〜真ん中の扉〜










          「頼忠さーん!」



          真ん中の扉を開けた頼忠は、その先にある場所に着いたとたん
          聞き覚えのある声で名前を呼ばれた。















          「、殿……?」



          声のした方を振り返ってみると、案の定の姿があった。










          「良かった、見つかって!」



          走り寄ってきたは、満面の笑みで頼忠にそう言った。
          一方の頼忠は話が見えず、困惑気味である。















          「さっき花梨ちゃんが、向こうの森で日向ぼっこしたら
           ぽかぽかして気持ちよかったって言ってたんです」

          「神子殿が……」

          「はい、それであたしも日向ぼっこしに行こうとしたんですけど……」



          仮にも姫という立場であるのに一人で出かけようとしたを、
          当然のことながら花梨や紫姫が止めたというのだ。





          この人の行動には、本当にいつも驚かされる……
          頼忠は、こっそりそんなことを考えた。














          「で、誰かと一緒に出掛けるならってやっとお許しをもらったんですよ」



          そうしては一緒に森に出掛けてもらうため、頼忠を探し回っていたのだという。










          「つまり、私があなたの警護を……ということでしょうか」

          「あたしはそういうつもりじゃないんですけど、
           そういうことにしといてもらえると助かります」



          が苦笑交じりにそう言った。















          「しかし……警護をするのが私で良いのでしょうか」



          ――殿は、何故私を……。





          頼忠は、不思議に思ったのだが。















          「いいに決まってるじゃないですか!
           あたしは頼忠さんと一緒がいいんですから」

          「はあ……」

          「それとも、この後に何かお仕事でも入ってるんですか?」



          手が放せないなら仕方ないですけど、とが困ったように言う。










          「い、いえ、決して手が放せないわけでは……」

          「だったら一緒に森に行きませんか?
           きっと、ゆっくり出来ていいと思いますよ」



          がそう言ってにこりと笑う。
          そんな彼女につられるようにして微笑み、頼忠は言った。















          「では……喜んでお供させて頂きます」














































          「うわぁ……」



          花梨が行ったという森にやって来たと頼忠。
          木々が生い茂る森の中心に、二人は立っていた。










          「すごいですね、頼忠さん!」

          「ええ……本当に、見事なものです」



          京にもこのように見事な木はたくさん見受けられる。
          だが、こんなにも多くの木が密集しているところは見たことがない。





          そのためか、普段から冷静な頼忠も、感嘆の声を上げて
          辺りの景色に魅入っているようであった。















          「いい感じに木漏れ日があって、確かに日向ぼっこにはいいかもしれませんね」



          木々の隙間から漏れている日の光を受けながら、が言った。















          「この光は……」

          「え?」

          「あなたに、似ている」



          に伝わるように、というよりは、どこか独り言のように。
          彼女に聞こえるかどうか解らないくらい小さな声で、頼忠は言った。





          しかしながら、はそれをしっかり聞き取ったようだ。
          口には出さないが、どういうことだろうか……という顔をしている。















          「……例えるならば、神子殿は日の光。
           燦々と輝き、何の障害もなくそのまま私たちに降り注ぐ」



          だがその光を浴びている者は、その明るさに救われている。










          「対して、あなたは木漏れ日。
           木々の間から漏れる微かな光で、私たちを照らす」



          木々の隙間から微かに降り注ぎ、あまり前に出ようとはしない。
          だが、必要な光はきちんと与えてくれる。















          「あなたは自分から表立って前に出ようとはしない。
           ですが必要な際には、必要な言葉を我々にくださっている」



          そんなところが、木漏れ日に似ている。





          頼忠がそこまで言ったあと、は一瞬目を丸くする。
          だが、彼女はすぐに笑顔に戻った。















          「ありがとう、頼忠さん。すごく嬉しいです」



          木漏れ日のような、優しく暖かい笑顔を向けてくれるあなた。
          その笑顔が、これからも消えることのないように――――







































十月生まれへの指令:騎士になりきれ





(その笑顔を どうか私に守らせてください)








































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            遙か十周年記念企画、十月の頼忠さんVer.でした!いかがでしたか?
            てか頼忠さん、最近やたら好きなんですよ!
            短髪っていうのもいいんですが…とある立ち絵が最高すぎる。
            なんだあの格好よさ!!
            
            てか、本気で2のポータブル買おうか迷ってます。
            廉価版なのか、なんかすげー安いですし。(何
            やっぱドリ書くには必要だよな……ゲーム……
            とか考えている今日この頃です。
            いちおー長編の方は、書きたいルートだけ全部メモったんですが
            なんか……取り扱っている以上、持ってたい、みたいな。
            へんなこだわりです。

            とにかく、最後までお付き合い頂き、ありがとございました!
            人数が多いので短いですが、お楽しみ頂ければ幸いです^^
            宜しければ別Ver.もご覧くださいませ!

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