へ
お前に文を書くのは、初めてだな。まあ、今までそんな機会が
無かったといえば、それまでだが…今日はどうしても伝えたいこ
とがある。だから、この文に付き合ってほしい。
オレがお前と出逢ってから、今日で五年が経った。いつの間に
か五年だ、という思いもオレの中にはあるが…お前は、どう思っ
ているだろうか。…とにかく、お前やゆきには、本当に色々とつ
らい想いをさせてしまったな。済まない。
だが、そんな想いを微塵も感じさせず、お前はいつも前を向いて
いたな。むしろ、前しか見ていなかった。どんなにひどい状況で
も、つらい状況でも、お前は後ろを振り返らなかった。どうして
そんなに強いんだと、いつも不思議に思っていた。だが、今なら
なんとなく解るんだ。…それは、お前がお前だからなんだと。
、本当にありがとう。こんなことを言うのは少し情けないが、
お前はオレの道しるべだった。いつも、オレに行くべき道を指し
示してくれる。だが、今度はオレがお前の手を引いていきたいん
だ。お前が転ばぬように、お前が道に迷わぬように。この先の未
来も、共に歩んでいきたい。お前が、好きだから。
チナミ
牡丹の姫殿へ
こうして改めて手紙を書くというのも、少し不思議だね。
けど、たまにはいいと思うでしょ。君は前に文が好きだと
言っていたし、ちょうどいいよね。
本題に入るけど…私が君と出逢ってから、今日で五年目に
入るんだよ。覚えていたかな?私はね、そういうのは意外と
覚えている性質でね。君が忘れていたとしても、これを読ん
でいる時点では既に思い出しているように、何かしら仕掛け
をしていると思うよ。
君は本当に、ゆきくんのことが大切なんだろうなと、君を見
ていて何度も思った。瞬たちが彼女を大切に想うのは納得が
いくけれど、君が彼女を大切にする理由はよく解らなかった。
そして、その理由をやっと教えてもらったとき、さらに驚い
たのを覚えているよ。一方的に知っていただけで面識の無か
った彼女を、本当に心から助けたいと思っていたなんて。
…そんな君だから、私は惹かれたんだろうね。まっすぐ人の
瞳を見て話す君に、強く惹かれた。
――好きだよ、。
これからも、ずっと私のそばに居るようにね。
小松帯刀
へ
突然文なんて、びっくりしたか?オレもあんまり文は書かないから、
ちょっと緊張してるんだ。けど、節目ってやつだからさ…いつもは口
に出来ないこと、ここで伝えておきたいんだ。
オレとお前が出会ってから、五年が経ったんだな。なんかいろいろ
あったけど…今、隣に居てくれるのがお前で良かったって、改めて思
うよ。オレの隣を選んでくれて、ありがとう。
お前は初めからオレたちのこと、千鶴のこと、新選組、羅刹のこと
…全部知ってたけど、それが気持ち悪いとは思わなかった。むしろ、
知ってたのがお前で良かったって思う。うまく表現できねぇんだけど
…お前っていう存在が、そう思わせてくれるんだ。お前自身は、何も
意識してないかもしれない。ただ、それがお前の力なんだよな。きっと。
…オレ、お前のことが本当に大切なんだ。何があっても絶対に守
ってやるから、ずっとオレの隣に居てくれ。お前がつらいときには
そのつらさを、お前が嬉しいときにはその喜びを、ふたりで分け合っ
ていこうな。約束!
藤堂平助
ちゃんへ
やあ。僕が文だなんて、珍しい…なんて考えてるんじゃない?
図星でしょ。解るよ、そのくらい。…他でもない、君のことだか
らね。
ところでさ、僕と君が出会ってから、今日で五年目になるんだ
ってさ。知ってた?僕は正直覚えてなかったんだけど。「そこは
普通『覚えてた』って言うところじゃないの?」って考えてる?
また図星でしょ。だから言ったんだよ、他でもない君のことなら
解るって。さすが僕…なんてね。
僕はね…正直、会ったばかりの頃は君が嫌いだったよ。本当に。
なんで僕たちのことを知ってるんだ、ってのが一番だったね。
でも、君の人柄っていうのかな…そういうのが見えていくうちに
君に惹かれていった。自分でも戸惑うくらいの速さで。
つまりね、ちゃん。僕は君が好きだよ。君を…愛してるんだ。
今まで何度か伝えてきたけど、いつも冗談みたいな感じだったも
んね…ごめんね。でも、この気持ちに偽りはないから。それは、
信じてほしいんだ。この先も、ずっと。
沖田総司
僕を救ってくれた、大切なあなたへ
君はどのタイミングでこの手紙を見つけるのかな。僕がそばに居るときか、
それとも居ないときか…。どっちでも構わないけれど、とにかく…改めて君
に伝えたいことがあるから、こうして手紙を書いてみました。なので、読ん
でください。
僕が君と出会ってから、もう五年も経つんだね。早いなぁ…。今までいろ
んなことがあったよね。特に印象的だったって言えば…やっぱり、あれしか
無いかな。ゲルダの薬で動物に変えられちゃって、その後、ルナールが周り
の国を自分のものにしようとしてたりとか…。なんとか解決できたけれど、
本当に大変だったね。
でも、僕は思うんだ。あの一件が無ければ、僕はずっと本当の自分を隠し
たままだったんじゃないかって。そうじゃなければ君と深く関わることにも
ならなかっただろうし…。君と過ごしていくうちに、僕は忘れていた本当の
自分をちゃんと肯定してあげようって気持ちになれたんだよ。特別に何かし
たという覚えは、君には無いかもしれない。でもね、君という存在が…僕を
救ってくれたんだ。これだけは、間違いないよ。
改めて…ありがとう、。僕を救ってくれて。それから、もう一つ…
僕は、君が大好きだよ。君が僕の隣を選んでくれたからには、君のことは僕
がこの先もずっと守るから。安心してね。
エリク・マルトリッツ・ファザーン
オレの運命の人へ
って、おい!今、絶対ぇガラじゃねーって思っただろ!?
あ、安心しろよ、オレも今かなり後悔してるところだから…
やっぱちょっとキザすぎたよな…やめればよかった……。
いや、そんなことよりだな…オレとお前が出会ってから、
今日で五年目なんだとよ。マティアスたちは「もうそんなに
なるのか」って言ってたけど、オレはむしろ「まだそんなも
んか」って思った。なんつうか…お前が隣に居るのはもう自
然になってるから、もっとずっと前から一緒みたいな感じで
さ。
つまりだな…オレはもう、お前が隣に居ないってゆうのは
考えられないんだよ。もちろん、お前を放す気は無ぇけど…
お前も、オレの隣から離れないでほしい。たとえオレのこと
嫌いになったとしても、また好きにさせてみせるから。
、オレはお前のことが… ……いや、この先はやっぱ
直接言うべきだな。この手紙を全部読み終えたら、いつでも
いいからオレのところに来てくれ。一番言いたかったこと、
お前に伝えるから。
ルシア・ローゼンベルグ・ファザーン