(※友だちの名前が固定です、すみません…)
「やっほー、!」
放課後、図書室のカウンターにて。
貸し出した本なんかをチェックしていると、
親友の紫苑ちゃんに声を掛けられた。
「紫苑ちゃんも、何か借りるの?」
「ちょっと宿題に使えそうなのをね」
「そうなんだ」
あたしが威張ることじゃないけれど……
彼女は本当に成績優秀で、
スポーツも出来てまさに文武両道。
「ってことで、これお願い」
「はい、お預かりします」
特にテスト前なんかには、
あたしも助けてもらっている感じだ。
普段の宿題にもぬかりのない彼女だから、
きっと今日も本を借りていくのだろう。
「紫苑ちゃん、もしかして……
今日、何か用事あるの?」
いつもだったら、ここで本を借りて
そのまま居残りしていくんだけど……
この感じだと、今日はどうやら違うみたい。
「うん、そう。今日はデート♪」
「あ、そうなんだ! いいなぁ」
「へへー、いいでしょ〜」
冗談めかしながらも、そう言って嬉しそうに笑った。
「でも、それなら急がないとね」
そう言ってあたしもしっかり手を動かし、
なるべく急ぎめで貸し出し手続きを終わらせる。
「……はい、お待たせしました。
返却日は、2週間後になります」
「了解! それじゃ、私は行くね〜」
「うん、楽しんできてね!」
ありがとう、と言い残し、
彼女は図書室から出ていった。
「……いいなぁ」
デートかぁ……。
「……今頃どうしてるのかな」
そんなことを呟きながら、ふと窓越しに空を見上げる……
「……ねえ」
「……!?」
……なんて、ちょっとセンチメンタルになり始めたとき。
ふいに声を掛けられて、必要以上に驚いてしまった。
「あ、すみません、えっと……」
貸し出し希望かと思い、慌てて準備しようとしたけれど。
カウンター越しに居る人が誰なのか気づいて、
あたしはその手を止めた。
「えっと……こんにちは」
そこに立っていたのは、風紀委員長の雲雀恭弥さんだ。
「あの、どうされたんですか?」
手元に本は見当たらないし、何より……
勝手なイメージで申し訳ないけれど、
図書館で本を借りるような人ではないだろう。
「まさか、貸し出し……じゃないですよね」
そんな思いから、ある程度の確信を持って問いかける。
すると、予想通り「違う」という答えが返ってきた。
「僕は、彼女を探しに来たんだ」
「あっ……紫苑ちゃんを?」
なぜ雲雀さんが彼女を探しているかっていうと、
それは彼女の彼氏が雲雀さんだからであって……。
(何故そんなことになったのかは、今でもあたしの中では謎である。)
「彼女がここに来たでしょ」
「はい、さっき来ましたけど……もう居ませんよ」
雲雀さんのところに向かったはずです、と続けると、
深いため息で返された。
どうやら、すれ違ってしまったらしい。
「全く……彼女も仕方ないね」
「連絡してみたらどうでしょうか?」
「言われなくてもそうするよ」
言い終わるか否かというところで、
雲雀さんはすでに図書室のドアへ向かって歩き出していた。
「……ああ、それと」
「……?」
そのまま出ていくと思っていた雲雀さんが、
急に立ち止まって声を掛けてくる。
何かと思いつつも、その言葉の続きを待つと。
「君はすぐに帰り支度をしておくといいよ……跳ね馬の人」
「え? あ、あの……!」
唐突な言葉に、その意味を聞こうとしたんだけど。
そんな時間も与えてもらえず、
雲雀さんはさっさと立ち去ってしまった。
「何だったんだろ……」
そもそも「跳ね馬の人」って呼び方は、どうなんだ……。
(意味が解らなくもない辺り、あたしもアレだけども)
「おーい、!」
それから少しの間を置いて、
誰かが慌ただしく図書室に入ってくる。
姿は見えていなくとも、その声で誰なのかはすぐに解った。
「ディーノ!
図書室では静かにって前に言ったでしょ」
「あ、いや悪りぃ、つい!」
「つい、じゃなーい!」
絶対悪いと思ってないよ、この人!
とゆうか、釣られてあたしもつられて大声になってるし……!
「とにかく、学校の外で待ってて。
すぐに行くから」
「解った、じゃあまた後でな!」
ディーノが出ていくのを見届けたあたしは、
ペアで当番になっていた子に事情を話しにいく。
「本当にごめんね……」
「ううん、気にしないで」
……実のところ、ディーノが図書室に侵入して
あたしを拉致していくのは日常茶飯事なのだ。
図書委員の子たちはおろか、
もう誰も、何もつっこまなくなっている状況である。
(それでいいのか、この学校……!)
「ありがとう、また今度お詫びするから……!」
最後にもう一度お礼を言って、あたしも図書室を後にした。
「てか、不審者(=ディーノ)が学校に入っていくのを、
普通に黙認してるんだもんね、この学校の先生たち」
それが当たり前になっているっていうのが、ちょっと……。
「……ま、いっか。
結局あたしも、ディーノが来てくれて嬉しいわけだし」
そこは事実だから、しょうがないや。
「おーい、ー!」
急ぎめで校門のほうへ向かうと、
いつもの笑顔で待っているディーノの姿があった。
だからあたしも、いつものように駆け寄っていく。
「お待たせ、ディーノ!」
そして、それから7年後……
中学のときと同じように、
あたしの職場にディーノが乗り込んできたりするんだけど。
でもそれは、また別のお話。
だけど、切に願う
(あなたはずっと そのままでいて)
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サイト7周年記念、第二弾はディーノでした。
ディーノは、リボーンの中で最初の推しだったので
(いろんなジャンルにおいて、推しが迷走する管理人)
色々と感慨深いところはありますね。
さすがに最初のほうよりかはマシになっていたので、
少しだけ修正しました。
名前変換の仕様を変更してしまったので、
友だちの名前が固定になってしまってすみません……。