「はあー……」

「ふふ……例にもれず、すごいため息だね」

「ソレハドウモ」

12月4日、木曜日……
今年も平日であるこの日を、あたしはまた恨めしく思っていた。

……てか、この日とバレンタインと、ため息ついてばっかじゃない?あたし。

それでもちゃんと話についてきてくれる不二は、本当にいい友人だなぁ、
なんて、若干場違いなことを思う。





「ほら、行っておいでよ」

「え……?」

そうして、不二はまたいつもの言葉をあたしに投げかける。





「立海に、行っておいで」

「……!」

本当は、最初の一言で不二が何を言わんとしてるのか解っていた。
でも、実際言われるとなんてゆうか……この人は本当に、「あたし」を解っているな。





「でも、部活は……」

授業なら、なんとでもなる。
でも、高校生になってもやはり怖いのは……手塚だった。





「大丈夫だよ、また僕がうまく言っておくから」

そんな毎回、うまくごまかせるんだろうか……。

不思議に思ったけど、「不二ならうまくやりそうだ」と変に納得し
あたしはまたお言葉に甘えて立海に向かうことにした。




















「……なんで…………」

急ぎ足で正門を出ようとしたとき……見覚えのある銀髪を発見した。
……この学校とは別の制服を着ているため、変に目立っている。





「よぉ、待っとったぜよ」

門のところに寄りかかってたそいつは、あたしに気づきそんなことを言った。





「いや、ちょっ……なんでここに!?」

のん気に手をひらひらさせる雅治を、あたしは半ば叫ぶようにして問い詰めた。






「そんなの決まっとるきに。おまんに会いに来たんじゃ」

「え、……」

な、なんでそんなことに……?

あたしの疑問をくみ取ってくれたのか、雅治はおかしそうに笑いながら答える。





「いつもおまんが立海に来るじゃろ……
 じゃから、たまには俺が行こうかと思ってのう」

「そ、そーなんだ……」

「その様子じゃあ、また部活をサボろうとしとったみたいじゃな」

「……!」

た、確かに……
こんな時間に帰ろうとするなんて(いや、実際には帰ろうとしてたわけじゃないけど)
部活には100パー出ないって考えていいよね。

……いや、でも待って。
こいつ確かさっき、「待っとったぜよ」って言ってなかった!?
ってことは、あたしが部活サボって出かけること解ってたわけで……










「さて……おまんもようやく来たし、出かけるとするか」

「あ、ちょっ……待って、雅治!!」

なんて慌てて追いかけたけど……
歩調を緩めてくれてたのか、割とすぐに追いついた。





「ま、雅治!」

「なんじゃ?」

「あ、あの……お誕生日、おめでとう」

またこの日をあなたの隣で過ごせて、あたしは幸せです。
本当に、ありがとう。





「本当におまんは……俺を喜ばせる天才じゃのう…………」

「え?」

「なんでもなか」

































礼を言うのは、俺のほうじゃ。




(珍しく優しい笑みを浮かべて、そう言った)