〜左の扉〜










          左の扉を開けた鷹通は、辿り着いた先でしばらく辺りを見回した。










          「……どうやら、ここには私しか居ないようですね」



          まずは、扉の先にあったこの場所がいったいどのようば場所なのか、
          それを把握せねばなるまい。



          そこが「病院」という場所であることは管理人の話にあったが、
          では今いるこの部屋はその「病院」のどの辺りなのだろうか。





          全く知らない場所であるにも関わらず、鷹通は冷静に考えをめぐらせていた。














          「…………いや、考え込んでいても仕方ないですね」



          すぐに色々と考え始めてしまうのは、悪い癖かもしれない。
          神子殿のように、思いのままに行動することも時には必要なのである。










          「今は、おそらくその時だろう」



          そうして自分の言葉に納得した鷹通は、部屋を出た。







































          「……あ、たかみちさん…………」

          「殿……!」



          鷹通がしばらくその廊下を歩いていると、
          端に置かれているソファにが座っているのが見えた。



          しかし滑舌も良くないところから察するに、やはり具合は良くないらしい。
          そんなのもとへ、鷹通は小走りで近寄る。















          「見た目で思ったよりは、症状は軽いか……
           だが、過呼吸気味になっている」



          そんなことを言いながら、鷹通はその場でを診察し始めた。










          「殿、一番つらいのは?」

          「ええと……のどと、頭が痛いです…………」

          「そうですか……」



          完全な風邪ですね、と鷹通は言う。




















          「とにかく……殿、今日はこちらにお泊りになってください」



          病院のシステムについて管理人から教わった鷹通は、
          「入院」というものを覚えていたのだった。












          「え……あたし、そんなにわるいんですか……?」



          鷹通に対し、少し不安げな表情でそう言った
          だが、そんな彼女に鷹通は微笑んでみせる。















          「そうではありませんよ。
           ただ、こちらに居て頂ければ、私も堂々と付き添って看病できますから」

          「た、たかみちさん……」



          鷹通さんって、普段こんなこと言う人だったかな……?



          ぼーっとする頭で、はそんなことを考えてしまった。















          「その様子では、診察室へ行くことも難しそうですね」



          まあ、既に診察は終わっているので問題はないですが。



          そんなことを言いながら、異世界に居たとは思えない手馴れた様子で
          鷹通はの入院について手続き等を済ませた。















          「さあ部屋に参りましょう、殿」

          「は、はい……」



          そうして、鷹通はの手をとって病室に案内する。




















          「殿」

          「はい……?」



          病室へ向かう途中、鷹通に呼ばれたはふと彼の方を見る。















          「あなたが私をおそばに置いてくださる以上は、必ず私があなたをお守りします」





          ですから、どうか――――



































十二月生まれへの指令:医師になりきれ





(どうか、私にあなたを守らせてくださいね)







































          +++++++++++++++++++++++++++++++++

            遙か十周年記念企画、十二月の鷹通さんVer.でした!いかがでしたか?
            鷹通さんは、けっこうあたし自身が出逢ったら色々難しい気がする。
            頭がいいゆえに、頭が上がらない(え?
            とゆーかもう、この人には少将と漫才みたいなこと
            やっていてほしいです(オイ
            いや、本人は漫才だなんて思ってないだろうけどさ^^;

            後で色々書いてみたいですね、鷹通さんも!
            あたしも内裏近辺で働きたいぜよ(笑)

            とにかく、最後までお付き合い頂き、ありがとございました!
            人数が多いので短いですが、お楽しみ頂ければ幸いです^^
            宜しければ別Ver.もご覧くださいませ!

            →遙か十周年記念企画トップへ