「あっ、ちょっと待って!」
「あなたに聞きたいことがあるんです!」
Jabberwockとの再戦を控え、
メンバーで練習に励んでいたその日。
カゲトラさんから「今日はここまで」と告げられ、
それぞれ帰り支度をしようというところだった。
あたしも更衣室に向かおうとしたら、
通路にてリコちゃん・さつきちゃんに呼び止められた。
「えっと……聞きたいことって?」
「あのね、ちゃんと答えてほしんだけど」
「どんな男性が好みなんですか!?」
「…………え?」
神妙な面持ちで何を言い出すのかと思えば、
どんな男性が好み? えっ?
「な、なんで急にそんなこと……」
「急にじゃないわ!」
「そうですよ! 私たち、ずっと気になってて」
だからって、何もこのタイミングで聞かなくても……
そう思ったけど、もはや2人が退く様子は見られない。
「それで、どういう人が好きですか!?」
「う、うーん、急には思いつかないんだけど……」
「簡単なことでも、何でもいいのよ?」
う〜ん……
「そ、そうだなぁ、とりあえず……
チャラくない人、威圧的じゃない人」
「きーちゃんはダメ」
「赤司くんもダメ」
「……?」
2人が小声で何か言ってるけど、
深くつっこまないほうがいい気がする。
何となくだけど……。
「例えば、頭が固い人とか」
「できれば柔軟な人のほうがいいかな」
「ミドリンはダメ」
「おしゃべりな人はどう?」
「あんまりおしゃべり過ぎてもアレだけど、
ある程度は自分から話してほしいかも」
「黒子くんもダメ」
「個人的には、テツくんおすすめですけどね」
「ちょっとサボり癖がある人はどうですか?」
「うーん、あんまりサボらないでほしいかな。
時と場合によるかもだけど」
「じゃあ大ちゃんはダメってことで」
「なんかそこだけ容赦なく切り捨てるわね……」
「あと、こういう人が理想だなぁってあります?」
「う〜ん……」
そうは言っても……
……あ、そうだ!
「あと、料理が出来て、自分の目標のために真っ直ぐで、
見ていないようで実は周りをよく見ていたり、」
「ん……?」
「何だか急に具体的になりましたね……」
「仲間思いの、優しい人かな!」
そうだよ、どうしてもっと早く気付かなかったんだろう。
好きなキャラについて言っていけば簡単だったよ。
「「…………」」
「リコちゃん? さつきちゃん?」
2人とも、急に黙り込んじゃったけど……
「えーと……あ、ありがとうございました」
「これで質問は終わりだから、もう大丈夫よ」
「そう? じゃあ、あたし更衣室に戻るね」
「ええ」
「私たちも後から行きますね」
さつきちゃんの言葉に「わかった」と答えてから、
あたしは今度こそ更衣室に向かった。
彼女の好みについて調べたところ
(彼女の好みは、ほぼ火神くんってこと?)
(総合的に考えるとそうなりますよね……)
「……っし!」
「おい火神、そのガッツポーズやめろ」
「青峰の言う通りなのだよ、腹が立つ」
「んだと!?」
「オレなんて即効でダメとか言われたんスけど!?」
「確かに、彼女はチャラ男が苦手そうですね」
「黒子っち!?」
「っていうか、オレはダメって言われてないから
まだ火神って決まったわけじゃないし〜」
「いいや、どう考えてもオレだろ!
カントクと桃井も言ってたし」
「…………」
「……? おい赤司、どうしたのだよ」
「赤ちん〜?」
「赤司っち?」
「…………」
「赤司くん、大丈夫ですか?」
「顔色悪りぃぞ」
「珍しいな」
「ちょ、ちょっと待って!
赤司っち、ショックで固まってないスか!?」
「マジかよ」
「赤ちんってけっこう弱いよね、そういうとこ」
「確かに、それはボクも思いました」
「冷静に分析している場合か!」
「どうすりゃいーんだ? たたき起こすか?」
実は最初っから盗み聞きをしていた7人なのであった……
おわり。
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リコちゃん・さつきちゃんは、
単に興味があって聞いただけでした(笑)
でも思ってた以上に具体的な人物像が出てきて、
途中からびっくりしちゃったというか……。
ちなみに彼女の言う「好きなキャラ」は、
青エクの燐イメージで書きました^^