「おーい、誰かいるかァ〜〜?」


          屯所で総悟と近藤さんと一緒にテレビを見ていると、
          聞き覚えのある(でもココで聞くのは珍しい)声が門のほうから聞こえてきた。




















思い出のアルバムを心に――第四話 その笑顔を永遠に願う 前編



































          「万事屋か?」

          「……旦那ですねィ」

          「うん、明らかに銀時だね」


          やって来たのは、(ホント珍しいことに)銀時だった。

          ……って、アレ?
          このくだり、前にもどっかで……



          いや、今はそんなことどーでもいいか。










          「おー、こんなとこにいたのかオメーら」

          「『こんなところ』ってオイ。
           いや、それより…突然どーしたの?」


          銀時が自分からココに来るなんて珍しいよね。
 
          思ったことをそのまま口にすると、少し罰が悪いような
          そんな感じの顔をして言う。







          「俺だってこんなところに来たくなかったけどよォー…
           しょーがねェだろ、のためなんだから」

          「お姉の?」


          そうか、なんかよく解んないけどお姉が関係してるのか。
          だったら、銀時が自分からココに来るのも納得かもしれないな。















          「それでだなァ……今日はに頼みがあるんだ」

          「頼み?」

          「あァ」


          てゆーか、何?
          またどこかであったようなくだりなんですけどコレ……
          (……いや、今はあえて考えないようにしよう)



          …んで、銀時の話によると、こうだ。

          数日後に誕生日を控えているお姉のため、
          みんなで何かパーティ的なものを開きたいらしい。







          「めんどくせェから、ぶっちゃけ人数が多いのは嫌なんだけどよォ…
           たぶんは、なんかそっちのほうが嬉しいだろ」


          少し遠い目をしながら、銀時が言った。

          ――もしかすると、故郷に居た頃のお姉を思い出しているのかもしれない。
          なんとなく、直感でそう思った。










          「こんなトコでテレビ見てるくらいだから、てめーらどーせ暇だろ?」


          とゆーワケで手伝え、と銀時は続けた。
          (その前に、手伝ってもらう態度じゃないだろと思ったけどね)















          「いいじゃないか、ちゃんの誕生パーティ!
           オイ万事屋、俺も協力するぞ!」

          「マジでか」


          が答えるよりも先に、近藤さんが勢いよく返事をした。
          ……てか、「俺も」って、またもやも協力すること勝手に決定してるんですけど。







          「まァ、協力してやってもいーんじゃないですかィ。
           他でもないさんのためだし、……酒も呑めるし」

          「そーだな、酒も用意するかァ〜」


          が微妙な心境になっていると、総悟も銀時の意見に賛同した。
          ……てか、コイツは結局いつも酒なんだな
          (しつこいようだけど未成年だからねコイツ)















          「で、どうだ? 

          「…………ホントにしょうがないけど、手伝ってあげるよ」

          「マジでか! いやァ、助かるぜ」


          なんだか、またもや流れに乗せられた感じがしないでもないけれど、
          まァ、いいか。お姉も間違いなく喜ぶだろうしね。


          そんなこんなで、誕生パーティの準備を始めることに……



          ……しようと思ったんだけど、そこはやはり銀時だ。
          お姉と違って計画を立ててきたわけでもないので、一からうちらで考えなければならない。







          「んで、どーする?
           具体的にどんなのがいーと思う?」

          「そうですねィ……
           ここはやっぱ、ご馳走と酒を大量に準備するしかないでさァ」

          「ご馳走はともかく、お姉は酒あんま得意じゃないぞ」


          総悟の安易な意見に、すかさずツッコミを入れておいた。
          (じゃないと、そのまま勢いで決めそうだし)















