拾七話:悩み相談、承ります
〜♪
一人で市中見回りをしてたら、
突然(もともと持ってる方の)ケータイが鳴った。
「まさか!」
ってか絶対。
この世界で、このケータイにかける奴なんか一人しかいない。
「あ、もしもし〜?」
「ハイ、です。ただいま電話に出ることが出来ま…
はくしゅんっ!!
…出来ません」
「うそ、だって留守電は『くしゃみ』なんかしないよ?」
「ちっ…」
ばれたか。我ながらいい案だと思ったんだけどなァ。
(別にと話したくないわけじゃない)
「で、どしたの?」
「うん、それがね…ちょっと心配なことがあって」
「心配なこと?攘夷関係??」
「ううん、違うよ」
「じゃあ何?」
真選組に追われたとか?そんなの仕方ないじゃん。(厳
「この間ね、江戸で一番人気の甘味屋さんに桂さんと一緒に行ったの」
「ふーん…
え?」
甘味屋?
「って、ちょっとォォォ!!アンタら自分が攘夷志士なの自覚してんの?!
何フラフラ外うろついてるんだよ!!!」
「いいじゃない、たまにはお休みも必要だよ」
「お休みとか、それ以前の問題だよ」
「それは置いといてね。それで甘味屋さんに行ったら銀さんに会って」
置いといて?何なんですか、それ。私のツッコミ無視ですか?
『銀時…こんな所で会うとは』
『よォ、ヅラか〜』
『ヅラじゃない、桂だ!!』
『桂さん、そんなに大きな声で言ったらダメですよっ!!』
『あ?誰だよ、ヅラ。その後ろにいる可愛いコは』
『という。最近我々の仲間になった者だ』
『です、よろしくお願いします』
「ってな感じで会話が始まってね」
「ハイハイ」
相変わらず前置きが長いのね、は。(諦)
『フッ、いつまで経っても独り身とは…
淋しいな、銀時』
『うっせェ!お前はちゃんと付き合ってんのかァ?!』
『えっ…///』
『彼女ではない、未来の奥さんだ』
『俺だって今、未来の奥さんがいるんだからなっ!!』
『ほう…それは興味深い』
「って話になってきちゃってね」
「…ハイハイ」
え?あっ、ちょっと待ってよ…
『未来の奥さん』?また、このフレーズかよ?
いや、その前になんでってば否定しないの?
…まさか、すでに両想いなのか…?!
『本当にそのような女子(おなご)がいるのか?』
『あー、本当ですよォ〜。お前だってチラッっと見ただろ?
ちゃんって言う天パでめちゃ可愛いコだよ』
『池田屋にいた真選組の隊士か』
『おうよ』
『え…って、未来の奥さんってのことだったんですか?!』
『『え?』』
『キミ…のこと知ってんの?』
『本当に存在する人物なのか…』
『んだよ、テメェ!
俺がウソ言ってると思ってやがったのか、おいィ!!』
『その通りだ』
『んだと、このヅラ野郎!!』
『ヅラじゃない、桂だ!!』
「あのさ〜、桂さんそんなに自分の名前、連呼してて
よく捕まらなかったね」
「うん、ラッキーなんだよ桂さんって」
そう?
『落ち着いてください、2人ともっ!』
『あ、あぁ…すまない、』
『いえ』
『フン…ところで話を戻すけどよォ、ちゃんって
と知り合いなのか?』
『はい、は私の親友です!!』
『『親友?!』』
『親友って…おい、ちゃん。は真選組だぞ?分かってる??』
『はい』
『、真選組は我々のことをひっ捕らえようとしているのだぞ?
簡単に言えば敵同士なんだ』
『はい』
『それでも親友なのか?』
『はいっ!!』
『そっか…そんなに力強く肯定されたら、そうなんだろうなァ』
『お前とその‘’という者の間には強い絆があるのだな』
『はい!私たち、ずっと親友です!!敵同士になったこと、
お互いそれなりに理解してるつもりです。
だから、哀しいとか無いです』
『ふ〜ん…』
私はちょっと哀しかったんですけど…
ガラにもなくシリアス入ってたし。
『とにかくだ、そのような人物がお前を好きになるとは思えない。
ということで結婚は出来ないだろう』
『何、勝手に結論づけてんだよ!!まだわかんねェだろーが!!!』
『いや、わかる。なんといっても天パーだからな』
『天パー、バカにすんじゃねェェェ!!
