あるところに、シンデレラというあだ名?の
という少女がいました。
少女はいつも継母と姉たちに意地悪をされて、
家事なども全て押し付けられていました。
「、僕、お腹すいてるんだけど」
「あ、今すぐご飯の支度します!」
「早くしないと咬み殺すよ」
「は、はい、お姉ちゃん!」
やっと、掃除が終わったばかりのシンデレラ。
1番上のお姉さんから、
夕飯の支度を命じられてしまいます。
……1番上の「お姉さん」は明らかに男の子ですが、
そこはつっこんではいけません。
「ー。
オレの部屋、まだホコリとか残ってんだけど」
「す、すみません! また掃除し直します!」
「それと、オレも腹ペコだから夕飯よろしくー」
続いてやって来た2番目のお姉さんからは、
掃除についてイチャモンを付けられてしまいます。
「すぐ用意します、お姉ちゃん!」
「早くしろよー
つーかなんでオレ、王子なのにお姉さんなワケ?」
2番目の「お姉さん」も明らかに男の子ですが、
そこはつっこんではいけません。
「クフフ……
、今日の夕飯はカレーになさい」
「お義母さん!」
そして、シンデレラいじめのリーダーとも言える、
お義母さんもやって来ました。
……「お義母さん」も明らかに男の人ですが、
そこはつっこんではいけません。
「でもお義母さん……さっきお買い物にいったとき、
お肉は買わなかったので……」
「うるさいですよ!
無いのならさっさと買ってきなさい」
「は、はい!」
「はぁ……」
夕暮れ時の町を走るシンデレラ。
もちろん、カレー用のお肉を買うためです。
「お義母さん、カレーが好きなのかな。
一昨日もカレーだったのに……」
別にお義母さんはカレーライスが好きなワケではなく、
シンデレラに対する意地悪のつもりなのです。
しかし大した意地悪にもなっていない上、
お義母さんの我が侭のように片付けられていました。
こんな生活が続いていたある日。
少し離れたお城から、
シンデレラの家に舞踏会の招待状が届きました。
『皆様、いかがお過ごしでしょうか。
本日の夜、我が城にて舞踏会が開かれます。
もし宜しければ、皆様揃っておいでください。
お待ちしております。
王子』
「いや、だから王子はオレだって」
「ベル!
今はそういう裏の事情は、話してはいけませんよ」
「そうだよ。何考えてるの、君」
なんだか、裏の事情とか言っていますが……
それは彼らの間でのヒミツですので、
あまり深くつっこんではいけませんよ?
「いえ、それより舞踏会ですか……いいですね」
「行くつもり?」
「ええ、もちろん!
もしかしたら玉の輿になれるかもしれませんし☆」
「語尾に☆マークなんか付けんなよ、きもい」
「うるさいですよ」
何やら仲の良くない家族に見えますが、実際は仲良しです。
そして、どうやらお義母さんは、招待を受けるようですね。
「とびきり綺麗な格好をしていきましょう」
「オレ、王子なのになー……」
「君には姫になってもらいますよ、ベル!」
「マジかよ」
2番目のお姉さんは、心底嫌そうな顔をしています。
「まぁ、心配しなくても大丈夫ですよ。
王子のハートは僕が掴みますから」
「何言ってるの、君は継母なんだからオバサンなんだよ。
オバサンが王子に目つけられるわけないでしょ」
「お黙りなさい、雲雀恭弥。
きっと王子も、僕の魅力に堕ちますよ……クフフ」
お姉さんたちを王子と結婚させるより、
自分が王子と結婚することを狙っているお義母さん。
とにもかくにも、今晩のための準備を始めました。
――そして、夜。
「では、僕たちはお城に行ってきますからね、。
留守番はお願いしますよ」
「はい、お義母さん」
「オレの部屋、ちゃんと掃除しとけよ」
「はい」
シンデレラを家に残して、
3人はお城に出掛けていきました。
「…………」
やはりシンデレラも、舞踏会に興味津々でしたが……
お義母さんに行きたいとお願いしたところ、
却下されてしまうのでした。
「舞踏会か……」
自分も、綺麗なドレスを来てお城に行ってみたかった。
シンデレラはそう考えていた、そのとき。
ピカッ!
「……!」
突然、窓の外が激しく光り始めました。
そして光が弱まったのを見計らって、外を見てみると……
「う゛お゛ぉい!
