「るんるんる〜ん♪」
今日で学校もひと段落! 明日から春休み!
大学は春休みが長いから、最高だよね。
……そんなわけで、この長い春休みを利用して、
あたしは「遙かなる時空の中で2」をプレイすることに!
だから、友達から借りてきたんだー!
「早く帰ろっと!」
そして、さっそくゲームするんだ!
さっき友達に、攻略本とか見ながらアドバイスもらったから、
だいたいの流れも分かったしね!
……あ、ちなみに、あたしは八葉抄と舞一夜をプレイ済み。
そのうち3もプレイする予定です!
「ただいまー!
……つっても、一人暮らしだから誰もいないけど」
それより今はゲームだよ!
「…………あれ?」
気に入ったから飾っといた、造花の牡丹……
なんか、色が変わってる……?
「なーんて、そんなわけないよ」
さぁ、あたしはゲームをするよ!!
……そうして、意気揚々とスイッチを入れたんだけど。
「って、何この光!?」
なんかよく解らないけれど、突然辺りが激しい光に包まれた。
まぶしくて何も見えない……!
…………。
「って、何?ここ……」
何も無い……変な空間だなぁ。
時空はゆがめられた。在るべき姿を取り戻せ。
「誰……!?」
何処にいるの……?
牡丹の花を正しき時間に導いたように。
――神子を援助せよ――
「神子、……って、
なんか思いっきり聞いたことあるんだけど」
つーか、その前に誰なの……?
その疑問を口にする前に、綺麗な鈴の音が何度も聞こえた。
「…………あれ? また違う所に来ちゃった?」
どっちにしろ、何もない空間だな……。
「なんか、鈴の音がしたと思ったんだけど……」
まさか……。
「いや、それは無いよね。まさかね」
我は龍神……
そなたを選びし白きモノ。
それは、我が「龍の宝玉」。
汝、牡丹の姫となる者。
って、ホントに!?
いやいや……ゲームやろうとしてトリップなんて、
そんな、ありきたり過ぎて笑えないよ!?
「だいたい、“牡丹の姫”って何……?」
とりあえず、あたしは龍神の神子じゃないんだね……?
汝、その名を答えよ。
「そうそう、最初に名前を入力するんだよね。
はい、……っと」
次に、汝の生まれた月日を答えよ。
「誕生日は十月五日ね。さて、何属性になるんだか……」
出来れば、バランス的に水か火でお願いしたいな。
「……とりあえず、せっかくだからもう少しこの夢を見ていよう!」
楽しそうだしね!!
そんなことを考えていると、さっき聞こえた鈴の音がまた聞こえる。
時空はゆがめられた。在るべき姿を取り戻せ。
「向こうの世界……
京の時空が歪められたってことかな?」
その通りだ。
その時空のあるべき姿を取り戻すために龍神の神子は選ばれ、
龍神の神子を援助する牡丹の姫として、汝は選ばれた。
「龍神の神子とは違うの?」
龍神の神子は別に存在している。
それを援助するのが、汝の役目。
「その援助する人を牡丹の姫、って呼ぶんだね?」
汝の言う通りだ。
汝は必要とされている場所で目覚める。
我は今問おう。
汝が人の心で最も大切だと思うものを答えよ。
「人の心で、もっとも大切なもの?」
そうだなぁ……
……あ、なんか選択肢とか出てきたし。
「……じゃあ、“未来を信じる勇気”で」
未来がどうなるかだなんて、あたしたちには分からない。
でも、信じてる。
だからあたしたちは、今を生きていられるの―――
汝の答えは我が心に刻まれた。
汝に青龍の加護を与えよう。
「あ、この選択肢だと青龍なんだ」
とゆーか、遙か2ってこーゆー始まり方なんだなぁ……。
汝は我が選んだ牡丹の姫。
京の力を――汝に見方する五行の力を得よ。
汝は、神子の支えとなれ。
神子とその八葉と共に京の未来を守れ。
それこそが汝の世界へ続く道となろう。
――目覚めよ、我が牡丹の姫。
目覚め、時空の在るべき姿を取り戻せ。
――京を救え――
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