「……あっ、もしもし、真琴? まだ学校?」

『うん、そうだよ。
 でも、今日取ってる授業は全部終わったから』

今から向かうね、と言った。





「解った。気を付けて来てね」

『うん。それじゃあ、また後で』

……よし。





「今から向かうっていうと、うちに着く時間はだいたい……」

そんなことをつぶやきながら、あたしは現在時刻を確認した。



……――今日は11月17日、真琴の誕生日だ。

残念ながら(?)平日なんだけど、やっぱり当日にお祝いしたいから
あたしは昨日のうちに、真琴と会う約束を取り付けていた。





『でも、君が平日に会おうって珍しいね』

『え? あ、いや〜……まぁ、ちょっとね』

でも当の本人は何も解っていないみたいで。
まぁ、サプライズがしやすいって言えば、いいのかもしれないけど。

真琴との付き合いもそれなりに長くなったけど、
なんか鋭いんだか鈍いんだか、ホントときどきよく解らなくなるよね……。










「……いや、とりあえず今は気にしないでおこう」

それよりも、サプライズパーティの準備だ。
下準備はほぼ終わってるし、今から本格的に始めればちょうどいいよね。

がんばらないと!





















「いらっしゃーい!」

インターホンが鳴ったので急いでドアを開けると、
予想通り真琴が立っていた。





「じゃ、上がって」

「うん、お邪魔します」

そうして、中に入るよう促す。
あえて、真琴が先にリビングに入るよう仕向けると……





「わぁ……すごいご馳走だね。どうしたの?」

テーブルに並んだそれを見て、感嘆の声を上げた。
……ってゆーか、この子まだ気づいてないの? 天然?

そんなことを思いつつ、
あたしはそばに置いてあったプレゼントを手に取りながら言う。





「何言ってるの、全く!
 今日は11月17日、真琴の誕生日でしょ?」

「え? あっ、そっか……!」

「これプレゼントね。はい」

「あっ、ありがとう!」

もしかしてわざと忘れたフリでもしてんのかなって思ったけど
ホントに忘れてたんかい!










「でも、そっか……だから、平日だけど今日会いたいって」

「まぁ、そーゆーこと。
 真琴も、明日も学校なのにわざわざごめんね」

「そんな……すごく嬉しいよ。ありがとう」

真琴はちょっと照れくさそうにしながらも、嬉しそうに笑った。










「ところで、今お腹すいてる?
 聞かずにご飯用意しちゃったけど」

とりあえずパーティっぽさだけでも出そうと思ったんだけど、
夕飯にはちょっと早い時間な気もするんだよね……。





「大丈夫、お腹すいてるから。
 今日いろいろあって、お昼あんまり食べられなくってさ」

困ったように笑いながら、そう説明してくれた。






「そっか……じゃーちょうど良かったね」

「うん」

あたしも、もろもろの準備の関係でお昼早めだったし……





「じゃ、一緒に食べよ!」

「うん、いただきます」

























それにしても、




(君も料理の腕すごく上がったよね。プロみたいだよ)

(まぁ……ハルに厳しい特訓してもらいましたから……)