「綱吉ー、帰ろ〜」
今日は特別日課で、授業は午前中だけ。
一緒にお昼でも食べに行きたいな、と思いつつ、
あたしはこうして綱吉の教室まで来ていた。
「ああ、ちょうど良かった。
これからみんなでマック行くかって言ってたんだけど、お前もどうだ?」
そう言ってきたのは声をかけた綱吉ではなく、その隣に居た山本だった。
そして逆隣に居る獄寺と三人で、どうやらこれからお昼に行こうという話になっていたらしい。
「あたしも一緒にいいの?
男同士で語り合いたいなら、あたしは遠慮するけど……」
まあ、あたしも綱吉を年がら年中束縛していたいわけじゃないし……
友達との時間も、大切だもんね。
そんな思いからの言葉だったんだけど、綱吉が妙に慌ててしまって。
「そ、そんなことないよ! ねっ、山本、獄寺くん!?」
「そうそう、変な遠慮すんなって」
「……10代目がおっしゃるなら、俺は反対しねー」
「そう? なら、一緒に行こうかな」
あたしがそう言うと、綱吉はほっとしたような顔をした。
……一緒に居たいって、思ってくれてたのかな。
そう思うと、なんだか嬉しくなってしまって。
「締りの無ェ顔だな」
獄寺に言われたその言葉も、今日は見逃してあげることにした。
「みんな揃ったー?」
「バッチリだぜ!」
マックに着いてそれぞれ注文を済ませた人から、席についていった。
最後に注文していた綱吉が今しがた席について揃ったようなので、
「いただきます」と(獄寺以外の)みんなで言い合って食べ始める。
「んー、おいしい〜!」
「やっぱこの新作、当たりだったみたいだな!」
「うん!」
ちなみに、あたしと山本が頼んだのは新作バーガー。
メインはチキンで、レタスやトマトも入っていてさっぱりしてるんだけど、
さっぱりしすぎず味もしっかりしていて。
個人的な意見だと、そんなところがおすすめかもしれない。
「綱吉は何を頼んだの?」
「俺はてりやきだよ」
「あっ、あたしもてりやき好きだよ!
おいしいよね」
「うん」
最後に注文していたから、綱吉が頼んだのが何か解っていなかった。
別にわざわざ聞かなくてもいいことかもしれないけれど、まあ、
なんとなく気になっちゃったからね。
「……あ、綱吉、口のところにてりやきのタレが付いてるよ」
「えっ、どこ!?」
タレが付いてると言われ恥ずかしくなったのか、
顔を赤くさせながら慌てて口元を拭う綱吉。
でも、残念ながらうまく拭えていなかった。
「そこじゃなくて、こっち……」
そう言いながら、あたしは綱吉の口元についたタレを指で拭って、
そのままそれを口に含んだ。
「「なっ……!?」」
そうして見事ハモったのは、綱吉と獄寺。
顔を真っ赤にして口をぱくぱくさせている。
(そっくりだね)
対して山本はというと、いつものように「ははっ」と
深く考えていないであろう笑みを浮かべている。
「ん〜
やっぱり、てりやきもおいしいね!」
「な、何言ってるんだよ……」
そう言いながらも、綱吉の顔は未だ真っ赤なままだった。
やっぱり君は可愛いね。
(そんなところも好きなんだけど。)