〜一番左の扉〜
「……?」
蘭が扉を開けると、そこはいかにも女の子のものと言うような、
とても可愛らしい部屋だった。
「蘭!今日は一度も部屋に来てなかったから、ずっと心配してたんだよ」
蘭の姿を見つけたが、慌てて彼女のもとへ駆け寄ってくる。
「私は……お館様のものだから。
ずっとのそばに居ることは出来ない」
のことは好きだけど、と蘭は続ける。
「お館様って、あのアクラムっていう仮面のこと?
またあいつに何か言われたの?」
蘭は嫌々ながらアクラムに従っているわけではないが、
(正しくは操られているからそういった感情は無い)
は、蘭がアクラムに無理やり従うように言われたと思っているようだ。
「あいつ、なんだか危ないから近づかない方がいいよ。
最初の頃なんか、あかねのことを狙っていたし」
蘭を心から心配する。
そんなの想いが、蘭にはくすぐったかったが嬉しくもあった。
「……私は、大丈夫。心配しないで」
「でも……」
未だ心配そうにするを、言葉は少ないがなんとか宥めた蘭。
ふとテーブルに目を向けると、ティーセットが置いてあった。
「あれは……」
「あ、あれのこと?」
蘭がつぶやくと、も気付いたようで彼女の問いに答えた。
「この時間、いつも蘭とお茶していたでしょ?
だから、今日も準備して待ってたんだよ」
朝から姿が見えないから心配してたけど、ちゃんと来てくれて良かった。
は、笑顔でそう言った。
「お茶?」
「うん、そうだよ。
アクラムなんかの話なんてやめて、お茶にしよっか」
そう言ったは、お茶の用意を始める。
「あ……、私が」
確か、自分はメイドとしてに仕えるよう言われたはず。
ならばお茶の用意をするのは自分ではないかと、蘭はほんの少し焦った。
「ううん、いいの。たまには私がやりたいから」
「……ありがとう」
「どういたしまして」
はまた、笑顔で答えた。
「それでね、昨日あかねと一緒に宿題やってたんだけど、全然解らなくって」
「それは、難しいの?」
「うーん、きっとちゃんと授業受けてれば簡単なんだろうけど……」
嫌いな科目だから、余計やる気になれなくて。
そう言ったが、なんだか自然体な気がした。
「でも、は頑張ってる……私は、そう思う」
「蘭……ありがと」
蘭の言葉で、はまた笑ったのだった。
「私……のこと、好きよ」
「うん、私も蘭のこと好き。ずっと友達でいてね」
それから、二人はしばらくティータイムを楽しんでいた。
一月生まれへの指令:執事やメイドになりきれ
(私は、ちゃんと出来た?)
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遙か十周年記念企画、一月の蘭Ver.でした!いかがでしたか?
正直、蘭は初書きなので、探り探り書いていました。
てか最近、無印はやっていないので、
蘭のキャラが思い出せない…!千歳になってしまったorz
とにかく、最後までお付き合い頂き、ありがとございました!
人数が多いので短いですが、お楽しみ頂ければ幸いです^^
宜しければ別Ver.もご覧くださいませ!
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