〜真ん中の扉〜
「ここが、の暮らしていた世界か」
管理人の意に反して真ん中の扉を開けたアクラムは、
がもと居た世界に来ていた。
……しかしながら、ここは病院でもなければ
アクラムが医師になっているわけでもなさそうだ。
「あれの居場所ならば私でも探し出せる、が」
だが、その必要もないだろう。
アクラムが自信満々にそんなことを言った直後……
「ちょっ、ちょっと!
こんなところで何してんの、アクラム!!」
血相を変えてやって来たのは、もちろんである。
「しかも、この現代でその格好はないでしょ!
ワケ解んないんだけど!!」
鷹通たちとは違い、着替えなどしてこなかったアクラム。
そのためなのか、もともとの服装だったのだ。
だが、扉を開けた先にあったのは、この現代。
そこでそのような格好をしていては、目立つだけである。
「フッ……私に会えて嬉しいのだろう?」
「そんなわけないでしょ!意味解らん!」
照れなくてもよい、というアクラムに対し、照れてねーよ!とつっこむ。
「……って、そんなことよりも」
早くこの場から離れなくては。
幸い今は誰も居ないが、いつかは誰かが通るはず。
「この世界の人に、こんな(きもい)奴は見せられないし」
そう考えたは、アクラムを引っ張り近くにあった空き部屋に入った。
「はぁ……ここなら大丈夫かな」
部屋に入り、ため息をついた。
どうやら、この短時間で精神的にかなり疲れてしまったらしい。
「フフフ……そんなに私に会えて嬉しいか、」
「ちっがーう!!
とゆーかいつも『』なんて呼んでないでしょ!?」
「確かに、な……ではいつも通り、『牡丹の姫』と呼ぼう」
「いやいやいやいや」
今話したいのはそんなことじゃない、とは言う。
「なんであんたがここに居るのか、ってことなんだけど」
意味が解らない、と言うに、アクラムも答える。
「今宵は十年を祝う日だと、あの者が言ったのでな」
「あの者?」
誰のことだろう、と思ったではあったが、
正直めんどくさいので聞かないでおくことにした。
「とにかく、ここはあたしが勉強するために通う大学って場所なの!
ぶっちゃけあんたには用の無い場所でしょ?」
「確かに、この館には用はない。だが私はお前に用がある」
「……だから帰らないってこと?」
「その通りだ。さすがだな、牡丹の姫」
「いや、そのくらい解るって!!」
全くどうしたらいいの、と嘆く。
しかし当のアクラムは、そんな彼女を見て嘲笑うような笑みを見せるだけ。
「でも、そっか……
きっと、アクラムが課された何かをクリアするまで帰れない……
…………いや、帰らないってことだよね」
もともと筋を立てて物事を考えるのが得意なは、
この短時間で指令についても導き出した。
「とは言っても……」
その指令が終わるまで、あたしがこいつの相手をするのか……。
「そんなの耐えられない……!
……けど、こんなことで花梨ちゃんを呼ぶのもなぁ」
一人で悩み続けるに向かって、アクラムが言う。
「そんなに私と会えて嬉しいのか。
ならば、初めからそう言えばいいものを」
ぶちっ
「だから違うって言ってるじゃん!意味解んないんだけど!!」
アクラムの、先ほどからの度重なる勘違いで
もついにキレてしまったようである。
「やっぱあたし一人じゃ駄目だ!!」
十二月生まれへの指令:医師になりきれ
(花梨ちゃん、助けて!!
……つーかこいつにこの指令、無理じゃないの!?)
+++++++++++++++++++++++++++++++++
遙か十周年記念企画、十二月のアクラムVer.でした!いかがでしたか?
アクラムは本当に……正直好きじゃないので
最後までこの企画に入れるかどうか迷いました。
それが何となく描かれている、分岐ですが……。
でも、最近思うんだけど、今のあたしならきっと
一番最後に、アクラムに手を差し伸べることが出来る気がする。
怨霊とかも全て倒されたアクラムに、最後に、
手を差し伸べられる気がするんだ。……たぶん。
って、何か言いたいのか解らなくなってきました^^;
とにかく、今回アクラムとさんは長編設定でいきましたが
なんかギャグテイストでまた書いてみたい気もします。
色々挑戦してみたい!
とにかく、最後までお付き合い頂き、ありがとございました!
人数が多いので短いですが、お楽しみ頂ければ幸いです^^
宜しければ別Ver.もご覧くださいませ!
→遙か十周年記念企画トップへ