だって天パーなんだからな!!!』
『その‘’という者は、きっとお前より可愛らしい天パーに違いない。
お前のは見苦しいだけだ』
『テメェに天パーの何がわかるってんだァァァ!!!』
「って感じでね、天パの討論になっちゃて」
「うん」
あ、やっと本題にいきそうな雰囲気。(期待
「銀さん、反論はしてたけどに嫌われちゃうかも、って
思ったらしくてしょんぼりしてたんだよね」
「…うん」
「だからね、銀さんに何か言ってあげて?」
「慰め?」
慰めたからって元気になれるわけじゃない。
私に何か出来るのかなぁ…。
「ちょっと違う…でも、銀さんのこと嫌いではないって言ってあげて」
「……」
「落ち込んだままじゃ毎日、つまらなくなっちゃうよ。
そんなの哀しい気がする」
「そう…だね」
は気配り上手だ。それは今に始まったことじゃない。
周りへの気配りが出来る、そしてそれは
計算された気配りとか、そういう嫌味ったらしいものじゃなくて。
「銀さんのこと、嫌いではないでしょ?」
はボケのクセに鋭いんだよね…。
「あ、それとも好きだった?」
「何言ってんの!///」
「あはは、ごめん」
「好きかはまだ分からないけど…でも銀さんのこと嫌いじゃない。
それに、恋愛じゃなくて人としてなら大好き」
「なるほど、らしい意見だね」
「褒め言葉として受け取っとく」
まったく、って奴は…。
「じゃあ、今から銀さんの所に行ってみるから」
「うん」
「またね、」
「うん!も何かあったら電話して」
「うん」
「親友だし!相談するのに敵同士なんて関係ないよ」
「当たり前!!」
よーし、じゃあ銀さんを元気づけに行きますか!
えーっと、万事屋ってこの辺りだよね…。
いや、まだ地理がよく分かってないからさ。
「あ、あった!」
こちら、!ターゲット発見しました!!(何
「こんにちはー!です!!銀さんいますかー?!」
「こんにちは、さん」
「こんにちは、新八くん。ところで銀さん、いる?」
「いるのはいるんですけど…」
「?」
「まぁ、とりあえず中へどうぞ」
そして万事屋の中に通された。
「…ちょっと前からこんな感じなんです」
「なるほど…」
そこには部屋の隅っこでいじけてる銀さんがいた。
キノコが生えそうなジメジメ感がした。(酷
「銀さん、さんが来てくれましたよ?」
「嘘はいけないなァ、新八くん。が来るわけねェだろ…」
「いや、実際にここにいますから」
「銀さん、遊びに来たよ!!」
「あーあ、俺も年か…幻聴が……」
幻聴じゃないから。ちゃんといるから。
「銀さん!!ひどいよ、無視するなんて!!!」
「……」
……。
「!!お前、何してんだ??!!」
「気づくの遅いわァァァ!!!」
「いや、悪りぃ…てっきり新八のイタズラかと思ってな」
「そんな子供じみたイタズラしませんよ!!!」
「と、とにかくっ!銀さん、散歩しない?」
「一緒に?」
一緒じゃなかったら、いちいち断りを入れない気がする。
ね、そうだよね?
「そうだよ」
「マジでか?!よっし、すぐ行こう!今すぐ行こう!!」
「ちょっ…!銀さん、待って!!」
ってなワケで(どーゆーワケよ?)おなじみ、いつもの川原に来てます。
だって、ここ寝っ転がると気持ちいいんだよ。
「…銀さーん?」
「何ですか、さーん」
「銀さんの天パ、私は好きだよ?」
「……」
「もちろん銀さんのことも大好き。
…恋じゃないけど、そうならない可能性が無いとも言えない…かな」
だから元気だしてね、なんて可愛らしく言葉をかけてみる。
(実に珍しいことだよ)(おい
「……」
「桂さんの言ったことなんか忘れちゃいな!」
あ、『なんで知ってんだ?』って顔してるなぁ。
「に聞いた」
「…なるほど」
「銀さん、ほら元気出してよ!悔しいなら、私のこと本気で落としてみなよ。
そうすれば今度は桂さんが悔しがるから」
「俺に…それが出来る可能性はあんのか?」
「さっきも言ったじゃん!無いわけじゃない。
ってことは、まぁ、充分あり得るってこと!!」
ポジティブに行こう、銀さん!!(誰
「わかった…」
「え?」
「俺は絶対にを奥さんにするぞォ!!だから覚悟しとけよ!!!」
「私は、そう簡単にはなびかないからね」
「臨むところだぜ」
銀さんが、いつもの銀さんに戻った。
なんだか私も嬉しくなった。
「と、いうことで…真選組なんかやめちゃわない?」
「い・や!(土方さんイジメが楽しいから)」(酷
「即答ですかァァァ!?」
「即答ですよ」
「ちゃん…ちょっとは同情とかしないワケ……?」(泣)
また落ち込み始めた銀さんだったが、たぶんもう大丈夫だと思った。
大切な人たちを護るために、私は頑張りたいと強く願った。
護るためだけじゃない、いつも元気に笑顔でいてもらいたい。
おだてるとか、そういうのじゃなくて。
私の持ってる力で笑顔にしたい。
それが、出来るといいな……。
♪♪♪ あとがき ♪♪♪
銀さんがちょっと落ち込んじゃうお話(笑)
桂さんとちゃんは、やっぱ両想いなのでしょうか…
千夜にも分かりません(おい!
こう、物理的に護るだけじゃなくて、
心も護れたら理想ですよね。
ぜんぶ護れるわけもないけれど、
ちょっとでも護れたら。それで。