五拾話:複雑に絡み合うそれぞれの想い



















          『だからどーか、このことは近藤さんや土方さんには内密に……』










          そう言った総悟くんとそして私は、その後、銀さんたちと別れた。







































          ドシャッ







          「なかなか敵さんも尻尾を出さねーな」

          「下っ端の人じゃ、詳しいこととか知らないんじゃない?」

          「違げェねェ」










          銀さんたちと別れてから、煉獄関での格闘に関わってそうな奴らを
          片っ端からやっつけていってるんだけど……










          これといった情報も手に入らないんだよねー……。



















          「……しかし、ちっと暴れすぎたかな」

          「言っておくけど、私は途中で止めたからね?」

          「何言ってんでさァ、最後はもノリノリだったくせに」










          いや、ノリノリで人を斬る人間ってどんなだ!?
          (でもこのサディスティック星の王子ならあり得るか……!



















          ザッ







          ……? 何の音…………?















          「オフの日まで仕事とは御苦労だな」










          ……!










          「はともかく、お前がそんなに働き者だとは知らなかったよ……」










          土方さん!!??
          (てか、総悟くんが「げっ」っていう顔をしてる……)




















          …………アレ?
          さっき近藤さんや土方さんには内密にとか言ってなかったっけェェ!?


















































          「まぁまぁ、遠慮せずに食べなさいよ」

          「……何コレ?」

          「旦那、すまねェ。 全部バレちゃいました」

          「そして連行されちゃいました」










          ……土方さんにレストランまで連れてこられた私、総悟くん、
          そして銀さんです。(何










          「イヤイヤそうじゃなくて、何コレ?マヨネーズに恨みでもあんの?

          「カツ丼土方スペシャルだ」











          説明しよう!
          私たちの前には、マヨネーズまみれのカツ丼が置かれているのだ!
          これを、土方さんは“土方スペシャル”と言っているのだが、
          どの辺がスペシャルなのか理解できないものなのだ!!(何キャラ?










          「こんなスペシャル誰も必要としてねーんだよ
           オイ姉ちゃん、チョコレートパフェ一つ!」

          「お前は一生糖分とってろ
           どうだ総悟、ウメーだろ?」

          「スゲーや土方さん、カツ丼を犬のエサに昇華できるとは











          てか総悟くん、土方スペシャル食ってるぅぅぅ!!??
          (すごいよ!!)









          「総悟くん、そんなもの食べたら体壊すよ!
           私と一緒に別のものを食べよう! ねっ!?

          「がそこまで言うならそうしまさァ」

          「よしっ! あ、お姉さん、オムライスを二つ!」










          「……何だコレ? おごってやったのにこの敗北感……
           ……まぁいい、本筋の話をしよう」









          あ、そうだよ、なんで連行されたのか未だに解んないし(オイ










          「……テメー、総悟にいろいろ吹きこまれたそうだが、
           アレ全部忘れてくれ」

          「んだオイ、都合のいい話だな。
           その感じじゃテメーもあそこで何が行われているのか
           知ってんじゃねーの?」

          「えっ! 土方さん、知ってるのに何もするなって言うんですか!?」











          そんなのって、ダメだと思うんですが!










          「いずれは真選組(ウチ)が潰すさ、だが今はまだ早い」

          「でも……」

          「、小物が数人はむかったところで
           どうこうなる連中じゃねェんだ。今はまだ、早すぎる」










          そんな……。










          「土方さん、アンタひょっとしてもう全部つかんで……」

          「……近藤さんには言うなよ、あの人に知れたら
           なりふり構わず無茶しかねねェ」



















































          『天導衆って奴らを知ってるか?』










          天導衆、かァ……
          そんな危険そうな奴らが絡んでるんだ…………。















          「あァ〜、ったくよォ、あのカツ丼はあり得ねェよなァ」











          銀さん…………










          「銀さん、なんだかんだ言って調べてくれてたんだね」

          「あァ? 何のことだよ」

          「ううん、なんでもない(笑)」










          総悟くんが銀さんを頼る気持ち、私も解るよ。










          「…………そーいやァ、。お前これから帰んの?」

          「うん、とりあえずいったん帰るよ」

          「じゃ、銀さんが送ってってあげますよ」

          「マジでか! ありがとう!」











          土方さんは、総悟くんにお説教があるからって
          私だけ先に帰らせるしさァ〜。










          「よっし、とにかく帰ろう。行こう、銀さん!」

          「そうだな」

          「ねェ、銀さんが調べてきたことも教えてくれる?」

          「…………あー、どうせダメっつっても聞かねーんだろ?」

          「よく解ってるね、銀さん♪」










          私は、銀さんに詳しいことを聞きながら、その日は帰路についた。















































          「…………で? お前はどういうつもりで
           まで連れてったんだ?」

          「別に……どうもこうもありませんぜ。
           ただの力を借りようと思いましてねィ」

          「お前だってこの一件が危険なものだってことくらい、解ってんだろ。
           なのに何故アイツを巻き込むんだよ」










          を巻き込む……?










          「俺は、を巻き込んだつもりはねェ。
           は真選組隊士の一人、だからその力を借りようと思ったまで」









          確かにのことは大切だが、それ以外に、
          俺は仲間としてのの力を買っている。










          「お前の我がままに付き合ってが危険な目に遭わねェとも
           限らねェだろ。ホントに解ってんのか?」

          「は危険な目には遭わねェ」

          「何故そう言いきれる?」










           …………。















          「は俺が守るから、危険な目には遭わねェって言ってるんでさァ」

          「総悟……」

          「土方さんと俺は違う……考え方も。
           俺のやり方に口出しされる筋合いはありませんぜ」

          「…………」










          そうだ……俺には俺のやり方がある…………



















          「…………話はそれだけですかィ? 俺ァもう帰りますぜ」

          「あっ、オイ待て、総悟!!」




















          ……も俺に協力してくれませんかィ?』

          『え? もちろんだよ! 当たり前でしょ、仲間なんだから☆』











          即答してくれたあのとき、好きになったのがで良かったと、
          そう思ったことを、はきっと知らない……――――



























































          「えっ……?」

          「鬼道丸は死にやした」

          「そんなっ……」









          鬼道丸……煉獄関で本物の殺し合いをしていた、けれど、
          本当は、ただの優しいお父さんだって銀さんが言ってた人…………










          「天導衆の奴らに始末されたと見てまず間違いねェ」

          「ひどい……」

          「…………俺は今から万事屋の旦那にそれを伝えに行くつもりでさァ。
           も行きますかィ?」

          「うん…………連れて行って」

          「…………じゃあ、行きやしょう」















          新八くんや神楽ちゃんは、鬼道丸さんが江戸から逃げるための
          手助けをしたって言ってたんだけれど……










          その後に、天導衆が殺したってこと……だよね…………
















          「許せない…………」

          「…………」















          それからは、私も総悟くんも一言もしゃべらずに
          銀さんのところまで歩いていった。