「う゛お゛ぉい、ボスからお前に指令出てんぞぉ」

「えっ、ほんと? 何か任務?」

「ああ」

ボスに投げつけられた指令書を、手渡してやる。
受け取ったそいつは、すばやく目を通した。





「大丈夫そうかぁ?」

「そうだね、これなら問題ないかな」

元々は沢田綱吉側に居たこいつは、
奴と同じくリボーンの指導を受けていた。

それもあってか、女ながらにかなり優秀だ。

だからある程度の任務なら問題ないだろうが、
それでも心配なもんは心配だから、確認したかった。





「……そうかぁ」

「うん! じゃあ、さっそく行こっか」

「はぁ?」

言葉の意味が解らず、俺は聞き返す。





「はぁ? じゃなくてね、スクアーロ。
 これ、スクアーロと共同任務だから」

「なっ……」

俺はそんなこと聞いてねぇぞぉ!

そう言いながら、さっき渡した指令書を
無理やり奪い取って目を通す。





“カスと一緒に食材探してこい”





「って、う゛お゛ぉい! 何だこれはぁ!」

「食材探しだって」

いや、それは読んだから解る!
そうじゃなくてだぁ……!





「そういえば昨日……
 倉庫の食材が減ってきたって、言ってたかも」

だから何だってんだ!
食材の調達なんて、料理番の仕事だろうがぁ!





「たぶんいつもの流れなら、コックさんたちが
 ボスに許可取って買い出しに行ってるよね」

それが、何故か今回は俺らに行ってこいと
わざわざ指令を出してきたわけだ。





「意味わかんねぇ……」


何がしてぇんだ、ボスのヤツ……。










「あたしはちょっと……
 ボスの考えが、解るかもしれないな」

「本当かぁ?」

「うん」

妙に嬉しそうな顔をして、こいつは話し出す。





「最近、スクアーロとあんまり会えてなかったし」

「…………」

まぁ、確かに……互いの任務の関係で、
タイミングが合わずほとんど会えてなかった。





「任務だからしょうがないけど、
 ちょっと寂しいなって思ってたところなの」

だからボスは、こんな任務をくれたんじゃないかな。





「…………」

まさか、あのボスがそんなことを……

一瞬そう思ったが、そういえばそうだ。
ボスはこいつに、とことん甘かったんだ。





「……まぁ、これはあたしの予想なんだけど」

本当のところは、解らないなぁ。

自信の無さそうな顔で曖昧に笑ったが、
たぶんその予想は正しいと思った。










「…………しょうがねぇ。とっとと行くぞぉ」

「……! うん!」

こいつの手を取ってそう言うと、また嬉しそうに笑うのだった。



















あれから10年後、ここであなたと


(同じ道を 一緒に歩けているんだね)












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