ピピピッ、ピピピッ…………
ケータイのアラームが鳴った。
それが解っているのに、冬の寒さのせいでなかなか起きることが出来ない。
「そろそろ起きて」
聞き覚えのある声がした。
でも、これはお母さんの声じゃない。もっと、男の子の声、みたいな……
…………あれ?でも、うちには男の兄弟は居ないはず。
これはお父さんの声でもない、もっと若い声だ……
寝ぼけた頭でそこまで考え、はっとなってあたしは飛び起きた。
「きっ、キラ!?」
「うん、おはよう」
そこには、まぶしいほどの笑顔を浮かべているキラが居て。
「って、なんでここに!?」
ここ、あたしの部屋だよね!?
なんでキラが居るの!?
「おばさんが入れてくれたんだ」
あたしの考えていることが解ったようで、聞く前にキラが自分から答えた。
って、あの母親、何考えてんの……!?
あたしの焦りも気にせず、キラは続ける。
「ちょっと、君に見せたいものがあって。一緒に来てほしいんだ」
「見せたいもの?」
それが何か気になりつつも、あたしは素直にキラに従った。
家を出てから30分くらい歩いただろうか。
あたしたちは、海の見える場所までやって来ていた。
「キラ、ここに何かあるの?」
「まだ秘密だよ」
歩いている間、何度か目的地を聞いてみたんだけど。
結局、キラは答えてはくれなかったのだ。
……ただ、終始機嫌は良さそうだった。
「着いたよ」
「えっ、本当?」
ここだよ、と言ってキラが指差す方を見ると。
最近建ったばかりというような、真新しい家があった。
「ここが目的地なの?」
「うん」
てっきり、遊びに行くのかと思ってたんだけど……
でも、この家は一体?
「これはね、僕から君へのプレゼントなんだ」
「ええっ、この家が!?」
「そう」
驚くあたしとは裏腹に、笑顔を絶やさないキラ。
……というか、突然家をプレゼントされて驚かない人なんて居ない……気がする。
いや、ラクスもカガリも、アスランも平然としてそうか。
「でも、なんで突然?」
「突然ってわけじゃないよ。ずっと考えてたんだ」
未だ状況を理解できていないあたしに、キラは説明してくれた。
「僕は、君のことが好きだよ。
だから、一緒に暮らしたいんだ」
一緒に暮らすために、この家を建てたのだと言う。
「受け取ってくれないかな?」
あたしの目をじっと見て、真剣な表情でキラは言う。
あたしは少し黙っていたけれど、迷っていたわけではなかった。
……だって、もう答えは決まってる。
「うん……キラからのプレゼント、ちゃんと受け取るよ」
「本当?」
「本当!」
あたしがそう言い切ると、キラはまた笑顔に戻った。
本当に嬉しそうに笑うから、あたしもつられて笑ってしまう。
「キラとの生活なんて、楽しそうだね」
「君と一緒だから、絶対に楽しいよ」
そうだよね。
きっと、あなたと一緒ならば、楽しい日々が過ごせるよね。
僕からのプレゼント
(受け取ってくれて、ありがとう)