〜左の扉〜










          左の扉を開けた九郎は、全く知らない場所に辿り着いた。
          の姿も見当たらないし、どうしたら……
          と考えていたそのとき。





          どんっ



          突如背中に衝撃が走った。
          何かがぶつかったようだが、一体何が。

          そう思った九郎が、後ろを振り返ってみると。















          「!!」



          そう、今しがた行方を捜そうかと考えていた
          自分の背中にしがみついていたのだ。










          「なっ、何をしているんだ、お前は!」

          「ご、ごめん!」



          九郎は照れ隠しで大きな声を出しているのだが、
          は九郎が本気で怒ったのかと思い、少し焦っている。















          「本当はさ、もっとこう……後ろからぎゅーっと抱きついて
           九郎を驚かせようとしたんだけどね……」



          彼女の話では、抱きつく前につまづいてしまい、
          そのままその勢いで九郎に激突してしまったのだという。










          「なっ、何を考えているんだ、お前ってやつは!!」

          「だ、だからごめんってば!」



          なんでこんなに謝ってるのに許してくれないの!!



          今まで下手に出ていたも、半ばやけになり始める。















          「…………はあ。
           こうして言い合っていても仕方がない。もうやめよう」

          「やめようって、元はと言えば九郎が……」

          「何か言ったか?」
 
          「言ってませーん」



          全く、こいつは……。
          そう思った九郎であったが、あえて口にはしなかった。















          「ところで、先ほどつまづいたと言っていたが……平気か?」

          「何が?」

          「だ、だから!怪我とか、してないだろうな?」

          「あ、ああ! うん、大丈夫だよ」



          のその言葉に、九郎はほっとした。










          「九郎に激突しつつしがみつたから平気」

          「だ、だからお前は……!」

          「何?」

          「〜〜〜〜何でもない!」



          また先ほどのように言い合いになってしまっては、と、
          九郎は言いたかったことをまた飲み込んだ。















          「あ、そうだそうだ。
           あたし、九郎を呼びに来たんだった」

          「俺を?」



          何か用でもあったのか、と九郎が聞くと、も答える。















          「うん。次に九郎が歌う予定の歌、あたしとコラボするんだって」

          「こ、こらぼ?」

          「あー、えーっと何て言えばいいのかな……」



          なんとか九郎にも解るように説明しようとしただが、
          なかなかいい言葉が見つからなかったようだ。










          「とにかく、一緒に歌うってこと!」



          結局はこのような端的な説明で終わってしまう。















          「あたし、九郎を連れてくるようにって望美ちゃんに頼まれたんだ」

          「望美に?」

          「そう!今回は望美ちゃんの企画だから、
           全部望美ちゃんの指示で動くんだよ」

          「そうなのか」



          よくは解らないが、望美ならば心配いらないだろう。
          そんなことを考えながら、九郎はに連れられて望美のもとへ向かった。



































          「お待たせ、望美ちゃん!」

          「さん!」

          「九郎、連れてきたよ」

          「ありがとうございます!
           じゃあ二人とも、こっちに座ってください」



          望美に従い、と九郎は席につく。




















          「で、今回二人がコラボする曲なんですが」

          「うん」

          「ズバリ!二人の愛についての曲なんです」

          「あっ、愛!?」



          ガタッと椅子を倒すような勢いで立ち上がったのは、顔を真っ赤にした九郎である。



          そんな彼を見て、はため息をつく。










          「……望美ちゃん、九郎こんな感じだけど大丈夫?」

          「大丈夫ですよー!
           駄目だったら九郎さんの代わりに将臣くんが居ますから」

          「そっか、将臣くんなら心配ないね。歌うまいし」



          九郎が照れまくっている間に、
          望美との間では、代役に将臣を、という話になってきている。





          だが、そうすると二人の愛についての歌を
          と将臣が歌うということになってしまう。



          未だ何が何だか解らない九郎であるが、
          とにかくそれは避けなければ、と思ったらしい。















          「将臣には渡さん!!」



          いつの間にか、そんなことを口走っていた。















          「…………九郎さん、二人でコラボする歌の話ですよ」

          「え、あ……そ、そう、か?」

          「全く、九郎は本当に真っすぐだよね。
           まあ、そういうとこもあたしは好きだけどさ」

          「ななな、何を言っているんだ、!!」



          再び真っ赤になった九郎を見て、今度は望美がため息をついた。










          「……ま、いいコンビ――もとい、カップルってことだよね」





































十一月生まれへの指令:歌手になりきれ






(俺が歌うから代役はいらん!!)








































          ++++++++++++++++++++++++++++++++

            遙か十周年記念企画、十一月の九郎Ver.でした!いかがでしたか?
            何を隠そう(?)九郎は、3プレイ前に一番好きだったんです。
            結局十六夜やったら銀が一番になったけど……
            やっぱ九郎も好きだ!照れ屋なキャラが好きすぎるわたし。(何

            ぶっちゃけ九郎は書きたいネタが溜まっているので
            これからどう消費していくか悩んでます(え
            この企画も来月で終わりますので、少し落ち着くかと。
            そうしたら、その溜まってるネタにも取り掛かれそう。楽しみです!

            基本お相手とヒロイン以外を出さないと心掛けてるこの企画、
            でも将臣くんのときも望美ちゃんや譲が出演してたので
            九郎のときも出演してもらおう!と思って
            今回望美ちゃんにだけ出てもらいました。将臣くんは名前だけ(笑)

            なんかグダグダでしたが、これが九郎だと信じます(おい
            とりあえず照れまくって大胆なことを口走ってしまう
            そんな九郎が好みですv可愛くて好きだ。
            でも格好いいところもあるから九郎が好きだ。最高すぎる。

            とにかく、最後までお付き合い頂き、ありがとございました!
            人数が多いので短いですが、お楽しみ頂ければ幸いです^^
            宜しければ別Ver.もご覧くださいませ!

            →遙か十周年記念企画トップへ