シンデレラってのはお前かぁ!!」
とてものどの調子が悪そうな、
黒づくめで銀色の長い髪をした人が立っていました。
「あ、あなたは……?」
「オレは魔女だぁ」
「魔女?」
「あ、お前があまりに可哀想なんで
魔法をかけにきてやったぜぇ」
感謝しろよぉ!と、魔女は言いました。
……「魔女」も明らかに男の人ですが、
そこはつっこんではいけません。
ついでに、偉そうな態度もスルーしましょう。
「行くぜぇ。
アタッコ・ディ・スクアーロォ!!」
魔女が謎の呪文を叫んだかと思うと……
次の瞬間には、シンデレラは綺麗なドレスを纏っていました。
「わあ……!」
「馬車も用意してやったぞぉ」
「ありがとう、魔女さん!」
「……フン、せいぜい楽しむんだなぁ」
「はい!」
自分も舞踏会に行けると分かったシンデレラは、
嬉しくて何度も魔女にお礼を言いました。
「言っとくけどなぁ、魔法は夜の12時に切れる。
だからそれまでに帰ってこいよぉ」
「わかりました!」
そうして魔女の言いつけも一通り聞き、
シンデレラは馬車に乗ってお城へと向かうのでした。
「アレが王子ですか」
「僕は結婚したくないね。
それよりアイツを咬み殺したいよ」
一方お城では、お義母さんたちが王子を見て
それぞれ感想を述べているところでした。
「へなちょこな感じがしますが、まぁいいでしょう。
玉の輿を目指しますよ、2人とも!」
「めんどくせーなぁ〜、王子はオレだしさー……」
「おい、王子。
誰か気になる女性とダンスしてみたらどうだ?」
「なんかピンとくる人がいねーんだよな……
ホントにこれで結婚相手見つけるのか、ロマーリオ」
「9代目はそう言ってるけどな」
「はぁ〜……
毎日リボーンの特訓でボロボロだってのによー」
舞踏会なんて乗り気じゃないぜ……。
お城の王子・ディーノは、
側近のロマーリオとそんな話をしていました。
「……ん?」
あまりやる気の無い王子の視界に、
一人の少女が飛び込んできました。
「……かわいい」
「王子、どうしたんだ?」
王子は側近の問いかけにも答えず、
その少女のもとへ一直線に走り出しました。
「すみません、俺と踊って頂けますか?」
「え、あ、あの……」
王子が声を掛けたその少女は、
先ほどお城に到着したばかりのシンデレラでした。
突然の申し出に慌てたシンデレラでしたが……
ここで断っては失礼にあたると思い、
お誘いを受けることにしました。
「じゃ、じゃあ……お願いします」
「ああ、ありがとな」
「……!」
にこっ、と優しく微笑んだ王子。
その顔にシンデレラはドキッとしてしまいます。
「……(か、カッコいい…)」
「……(やべ〜、やっぱかわいい……)」
二人は踊りながら、
同じようなことを考えていました。
「……ねぇ。
あの子、に似てない?」
「まさか。
は今頃家で掃除でもしていますよ」
「オレも似てると思うけど?」
踊っている二人を見つめながら、
お義母さんたちがそんな話をしていたとき……
ゴーン ゴーン……
「この音……!」
12時を告げる鐘が鳴り出したのです。
そう、シンデレラは……
もう帰らなければなりません。
「あの、私……
もう帰らないといけないんです!」
「ホントか……!?」
「ごめんなさい!」
シンデレラは王子に謝って、
早く帰らねばと慌てて駆け出そうと……
……したのですが。
「あ、あの……?」
「……やっぱダメだ」
「え?」
「こんなに可愛いカッコしてる、
抱きしめずにはいらんねーって!」
「……!?」
な、なんと……
突然、王子がシンデレラを抱きしめてしまいました。
「ディーノさん、これじゃ台本と違います!」
「お前がそんな可愛いカッコしてるから悪いんだろ」
「で、でも……!」
「クフフ……
僕のに手を出すとはいい度胸ですね」
「を離してよ、咬み殺されたいの」
「ちょっと待てよ、はオレのなんだけど」
すると、お義母さんたちが……
ってちょっと!
もう台本、完全無視じゃん!
ナレーションなんか出来ないよ!!
「僕は台本なんてどうでもいいんですよ、沢田綱吉」
言い切ったーーー!?!?
「う゛お゛ぉい、なんで俺が魔女役なんだぁ!?」
「ちょっと、魔女はもう出番終わってるじゃん!」
「俺が魔女とかきもいんだよぉ!
どうにかしやがれぇ!」
「そんなこと言われても……!」
こっちがどうにかして欲しいよ!
ってゆうかノリノリで魔女やってたじゃん!
「覚悟なさい、跳ね馬」
「咬み殺す」
「の王子はオレだから」
あぁもう!
こっちはこっちで睨み合いしてるし!
「バカ言うなよ、お前ら。
の王子はオレだ!」
そう言った王子――もといディーノさんが、
不意打ちでシンデレラにキスを……
……って、えーーーっ!?
ディーノさん、オレらの前で何やって……!
「な、?」
「〜〜はい……」
シンデレラというかは、
恥ずかしいみたいで真っ赤になっちゃってるし……
「いい度胸ですね……
人間道を食らわせてやりましょう」
「本気で咬み殺すから」
「うししっ、オレもマジで殺っちゃうよ?」
「待てぇ!
オレのこと忘れてねぇだろうなぁ!?」
「あーもう、勝手にしてよ!!」
そんなこんなで、シンデレラと王子は仲良く幸せに……
……暮らすのには、まだ時間がかかりそうですね。
シンデレラとか関係なく君が好き!
(だからオレだけのお姫様になってくれよ)
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◇姫咲さんのリクエスト夢◇
これもかなり修正させて頂きました。
どういう状況でみんながシンデレラの劇?をやっているのか
そこまでは考えていなかったもようです。
ノリというのは恐ろしいですね……。
Created by DreamEditor