オレたちが卒業して、もうすぐ1年が経とうとしていた。










「おーい、スクアーロ〜!」

「なんだぁ?」


向こうから走ってきたのは、同期でヴァリアーに入った

同じ中学に通っていたオレたちは、まあ、その……
卒業前からいわゆる恋人同士だったわけだが。





『お前よぉ……卒業したらどうすんだ?』

『卒業したら?』

『オレはヴァリアーに入るが、お前はどうなんだ?
 どっかのファミリーに入んのかぁ?』

『あたしもね、すっごい有名なとこに入るの!』






『おおお、お前っ! 
 なんでこんなところに……!』

『なんでそんなにビックリしてんの?』

『驚くに決まってんだろぉ! 
 なんでお前がここにいんだぁ!?』

『そんなの決まってるでしょ?
 あたしが今日、ヴァリアーに入隊するからよ』

『はあぁ!?』



入隊式の日まで、あいつがヴァリアーに入るって知らなくて……

卒業式で落ち込んでたってのによぉ、
オレに黙ってやがったんだぜぇ!

悪戯好きなのも、いい加減にしてほしい……。










……まぁ、そんなこんなでヴァリアーに入り、
オレたちは任務をこなしていったわけだ。





「もう入隊して1年だよー。早いね〜」

「そうだなぁ」

「ってことは、卒業してから1年なんだよね〜」

「そういうことになるな」


特に大変だったとは思わねぇが、
1年もヴァリアーとしてやってんだな、オレら。





「みんな、元気かなぁ……」

「……」


きっと、中学時代の友達を思い出してんだろう。





「まぁ、あいつらなら元気にやってんだろぉ」

「……うん、そうだよね!」


悪運は強そうだしなぁ。










「あ、そうだ、スクアーロ!
 ヴァリアー入隊の、1周年記念パーティやらない?」

「はぁ?」

「いいじゃん、楽しいよ!」


いや、何を根拠に……。





「スクアーロ、明日おは休みなんだよね?」

「お゛ぉ」

「実は、あたしもなんだー! だから明日やろうよ」

「明日かぁ?」

「うん、明日♪」


でも、明日は……





「とゆーわけで、また後でメールするから」

「待て、」

「明日はちゃんと空けといてねー!」

「う゛お゛ぉいっ!
 オレはまだ返事してねぇぞ、!」

「ばいばーい♪」










「……行っちまった」


確かに元からあんな感じの奴だが、
前はもう少し人の話を聞いてたような……





「……まぁ、仕方ねぇ。
 楽しみにしてるみてぇだし……」


も明日は休みだということは知っていた。
だから、少しだけ期待していたんだが……





「とにかく、メールを待つことにするかぁ」


が覚えてくれていると願って……。















――翌日。





「確か、この辺だよなぁ……」


あいつから届いたメールには、
今日の集合場所と時間だけが書かれていた。





「それ以外の詳しい説明も、特に無かったしなぁ」


よく分かんねぇ……。










「……あ、スクアーロ!」

「よぉ」

「待ってたんだよ〜、早くこっちに来て!」

「わ、分かったから引っぱんじゃねぇ……!」


そんなに急いで、いったい何があるんだ……?

そう思いながら、に案内された部屋に入ると。





「な、何だぁ!?」


あちこちから、パーンというデカい音が鳴った。
一瞬何かの襲撃かとも思ったが……





「「「「「「「「「「Buon complain スクアーロ!!!」」」」」」」」」」





「…………はぁ?」


その場に居たやつらが一斉に、
訳の分からないオレに向かってそう言った。










「何まぬけな顔してんの、スクアーロ!
 今日はスクアーロの誕生日でしょ?」

「いや、それはそうなんだけどよぉ……」


なんで突然?
つうか、このメンバーは……





「えっへへ〜、懐かしいでしょ?」

「お前ら、なんで……」

「会うのは中学以来だよね、スクアーロ」

がお前の誕生パーティやるっつーから、
 わざわざ来てやったんだぜ?」


そうだったのか……。





「ごめんね、スクアーロ。
 ビックリさせようと思って黙ってたんだ」

……」


お前は、本当に……





「1年前から変わらねぇなぁ。
 大事なこと言わねぇで、ずっと黙ってて」

「そのときも今回も、悪気は無いから」


ああ……




「そのくらい、分かってる。
 何年お前と一緒にいると思ってんだぁ」

「えーと、3年くらいかな?」










「おっ!
 相変わらず見せ付けてくれるなぁ、スクアーロ」

「……!」


この声は……!





「跳ね馬!? なんでここに……」

「決まってんじゃねぇか、オレもお前のこと祝いに来たんだよ」


いや、確かにこいつもクラスメイトだったが。





「……出来れば会いたくなかったぜぇ」


やたらと仲が良かったし……。





「まぁまぁ、そんな冷たいこと言うなって」

「うるせぇ!」

「ほら、これプレゼントだ」

「あ、ああ……って、う゛お゛ぉい!
 こんなもんで流されると思うなよぉ!」
 

ったく、てめぇも相変わらずじゃねぇかぁ。










「でも、みんな元気そうで安心したよね」

「そうだなぁ」

「ね、スクアーロ?」

「ん゛ん?」





「改めて……お誕生日おめでとう!
 それと、1年間お疲れ様でした。また今年も頑張ろうね!」

「……ああ」


まあ、こいつがオレの誕生日を覚えてくれてたから……
黙ってたことは、許してやるかぁ。










「ということでね、スクアーロ!」

「……?」



















「信じてみるかい?僕らの未来!!」















「ああ……そうだなぁ」


信じてみてもいいかもしれないと、そう思った。













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サイト1周年記念の第2弾かと思いきや……
スクアーロのバースデイ夢だったのですね、これ。

修正するまで忘れていました。

あと読んでいて再確認しましたが、
スク夢にはディーノを出したいし、
ディーノ夢にはスクを出したがるくせがありますね。

ヒロインがいる前提の二人の絡みが大好きなのは
昔からなんだなって思いました。

……というか、この話で言うヴァリアー入隊の時期と
スクの誕生日じゃズレてる気がしますね。
まあ、いいか……。