閉じていた目を開く。
確か今日は……オレは休みをもらって、暇を持て余していたんだ。
同じ状況だったあいつと一緒に、日向ぼっこをして……





「そのまま寝ちまったんだな……」



そこで記憶が途切れているということは、きっとそういうことなんだろう。





ふと、隣に視線を移す。
そこには、ぐっすり眠っている女の子が居た。










「……本当に二人して寝ちまったのか」



その状況で微妙な心境になりつつも、
オレは何かかけるものを、と、いったん部屋に戻った。
そして、適当な羽織を持ってきてこいつにかけてやった。















『刃向かうようならば、斬れ。いいな』

『はい』




普段は年相応の顔をして、笑っているのに。
戦になると、ためらいなどは持たない。どんな指示にも従う。
人を斬ることも、厭わない。





……けど、本当のことを言うと、
こいつに新選組の隊士なんてやらせたくないんだ。
いつも明るい場所で、楽しそうに笑っていてほしい。



だけど、オレがそれを出来るはずもなく。
ただこいつが無茶をしないように見張ることと、
何かあったときそばに居て守るだけ、だった。










『与えられた命により、私はあなたを斬る』



今日はたまたま休みをもらえたけど、大きな戦が始まればそうもいかない。
毎日のように、人を斬らねばならない。





結局、オレたちはこの赤い世界から抜け出すことは出来ないんだ。
別にそれを嘆いているわけじゃないけれど。
ただ、ずっとそれだと、きっと安らげないから。















「少しでもいい、ゆっくり休んでほしいんだ」



いつも、何事にも一生懸命な君だから。










『平助、これ見て!面白いよね!』



いつも、一生懸命に笑う君。





『大丈夫だよ、千鶴。心配しないで』



いつも、一生懸命に周りを気遣う君。










『…………阻むのならば、あなたを斬るよ』



…………いつも、一生懸命に任を果たそうとする君。





いろんな顔をしているけれど、やっぱりどれもお前なんだよな。
そんなお前だって、安らげる時間は必要だと思うんだ。















「今だけでもいい、赤い世界ではない場所で、笑っていてくれ」



そう、今だけは。




















いつも赤い世界に居る君へ、わずかでも安らぎを





(今だけでもいいから、どうか)