「ん……」
朝、ふと目を覚ます。
「ん〜……はやと…………」
隣には、大切な人が。
「…………すげーアホ面」
そんな憎まれ口を言いながらも、本当は、
大切な人がいるこの空間を、俺は、
とても愛おしいと思っているのだ。
「は、やと……?」
うっすらと目を開け、俺の名を呼ぶ。
「やっと起きたか、この寝ぼすけ女」
「う、るさぁ〜い……」
昨夜、俺の家でひととおり飲んだあと、
結局そのまま二人して眠ってしまった。
だが、これは、いつものパターンで。
「ふあ〜……隼人、なんか寒いよ」
「仕方ねぇだろ、冬なんだから」
「解ってるけどねー……」
そう言って、俺にくっついてくる。
おそらく、暖をとっているのだと思う。
「隼人、あったかーい」
「お前がおかしいんだよ」
「冷え性なのよー」
この会話も、いつものパターンで。
だけど俺は、このいつものやり取りでさえも、
愛おしいと思っているのだ。
「重症だな……」
「何か言った?」
「何でもねぇよ」
重症だろうが、何だろうが、それでもいい。
大切な人が、そばにいるのなら。