あなたに……
もう一度、会いたい――……
















「……」


つんと鼻をつくにおいがした。
たぶん、ここは……病院だろう。





「…………」


少し前まで、地獄と思っていた暗闇を彷徨っていた。

そこから救い出してくれたのは、
間違いなく大好きなあの声だったけれど……。





「……!」


左手があたたかい気がして、
ゆっくり視線を動かしてみると。

そこには、大好きな人の姿があった。




「は、やと……」


ベッドのそばに座って、私の手を握ってくれている。





「帰ってきたか」

「っ……」


この声……

やっぱりあの暗闇から助け出してくれたのは、
隼人だったんだ。





「変な場所で迷ってたみてぇだけど、
 ちゃんと帰ってこれたな」

「……うん」

「気分はどうだ?」

「まあまあ……」


背中は痛むけれど……

それよりも、自分が生きていること、
隼人がそばに居ることが嬉しかった。











「隼人……ありがとう」

「何言ってんだよ、バーカ」

「え……?」

「お前が迷ってたら、オレが助けに行く」


当たり前だろ。





「うん、でも……
 それを、当たり前と思ってくれてありがとう」


すごく……嬉しいよ。





「隼人が迷ったときは……私が助けに行くよ」

「……そうかよ」

「うん……だから、どこにも行かないで」


私の、手の届くところに居てね。


私も、もう負けないから。

暗くて光のない場所に迷い込んでしまっても、
あなたの声を、思い出すから。




















あなたの声


(私を暗闇から救ってくれた、その声は)




















+++++++++++++++++++++++++++

さんは一般人ですが、マフィアのことを知っています。
今回の通り魔と思われる事件の真相は、
獄寺くんに一方的に恨みを持つ男の犯行で……

そこまで重症ではなかったのですが、
刺されたショックで昏睡状態に陥っていました。
獄寺くんはずっと声を掛け続けて、
さんを目覚めさせようとしていたわけですね。



家庭教師ヒットマンREBORN!