六拾参話:自分の無力さを知った日
神楽ちゃんが伸ばした手を、
銀さんは取ることが出来なかった…………。
「銀さん!!」
やっぱり来てくれたんだ!!
「おまっ、!?
お前までこんなとこで何してんだ」
「そんなことより、今は神楽ちゃんを助けないと!」
神楽ちゃんは、未だにえいりあんの手の中にあった。
「そ、そうだな……けど、
なんでこんな危ないとこにいたのか後で聞くかんな!
未来の夫として聞いとかないと銀さん気が済まないから!」
「うるせェェ!!久々のネタをこの場で使うなァァ!!」
状況解ってんの!?
「くそっ……ふんごォォォ!!
こんのミミズ野郎ォ!!そいつを離せェェ!!
小便かけんぞォ!!あまーい小便かけんぞ!」
そして脅しが幼稚くさい…………!
「そんな事したらなァ……
大事なところがはれあがるぞォォ!!
母ちゃんに習わなかったのかァ!!」
銀さんがえいりあんに飛びかった直後、
星海坊主さんも負けじとえいりあんに飛びかかった。
「よォ、今さら何をしに来た若造……
どのツラさげてここに来れたんだ、てめーは」
「祭り事が好きでねェ。
火事と喧嘩とえいりあんは江戸の華ってな、しらねーかィ?」
え、何それ?(オイ
「しるかァァァ!
えいりあん以上に不快な野郎だ、失せやがれ!!」
「うるせェェ、お前腕とれてるぞォ、病院いけェェ!!」
「お前が行けェ!!
カゼをひけェ、お前はカゼをこじらせろ!」
「お前がこじらせろォ!!
学校を二、三日休んで休みあけにちやほやされろ!
お前みたいな奴は!」
「って、なに子どもじみた言い合いしてんのォォ!?」
何度も言うけど、この人たちホントに状況解ってんの!!??
「だーから、お前は早く帰れって!
病院いって早く腕にマイナスドライバーつけてこい!」
「誰がつけるかァァァ!
お前、マイナスなんてあんまり使わねーじゃねーか
どっちかっていうとプラスがいい!」
そんな感じで銀さんと星海坊主さんが言い合いをする間も、
えいりあんはスピードを緩めることなく増殖していく。
ドォン
「!」
アレって…………
「真選組のみんなだ!」
「止めろォォォ!なんとしてもここで食い止めるんだァ!
奴等を江戸の街に入れるなァァァ!!」
「きっと、土方さんや総悟くんだっているはずだよね!」
〜♪
「ん?」
「土方さん、ケータイが鳴ってますぜ。
仕事中にケータイいじるたァ、いい度胸してますねィ」
「お前にだけは言われたくねーよ……
…………!」
「どうしました?」
「…………からだ」
「!」
「あっ、もしもし土方さんですか!?」
『、お前今どこにいるんだよ』
「えーっとォ……実はターミナルにいます」
『…………はぁ?』
「だから、ターミナルにいるんですってば」
『なんでそんなとこにいんのォ、お前!?』
「色々となりゆきで」
『意味わかんねェよ!』
ってか、言い合いしたくて電話したんじゃないし!
『土方さん、とにかくえいりあんの暴走を食い止めるよう
砲撃してくださいね!』
「もちろんそのつもりだが……
それよりお前、なんでターミナルに「あ゛あ゛っ!アレを見ろォォ!!」
「!」
『えいりあんが急速にひいていくぞォ!』
『やったァァ!!』
『俺達の勝ちだァァ!!』
ケータイ越しに聞こえたその声に合わせ、
あたしもえいりあんの方に向き直る。
だけど、これって…………
「ホントにひいてるの……?」
『いや、違う』
否定をしたのは、ケータイ越しに話している土方さんの声。
「なっ、なんだありゃ!?」
「えいりあんが船に集まっていくぞ!!」
これって、一体…………?
「何が起こっているのでありましょうか?
あそこに一体何が……あっ」
「見ろォォ、誰かいるぞォ!!」
「あああ!!えいりあんの中心……」
「えいりあんの中心でなんか叫んでる!なんか叫んでるよ!」
『星海坊主!?ありゃあ星海坊主だァ!!』
『それに野郎も……』
ケータイ越しに聞こえる声からして、
真選組からも銀さんや星海坊主さんが見えてるみたい。
「どけェェェ!!」
「小便かけんぞォォ!!」
「すごい…………」
二人は勢いのままえいりあんを撃退していってるんだけど……
「神楽ちゃんは、どこに行ったの……?」
早く見つけないと…………!
「土方さん、砲撃で二人を援護できませんか!?」
未だ繋がったままのケータイに向かって私は叫んだ。
『そうしてェのは山々だが、奴らがえいりあんの中心で戦ってる以上
うかつに手は出せねェ。奴らをも砲撃に巻き込む恐れがあるからな』
「そんな……」
『落ち着け、。奴らが暴れまくっているおかげで
えいりあんの勢いも弱まってる。
もう少しだ』
土方さん…………。
「…………そうだ、二人ならきっと大丈夫だ」
銀さんの強さは知ってるし、
星海坊主さんだって伝説のはんたーだもの。
「きっと、神楽ちゃんだって助けられるよね…………」
だけど、私は見ていることしか出来ない。
それが、もどかしい…………。
気落ちしている私の耳に、ものすごい轟音が入っていた。
「って、何アレ!?」
宇宙戦艦ヤ○ト的なものが登場してるんですがァァ!!
『ありゃあ、松平のとっつァんだ』
私の疑問に対し、土方さんが再びケータイ越しに答えた。
「松平様って……」
あの恐いおじさんだよねェ!?
「…………あの、土方さん」
『ん?何だ』
「なんかアレものすごい軍艦ですけど撃ったりしませんよね?」
『…………』
え?何その沈黙!?
「撃ったりしませんよね!?」
『…………おそらく』
「えええェェェ!!??」
そこは“撃たない”って言ってェェ!!!
♪♪♪ あとがき ♪♪♪
はいはい、いよいよお話も大詰めですね!
いつものごとくうまく絡めなくてショックです!(オイ
前回はわざとあとがき無しでした。
忘れたわけじゃないですよ?(何
てか、ちゃん完全に傍観者ですよね。
(真選組メンバーもほぼそうだけど)
どうにかして絡みたいとは思っていますけど、
ここは銀さんと星海坊主さんの見せ場(?)ですからね。
あんまり介入しすぎるのも嫌なんですよね。千夜的に。
てか、ちゃんって割と周りを救っているけど、
武力的なものじゃないですよね、それって。
精神的なところで救っている気がする。
だから……戦いとかは他の人に任せたい。(えええ
えいりあん話はすぐには終わりそうにないので
引き続きお付き合い頂ければと思います……!