〜右の扉〜
「……異国の城か」
中つ国とは異なった形状だな、などと考えながら
カリガネは扉を抜けた先にあったこの城をまじまじと見つめる。
……しかしながら、いつまでもこうしているわけにもいかない。
そう思い直したカリガネが、行動を開始しようとしたそのとき。
「大変だぁ!!」
どこからか、誰かの叫ぶような声が聞こえてきた。
そして、どうやらこの城で働いているらしい侍女やらが
バタバタと広い廊下を走り回っている。
何事かと思ったカリガネは、
バタバタと走っていたうちの一人に事情を聞こうと話かけた。
「……何かあったのか」
「そ、それが、姫様が居なくなってしまわれたのです!」
「が……?」
侍女らしき女性は、顔を真っ青にして事情を説明する。
どうやら、皆が少し目を離した隙にが居なくなってしまったとか。
彼女は周りの者に黙って出掛けるような人間ではないため、
城中の者が揃いも揃って慌ててしまっているらしい。
「…………とにかく、を捜す」
「は、はい!」
カリガネの言葉に、ただ返事をする侍女。
すぐにまたバタバタを廊下を走り抜けていった。
「…………」
もしかすると、ちょっとした気分転換で外に出たのかもしれない。
それならば遠出はしないだろうし、心配いらないだろう。
管理人の話では危険もないということだし、大丈夫だろう。
そう思ったカリガネだが、ともかくを捜そうと歩き出した。
「放しなさい!!」
「……!」
城の付近を歩き回り、を捜していたところ。
捜していたその人の何やら尋常ではない様子の声が聞こえてきた。
そのためカリガネは、急いで声のした方へ向かう。
「何度申し上げればご理解頂けるのですか!」
「何度言われたって無駄だぜ」
「ああ、そうだ。
こんな金ヅル、手放すわけにはいかねぇよ」
カリガネが彼女のもとへ駆けつけると、
そこにはやたらガラの悪い男・二人に絡まれているが居た。
の腕ならあんな男二人くらいなんとかなるだろうが、
どうやら今は武器を持っていないらしい。
だからなのか、男たちの一人に手をつかまれていた。
「…………その手を、放せ」
「なっ、なんだお前は!?」
「いつの間に!?」
カリガネは、すぐに男たちとの間に割って入った。
「カリガネさん!」
の、驚いたような声が響く。
「……城の者たちが心配している」
「あ、ご、ごめんなさい……」
「…………早く帰るぞ」
「は、はい!」
普段は冷静なだが、カリガネの静かすぎる剣幕に押されてか、
どもり気味になっている。
しかしながら、これ以上迷惑を掛けては……と思い、
カリガネの後に続いてその場を後にしようとすると。
「おい、待ちやがれ!!」
さっさと立ち去ろうとしたカリガネとの姿に苛立ったのか、
男たちが追いかけてくる。
正直カリガネはそれを面倒だと思ったのだが、
男たちはいつの間にかナイフを手にしている。
このまま追いつかれてもが危険にさらされてしまうだろうと、
カリガネは彼女を抱きかかえ、大きな翼を広げて飛び立った。
「カリガネさん……!」
予告もなくカリガネが飛び立ったせいか、
は体勢を崩しそうになり慌てて彼につかまる。
「おい、待ちやがれ!」
「飛ぶなんて卑怯だぞ!」
武器まで出しておいて何を、と思わなかったわけでもないが
カリガネは相手にするのも時間の無駄だと思い
そのまま城内まで空を飛んでいった。
「カリガネさん、あの……」
「何だ?」
「ありがとう、ございました」
「…………気にしなくていい」
少々面倒なことにはなったが、なんてことはない。
が無事ならば、それでいいのだ。
十月生まれへの指令:騎士になりきれ
(危険はないんじゃなかったのか?)
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遙か十周年記念企画、十月のカリガネVer.でした!いかがでしたか?
カリガネもまじで好きなんですよね……!
てか、そもそも4発売前にキャラを見たとき
サザキより好きだ!!とか思っちゃったし。(え
いや、サザキの友人とかなんとか説明があったんですが
むしろこっちの人(カリガネ)の方が好きだと思った。
まあ、結局プレイ後はサザキもすごく好きになったけど。
カリガネEDのアレはないですよね。
夢オチって、オイ…!
あのままEDで良かっただろスタッフ…!
とにかく、最後までお付き合い頂き、ありがとございました!
人数が多いので短いですが、お楽しみ頂ければ幸いです^^
宜しければ別Ver.もご覧くださいませ!
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