          「まァ、でもご馳走はあながち間違いではないかもしれませんね」

          「確かにそうだな……
           食べてるときのアイツ、いつもすげェ幸せそうだしな」


          後から招集をかけられた新八とトシが言う。







          「そーいえばこの間、がテレビの特集みて
          『こんなご馳走食べてみたい』って言ってたヨ!」


          同じく招集された神楽も、ご馳走作戦(?)には賛成らしい。















          「じゃあ、ご馳走はほぼ決定としてェ〜……
           あと、ひとまず場所だよなァ。どーするよ?」

          「ご馳走を用意するくらいなら、広いに越したことは無いんじゃないか?」

          「まさか、またココか?」

          「それだと1パターンじゃないですかィ?
           全く土方さんは、そーゆーところ気が利かないんでさァ」

         
「うるせェ!!」





          「いっそのこと、さんが行ったことない場所を使ってみるのもいいかもしれませんね」

          「私はアレやりたいアル、アレ!」

          「アレって何? 神楽ちゃん」

          「コスプレ!」

          
「なんで突然!?」





          「コスプレだったら俺は、土方さんにアレやってほしいんでさァ」

          「…………なんだ、アレって」

          「マヨネーズ」

          
「やらねーよ!!」





          「オイオイ、話がそれてきてんぞオメーら」

          「そうだぞ、お前らいい加減にしないか!」

          「んで……結局何の相談してたんだっけか?」

          「そりゃアレだろ?ご馳走の内容!」

          
「いや違うでしょ、どー考えても!!」















          ……は、そこで一度大きく深呼吸をした。
          そして。







          
「お前ら全員、真面目にやる気ないなら斬るぞ」

          「「「「「「すいませんっした」」」」」」


          決して大声を出したわけではなかったけれど、全員の耳に届いていたようで。
          全員がものすごい勢いで土下座してきた。(ちょっと面白い眺めだと思ったのは秘密だよ)




















          「……まァ、今のお前らの話を、うまくまとめられないワケでもないよ」

          「マジでか!
           お前マジ天才だよ!」

          「まァな。
           だてにあの人の妹を18年近くやってないし」


          話のまとまらないバカ共の顔をぐるっと一周見回したあと、
          はまずトシに向き直った。







          「まず、最初に決めなきゃいけないのは場所だ。

           ご馳走や酒を用意するにしても、他のことを計画するにしても、
           場所が決まっていなければ手が付けられない」


          の言葉に同意するように、トシが黙って頷く。








          「屯所でも問題ないと思うが……
           銀時はサプライズ感を出したいみたいだし、今回は違う場所のほうがいいね」


          じゃあどーするんでさァ、と、総悟が問いかけてきた。
          それを受けて、総悟のほうに一枚のチラシを差し出してみる。















          「……ホテルの案内?」

          「あァ。
           実は三日前くらいに、絡んできてた不良からここの経営者の娘を偶然助けてやってな。
           その関係で、『もし何かありましたら、ぜひうちのホテルを』と案内をもらった」


          助けてもらったこともあるので、少し割安にしてくれるとも言ってた。







          「場所はここにする」

          「確かに……なんかすごく良さそうなところですね」


          案内を見ながら新八が言った。
          他の連中も文句を言わないところを見ると、賛成しているんだろう。















          「んで、ずっと話に出てたご馳走だな。
           それはここのホテルで用意してもらえるだろう」


          ついでに酒もな、と付け加えると、総悟が「やりィ!」と声を上げた。
          (てゆーかお前はホントに酒だなオイ







          「
           私はコスプレがしたいんだヨ!」

          「あァ、それも考えてあるよ」

          「そうなんですか?
           でも、一体なんのコスプレを……」

          「そりゃァ、今回はお姉の好みに合わせるケド」

          「の好み……?」


          揃って不思議そうな顔をしている連中に、は(自分としては)丁寧に説明していった。


































          「……じゃ、パーティの流れとしてはそんな感じだな。
           あとはそれに向けて準備していくだけだ」

          「さん、役割分担はどうします?」

          「それはが独断と偏見で決めた」


          さすがですね、と、新八が言う。







          「さっそく分担を発表していくよ。
           まず新八は、お姉の顔見知り全員に声を掛けてみてくれ」

          「顔見知り全員…ですか?」

          「あァ。
           ホテルでパーティするんだ、人数は多いほうが盛り上がるだろ?」


          とりあえず、お姉の顔見知りの連絡先を知ってる奴は、
          みんな新八に教えてやってくれ。











          「あと近藤さんには、先に会場を下見しといてほしい。
           たちも後から行くから」

          「よし解った! 任せてくれ、ちゃん」

          「んで、銀時はその会場…ホテルで、料理の味見」

          「りょーかい」


          とりあえずお姉の好きそうなメニューは、選んで連絡しといたから。
          それを今、試食用に作ってくれているはずだ。







          「トシはと一緒に買い出し。
           衣装とかいろいろあるから、荷物も多いだろうし」

          「あァ」


          とりあえず、さっきホテルに連絡したとき先に会場を一つおさえたから、
          活動拠点もそこにしようと決めた。















          「それじゃ、みんな行動開始してくれ」


          の言葉を受けて、その場に居た奴らがぞろぞろと動き出す。
          でも、その中で座ったままの奴が二人居た。







          「
           私は何をしたらいいネ?」

          「俺も、まだ何も指示されてませんぜ」


          予想通り、少し不満そうな二人。
          そんな二人に向かって、疑問に答えてやる。










          「お前ら二人には、別の任務を頼もうと思う」

          「「別の任務ゥ?」」

          「あァ、そうだ」


          その「別の任務」について説明してやると、二人もやる気満々でさっそく行動に移っていった。














          「さて……どうなるかな」


          お姉はこのパーティのことを知ったとき、どんな反応をするのかな。
          まァ、間違いなく驚くんだろうけど……


          先のことをいろいろ想像しつつ、も買い出しに出かけていった。










          To Be Continued...「その笑顔を永遠に願う 中編」