「……あっ、お嬢! リベルタ見なかった?」
「リベルタなら、ついさっき庭の方に行くのを見たけれど」
「なるほど、庭ね!」
ありがとー、とお嬢に返し、あたしはそのまま庭に向かった。
「……あっ、居た!」
庭に来てみると、割とすぐその姿を見つけることが出来た。
「リベルタ?」
「…………」
座って木に寄りかかっているリベルタ。
近付いて声を掛けてみるが、何も反応がない。
どうやら、眠っているらしい。
「……疲れてんのかな」
ここのところ、諜報部の皆さんも慌ただしくしてたみたいだし。
リベルタの性格からして、はりきって仕事してそーだし……。
「よいしょ、っと……」
もちろん用があって捜してたわけだけど、
そこまで急ぎの内容ってわけじゃない。
眠ってるところを起こすのも悪いし、
でもせっかく来たのにこのまま戻るのはー……
そこまで考え、あたしはリベルタの隣に腰を下ろした。
「うーん……」
隣に座ってはみたものの、やっぱし手持ち無沙汰で。
あたしはなんとなく、リベルタの寝顔を見つめた。
(寝てるから当たり前なんだけど、)
まぶたは閉じられていて、あの綺麗な瞳は見えない。
「…………」
リベルタの瞳って、何色ってゆーのかな……
青のような、緑のような……
「すっごく綺麗な色なんだよね〜……」
ずっと見てても飽きないんだけど、
でもそーすると「あんま見んな」って言われる。
(まぁ、照れてんだろーけどさ)
「……早く起きないかなぁ」
未だ夢の中に居るリベルタに少し寄りかかって、
そんなことをつぶやく。
……いや、起こすのは悪いなって思ってはいるんだけど、
考え始めたら、あの綺麗な瞳を見たくなったってゆーかね。
「急ぎでないとはいえ、用もあったわけだし」
それと、単純に……
リベルタと話がしたいなーなんて思ったり。
「こうやって寄っかかってたら、重たくて起きたりしないかなー……」
てか、もうこれ、完全に睡眠の邪魔してね?
――そんな自覚はあるものの、あたしは体勢を変えるつもりもなく。
「なんか、落ち着く……」
こーやってくっついてると、なんだか落ち着ける。
でも、それってきっと、リベルタだから……だよね。
「早く起きないかなぁ……」
ついさっき言ったセリフを、再び口にする。
それでもやっぱり、リベルタが起きる気配は無いけど……
「……もうちょっと、こーしててもいーよね」
「…………」
眠っているリベルタからは、もちろん返事は無い。
それをいいことに、あたしもしばらくここに居よう、
なんてゆう結論に至ったのだった。
完全にタイミングを見失った
(実は最初の方からずっと起きてたなんて、今さら言えねー……!)