〜右の扉〜
ナーサティアが扉を開くと、そこは見慣れない場所だった。
……おそらくは、先ほど聞かされた「現代」なのだろうが。
さて、これからどうするか。
そうしてナーサティアが考え始めたとき、インターホンが鳴った。
誰かが訪ねてきたことを何となく感じ取ったナーサティアは、
ひとまず玄関の方に歩き出す。
「おはようございます!
良かった、ちゃんと起きてらしたみたいですね」
扉を開けると、そこにはが立っていた。
どうやらは、ナーサティアの応答が少し遅かったため
未だ眠っていると思っていたらしい。
「今日は休暇だとおっしゃっていたから、
まだお休みになっているのではないかと思っていました」
確か、自分との間柄は「幼馴染」というものだったはずだ。
しかし、は普段の彼女と同じように丁寧な口調で話す。
立場としても自分の方が上だから、間違いではないのだが。
とにかく、の話からして、自分は何か職に就いているらしい、
とナーサティアは判断した。
「一人暮らしだと、やはり大変なのではないかと……
厚かましいかとも思ったのですが、ご一緒に朝食をとりたくて参りました」
台所をお借りしますね、と言ったは、そのままキッチンに向かう。
「……、私に出来ることはあるか」
普段から、頑張りすぎるところがある。
そんな彼女を気遣い、ナーサティアは珍しいことを口にした。
そんな彼の言葉が、やはりにとっては意外なものであったようだ。
しばらくきょとんとした顔で彼を見ていた。
「ありがとうございます。
ですが、すぐに出来上がりますので大丈夫ですよ」
あちらで待っていてください、と、は笑顔で返した。
そんな顔で返されてしまっては、ナーサティアは待っているしかない。
彼女の言う通りリビングに向かい、そこにあるソファに座った。
しかしながら、自分とはここでは一体どのような関係なのか。
……いや、「幼馴染」というものであることは、解っている。
だが、彼女は毎朝朝食を作りに来てくれているのだろうか。
ナーサティアは疑問に思った。
…………疑問には思ったのだが、どこか不思議な気持ちでもあった。
自分の方が立場が上で、事務的な仕事を任せるときもたまにあるが。
こうして手料理が食べられるのは、実に珍しいことなのだ。
「…………こういった関係も、良いかもしれないな」
ナーサティアは、ぽつりとつぶやいた。
「いただきます」
「……頂くぞ」
が作った朝食を囲み、向かい合って座る二人。
ナーサティアは黙々と食べているが、にとってはそれが嬉しいかった。
まずいわけでは、なさそうだったから。
「今日の休暇は、どう過ごされるのですか?」
「考えていない」
「そうですか……
でも、たまには家でゆっくりなさるのもいいかもしれませんね」
いつも働き詰めのようですから、とは続けた。
「お前は、休暇ではないのか?」
「私は、今日も大学に……授業がありますので。
でもまだ学生ですので、それほど大変なことはありません」
せっかく学べる機会なのに、お休みばかりでは勿体無いです。
は言った。
「……大学はいつ頃終わる?」
「え?ええと、そうですね……
今日は、夕日が沈む直前くらいでしょうか」
詳しい時間は告げず、はそんな表現をした。
「ならば、私がお前を迎えに行く」
「で、ですが」
それは申し訳ないです、とは言ったが、ナーサティアも退かなかった。
「で、では……お願いしますね」
「ああ」
帰りが楽しみだな、と、はこっそりそんなことを考えた。
二月生まれへの指令:幼馴染になりきれ
(お前の笑顔が見られれば それでいい)
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遙か十周年記念企画、二月のサティVer.でした!いかがでしたか?
サティはもちろん初書きの上、最近会ってないので
(もちろんゲーム上のお話/知ってるよ)
キャラがよく解んなくて焦りました^^;
でも、サティのキャラソン好きなんですよねー!
メロディも歌詞も好きです、ラブ!
ちゃんとゲームやり直して、ドリも書いてみたいです☆
とにかく、最後までお付き合い頂き、ありがとございました!
人数が多いので短いですが、お楽しみ頂ければ幸いです^^
宜しければ別Ver.もご覧くださいませ!
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