「う、……頭、痛い…………」
「お前そりゃァ、アレだわ。完全に二日酔いだわ」
「うう…………」
の誕生パーティ翌日。
パーティ中に酔っ払い、誰彼かまわず絡み始めたコイツを寝かしつけた俺は、
心配になって朝イチでの泊まった部屋に寄ってみた。
(ちなみに、パーティの準備をした俺たちもホテルの部屋を借りて泊まった。)
「から薬預かってきてんぞ。飲むか?」
俺が来たときには既に起きていたらしいだが、
二日酔いでかなり調子が悪りィのか、ベッドに座り込んでいた。
「銀さん、その薬って……食後に飲むやつ?」
「え? あー……
いや、別に食後じゃなくてもいーみたいだな」
まァ、もその辺は心得てこの薬を渡してきたんだろーけどな。
「じゃあ、飲む……」
「おう。これ、水な」
「うん……ありがとう……」
一緒に預かってきたペットボトルを渡してやると、
ゆっくりとした動作ではその薬を飲んだ。
「んで、お前この後どーする?
の話じゃ、ホテルの方で気ィ利かせて朝飯用意してくれたって話だけど」
おそらく今は飯なんて食う力も無いだろうと思いつつも、一応問いかけると。
「う〜〜ん……せっかく用意してくれたもの、食べたい気もするけど……
大人しく休みます……」
覇気の無いしゃべり方でそう言って、のろのろと布団にもぐり込んだ。
「……そっか。
んじゃ、俺ァとりあえず行ってくるわ」
ぶっちゃけそばについててやりたいが、コイツも付きっきりじゃ逆に疲れるだろ。
そう思った俺は、ひとまずを一人残して部屋を出た。
「はぁ〜、お腹すいたね!」
……――そして、昼過ぎになって。
朝とは別人のように元気になったを連れて、万事屋に戻った俺たちだったが……
『なんか、気分良くなってきたらお腹すいちゃった』
……なんてが言うもんだから、新八、神楽、
(そして何故か一緒に万事屋まで来ていた)を加えた5人でファミレスに向かっていた。
「あたし全然覚えてないんだけど、昨日はみんなに迷惑かけちゃったみたいだし……
今日のお昼は、おごらせてね」
「えっ、いいんですか、さん!」
「うん!」
「、太っ腹アルな!!」
の言葉に、新八と神楽がテンションを上げた。
「もちろん、も行くよね?」
「おごりなら行かない手は無いよね」
「あはは、確かに」
そして、ちゃっかりもおごってもらうつもりらしい。
(つーか、一般市民に奢らせてんじゃねェよ、クソポリ公!)
「確か、新作のデザートとか出てたはずだよね♪
楽しみだなぁ……」
「お姉……
デザートもいいけど、まずはちゃんと主食を食べてよね」
「うん、もちろん!」
「……さてと。
注文も済ませたことだし、先にドリンクでも取ってくるか」
そんなことを言いながら、がドリンクバーを取りに行く。
「あっ!待つアル、! 私も行くネ!!」
「ぼっ、僕も行きます!」
そんなに続き、神楽と新八も席を立った。
「……お前は行かないのか?」
「え? うん、まあ……
みんなで一気に行っちゃったら、混み合うしね」
てっきりアイツらと一緒に行くもんだと思ってたは、
俺の隣に座ったまま動こうとしない。
……けど、まァ確かに、コイツならそう思うかもしれねーな。
「それにしても、ほんとデザートどうしようかなぁ……
定番のチョコパフェもいいんだけど、季節のパフェも気になるし…!」
デザートは後から頼むとか言ってたが、どーやらまだ悩んでるらしい。
「…………」
今日も今日とてメチャクチャかわいーなんだけどよォ……
俺は、あることがずっと引っかかってた。
『銀さん……
さっきの約束……忘れないでね…………』
「…………」
昨日のアレ……
やっぱ、寝言……だよなァ?
「季節のパフェだと、栗とサツマイモかぁ……
おいしそう……!」
朝からコイツの様子を探ってみていはいるが、それこそいつもと変わらねェし……
「……あっ、でも抹茶パフェもある!
こっちも捨てがたいような気が……どうしよう……」
やっぱ寝言だよなァ……そうだよなァ〜〜…………
「…………ねぇ、銀さん」
「んー、なんだァ? どのデザートにするか決まったのか?」
「そうじゃなくて……」
さっきまでの、デザートを何にするか悩んでたときとは明らかに声のトーンが違う。
何かあったのか思いとに目を向けると、来い来いと手招きをしている。
どーやら、内緒話をしたいってことらしい。
それが解った俺は、の方に耳を近づける。
「あの、それで……銀さんはいつ、一緒に寝てくれるの?」
「……………………は?」
あまりにも予想外な言葉だったもんだから、
俺は文字通り(つーか見た通り?聞いた通り?)間抜けな声を出してしまった。
「だって……約束したよね?」
「…………!!」
そう言って、いつもと変わらない、かわいらしい笑顔を浮かべただが……
その笑顔に、ほんの少しだけ悪戯っぽさが混ざっていた……気がした。
「……あ、お姉まだドリンク取ってきてなかったんだ」
「うん。混み合っちゃうとアレだがら、順番に行こうかなって。
たちは、サラダバーも取ってきたんだね」
「そー。だから時間かかったってわけだけど……
とにかくお姉も取ってきなよ」
「うん、そうする!」
戻ってきたたちと入れ違いで、はさっさとドリンクを取りに行っちまった。
「…………」
「…………オイ銀時、お前なんで顔真っ赤なわけ?」
「…………!!!???」
「まさか、たちが居ない間にお姉に変なことを……」
「するワケねェだろ!!!」
どっちかって言うと、俺がされた方じゃねーか!?
そう叫びたいのを我慢し、ドリンクを取りに行ったの方へ視線を向けると……
「…………えへへ♪」
「…………!!!」
さっきとおんなじで、また悪戯っぽい笑みを浮かべていたのだった。