「ねえ、黄瀬くん」
「何スか?」
Jabberwockとの再戦を控え、
メンバーで練習に励んでいたその日。
なんとなく気になっていたことを、
合間の休憩時間に聞いてみることにした。
「黄瀬くんと高尾くんって、実は仲良し?」
「なんか唐突っスね」
いや、実は控えメンバーとして彼らが来たときから、
もしかしてこの2人、仲良しなの?って思ってたよ。
「うーん、そうっスね……
しゃべる機会は少ないと思うけど」
「うん」
「なんとなく波長が合う感じはするッス」
「そっか……」
それ、すごく解る。
第三者のあたしが「すごく解る」ってのも変だけど、
ほんとすごくよく解る。
「…………」
元いた世界では、黄瀬くんと高尾くんのことを
「黒バスの二大チャラ男」って勝手に呼んでたんだよね。
だから、あたしとしては納得というか……
なんか通じるものがあるのかな、とか思ってたんだけど。
「ちょっと、今なんか変なこと考えてない?」
「う、ううん、考えてない」
「どもってるところが、余計に怪しいっス〜」
なんて言いながらも、黄瀬くんは楽しそうに笑っている。
良かった……
どうやら、怒らせてしまったわけではないらしい。
「おー、なんか楽しそうじゃん。なんの話?」
「あっ、高尾っち」 「高尾くん!」
と、ちょうどそこへ高尾くんがやって来て、
黄瀬くんとあたしの声が重なった。
「いやなんか、彼女がオレと高尾っちは仲いいの?って」
「へぇ〜、なんか唐突だね」
「やっぱそう思う?」
「思う」
しゃべる機会は少ないって黄瀬くんは言ってたけど、
普通にしゃべってるのがすごいな、この2人。
たぶん、もともと社交性があるんだよね……
よっぽど嫌な人じゃない限り、誰とでも仲良くなれそう。
「あー、解った!
もしかして君、オレと黄瀬くんが仲良くて羨ましいとか?」
「え、いや、」
「そうなんスか!?」
別に、そういうことじゃなかったんだけど……
そう続けようとしたら、それよりも先に
黄瀬くんがものすごい勢いで食いついてきた。
「待って待って、それどういうことっスか!?
ってゆうか、どっち? どっちに対して!?」
「え? どっちって何が……」
「そりゃあ、オレと仲良しの黄瀬くんが
羨ましいってことっしょ」
「いやいや!
オレと仲良しの高尾っちが羨ましいんスよ!!」
いや違うって、いーや違うっス!
と、よく解らないけど言い合い?を始めてしまった2人。
険悪な感じはないから、大丈夫だとは思うんだけど……
口を挟むスキが無いので、どうしたものかと悩んでいると。
「何を訳の解らない言い合いをしているのだよ」
「緑間くん!」
呆れ気味の緑間くんが、そう言いながらこちらにやって来た。
「それが、あたしにもよく解らないんだけど……」
解らないまま曖昧に説明すると、
緑間くんは2人を見てため息をつく。
「こいつらに付き合っていても時間の無駄だ。
そろそろ休憩も終わるし、戻るぞ」
「う、うん……でも、いいのかな?」
「問題ないのだよ」
まぁ、緑間くんがそう言うんだったらいいのかな。
そう思ったあたしは、そのまま緑間くんと一緒に戻った。
「って、緑間っち!
何さり気なく抜け駆けしてるんスか!?」
「そーだぜ、真ちゃん!
オレらのこと差し置いて、それはねぇよ!!」
「フン」
2人の矛先が急に緑間くんに移ったけど、
当の緑間くんはさほど気にしてなさそうだった。
何だかんだで、みんな仲良しなんだよね
(2人の言い合い?については、結局よく解らなかったけど)
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劇場版を観て、2人って仲良しなの?と疑問に思ったので(笑)
個人的に「高尾っち」呼びはけっこう好きですね^^