「あー…マジ信じらんねェ……」
「それはコッチのセリフだっつの……」
「つーか、なんで?なんでこんなことになってんの?」
「俺が知るかボケ」
二月某日……
ここ・真選組屯所では、二人の男が盛大なため息をついていた。
(全くもってウザい以外の何物でもないケドね)
「だってさァ、おかしくね?
なんでこーゆーことになんの?」
「だから知らねェっつうの!
大方アレだろ『7年の年月が俺たちを変えた…』的なアレだろ」
「なんで?
なんでたった7年でこんなことになんの?」
「俺に聞くんじゃねェ、しつけェな!!」
二人のうち一人は、さっきから「なんで」を連発している銀髪侍――坂田銀時。
そしてもう一人は、我らが真選組マヨラー副長――土方十四郎だ。
「オイお前ら……
さっきからずっと、おんなじ会話しかしてねーぞ」
「「!」」
これ以上無駄な会話を続けられてもマジでウザいので、
面倒だと思いつつもは会話に入っていった。
「け、けどよォ!
オメーもおかしいと思うだろ?」
「まァ、『おかしいところが全くない』とは言わないでおく」
「ほらァ! 結局お前もおかしいと思ってんじゃねーか!!」
テキトーに返答すると、銀時が騒ぎ立ててきた。
「けど、今さらいくら騒いだって無駄だろ。
もうなっちゃったもんは、なっちゃったんだから」
「いーや、俺は未だに納得できないね!」
「いい加減にしろよ、銀時。
トシなんてもう、こんなに冷静になってるじゃないか、なァ、ト…シ……」
と言いながら、トシのほうに目を向けると……
「あ、あァ…の言う通りだ、今さらどうこう騒いだって仕方ねェよ。
そうだ、今さらだ…今さら…今さらだ……」
お経のように「今さらだ」とつぶやきながら、タバコに火をつけようとするのだが……
「おいィ、土方くん!
それライターじゃなくてケチャップだぞ!!」
いつものマヨ型ライターではなく、(本物の)ケチャップで付けようとする始末だった。
「結局トシも銀時と一緒か」
現実を受け入れられない、ってことだね。
「つーか何だ?
そもそもは、今の状況に納得してんのかァ?」
ふと思い出したように問いかけてくる銀時。
「あー……別に?
お姉が選択した道なら、文句は無いね」
そんな銀時に、は淡々と答える。
「だが、よりにもよってアレだぞ?
一番選ばないほうが幸せそうな道だぞ?修羅の道だぞ?」
トシもずっと気になっていたのか、話に乗ってきた。
だけど、はまた「別に」とだけ答える。
「お前らから見たら修羅の道でも、お姉にとっては違うんじゃないの。
それに、お姉だって立派な大人だし……
今さらなんやかんや言うつもりは無いね」
そこまで言うと、銀時もトシも黙り込んでしまった。
「あーあ……
なんかもう、認めねェ俺たちが馬鹿みたいじゃねーか」
いや、実際バカだろ。
そう思ったが、声には出さなかった。
「……いい加減、ハラくくるか」
いや、そんなシリアスな内容じゃないだろ。
そうも思ったけど、やはり声には出さないでおいた。
「……とにかく、お前らにこれだけは言っておく」
そう前置きすると、二人がこちらに目線を向ける。
「お姉が道を選んだことは確かだ。
ならば、これからはそれを黙って見守ってやってくれ」
お姉のために何かしてくれとか、助けてくれとか、そういうことは言わないから。
「お前らだってお前らなりにつらいだろうから、
力になってやってくれとか、そんなこと言うつもりはない」
けど、頼むから。
黙って、見守ってやってほしい。
「「バーカ、誰に物言ってんだ」」
「……!」
少し間を空けた後、二人の声が重なった。
「たとえが今の道を選んで進んでいくとしても」
「俺たちは、その邪魔をするつもりなんてサラサラねェ」
だからって、黙って見守るつもりもねーよ。
「が頼ってきたら、助けてやるし」
「困ってたらなんだってやってやるよ」
そう言い切った二人は、不敵な笑みを浮かべていた。
さっきまでのウザい感じも全然ない、
(あまり言いたくはないが……)頼もしい顔だった。
「ああ……ありがとう、二人とも」
どうやら、お前らを見誤っていたみたいだな。
「……ん?」
そんなことを考えた直後、二人分の足音が聞こえてくる。
「あっ、おはようございます、土方さん、!」
「……おう」
「おはよー、お姉」
一人は、先ほど銀時に送ってもらって一緒にやって来ていたお姉だ。
そして……
「なんだ、旦那も来てたんですかィ?
いい加減、過保護すぎるんでさァ」
「うるせェ!」
もう一人は、ここに着いてすぐお姉が起こしにいった相手――総悟だった。
「まァいーや、こんなとこで時間食っててももったいねェし。
さ、さん。さっさとデートに行きやしょう」
「えっ、で、デートって……!」
「ホントのことじゃないですかィ」
「それは、そう、なんだけどっ……!」
けろっとして言った総悟に、お姉は顔を真っ赤にさせている。
「じゃ、行きますぜィ〜」
「あ、そ、総悟くん、待って!
えっと、銀さん送ってくれてありがとう!
慌ただしくてごめんなさい、行ってきます!!」
慌てて総悟を追ったお姉だがすぐに追いつき、
(たぶん総悟も歩調を緩めていたのだと思われる)
仲良く手を繋いでデートに出掛けていった。
「「…………」」
あーあ……
総悟のやつ(おそらく、わざと)爆弾落としていったな。
「確かに『が頼ってきたら、助けてやるし』、」
「『困ってたらなんだってやってやるよ』とは言ったが…」
「「よりによって、なんで相手があのサド王子なんだァァァァァァ!!!!!!!!」」
「はぁ……」
しばらくこの二人、こんな感じだろうね。
7年もあれば、そりゃ十分でしょ。
(お姉が総悟に惚れるのなんて、さ。)
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三発目は総悟くんでした!
銀魂も銀魂でいろいろ悩んだのですが……
たぶんあたし的にそばに居てほしいのは銀さんなんですが、
うまいことやっていけそうなのは総悟くんかな、とか思いました。(何
現実的に考えてみるって、意外と大変ですね…
あーでも久しぶりに総悟くん書けてよかったです! 楽しかった(笑)