「ん〜…………」
今日はいい天気だな。 何をしようかな?
そんなことを考えていると、バタバタと足音が聞こえてきた。
「よっ!」
「平助?」
少し開けてあった部屋の障子、その隙間から顔を出したのは平助だった。
「どうしたの?」
「いや、ちょっと……なんかオレ、暇でさ。
お前も暇なら、一緒に何かしようかなって」
どうやら、何をしようか考えあぐねていたのは平助も同じみたい。
「うん、こんなこと言っちゃ土方さんに怒られそうだけど、
確かに暇なんだよねー……あたしは非番だしさ」
「そうそう、オレもなんだよな」
じゃあ何をするかってことになって二人で考え始めたけど、
なかなかいい考えは浮かばない。
「あーもう、考えんの、やめ!」
考え込むことに疲れてしまったのか、平助が叫んだ。
…………こんなことを言っては失礼だと思うけど、 平助って頭脳派じゃないもんね。
確かに考え込むことって、苦手っぽい。
「今日は天気がいいし、日向ぼっこしようぜ!」
「え、日向ぼっこ?」
そんな、突然…………?
そうも思ったんだけど、どうやら平助本人はすっかりそのつもりのようで。
「…………ま、いっか。日向ぼっこしよう」
「そうしようぜ!」
確かにあたしもいい考えが浮かばなかったから、その提案を受け入れた。
「ほんとに今日は天気がいいね」
「ああ」
あたしと平助は、縁側で寝転んでいる。
日向ぼっこに最適な場所を探して、移動したのだ。
「こうしてると、平和って感じだよな」
「そうだね…………」
いつも刀を持って斬り合いをしている人間が
こんなところで日向ぼっこしているだなんて、人は想像できるだろうか。
…………いや、想像できない。
いつも、赤い世界で刀を握っている姿しか想像できないだろう。
それでも、そんなあたしたちにも、こんなあたたかい時間があるから。
だから、大切にしたいんだ。
「ねぇ、平助〜」
「んー?」
「好きだよ」
…………。
「んー……オレも好きだーー」
いつもなら、真っ赤になって “何言ってんだよ”って言ってくるはずなのに。
あたたかい陽射しのせいか、 きっと平助は、もうほとんど意識が無いのだろう。
「…………おやすみ、平助」
――――いつも赤い世界に居るあなたへ、わずかでも安らぎを。
そう思いながら、あたしも意識を手放していった。
いつも赤い世界に居るあなたへ、わずかでも安らぎを
(今だけでもいいから、どうか)