな。
「じゃ、さっそく始めるわよ!」
こうして、黒崎さんたちと久しぶりに再会したことを祝う宴が始まった。
「あ〜、もう飲めないー……」
「すかー、すかー」
あれから数時間後。
先頭を切って飲んでいた乱菊さんと檜佐木副隊長は、既に泥酔状態。
それ以外にも先に休むと言って部屋に戻った人が多数。
部屋には、もうほとんど人は残っていなかった。
「阿散井副隊長も、もうお休みになった方がいいですよ」
「あー……そうだな」
乱菊さんたちに負けず劣らず、阿散井副隊長も相当飲んでいたらしい。
あまり具合は良くなさそうだった。
「さてと……
…………あれ?」
部屋の後片付けを始めようと思ったとき。
ふと、庭先に居る黒崎さんの姿が目に入った。
「黒崎さんは、まだお休みにならないのですか?」
「あ、ああ……なんとなくな」
織姫さんたちは、とうにお休みになった。
だけど黒崎さんには、まだ休む様子は見られない。
「もう少し、ここに居ようと思ってさ」
「そうですか……
でも夜は冷えますから、ほどほどにしてくださいね」
「ああ、ありがとな」
きっと、何か一人で考えたいことでもあるのだろう。
そう思った私は、片付けを後回しにしてそっとその場を離れた。
「……まだ起きていたのか」
「あ、隊長」
ひとまず隊舎に向かおうと歩いていると、その途中で朽木隊長と鉢合わせた。
せっかく黒埼さんがいらっしゃるから、と伝えたのに、
結局隊長は最後まで宴に顔を出さなかった。
「隊長、どうしていらっしゃらなかったのですか?」
少し疑問に思ったので聞いてみる。
「……騒がしい場は好きではない」
「そうですか……」
隊長らしいといえば、らしいのかもしれない。
「…………でも、黒崎さんはまだ起きていらっしゃいますよ。
会いにいかれては、いかがですか」
私のその言葉に、隊長は何も返さずに歩き出してしまった。
だけど、隊長の霊圧は間違いなく黒崎さんの方へ向かっている。
「…………全く、素直じゃないんだから」
だけど、そんな不器用なところにさえ、私は惹かれているのだろう。
仕方ない人
(そんな人のそばに居る私も、同じかも)