「最近すっごく寒いよね」

「そうねぇ……まぁ冬だから当たり前なんだけど」

「でも寒いよぉ、死んじゃうよぉ〜」

「大丈夫よ、暖房器具とか駆使すれば。
 どうしても寒いなら私のところに来なさい、温めてあげる♪」

「ありがとう、ルッスーリア!」





「…………」


おそらくこれが女同士だったら、
「微笑ましい」で済まされたんだろうが。

けど生憎、片方はオカマだしなぁ。
ぶっちゃけ、きもいぜぇ……。










本格的に冬へ突入したある日。

アジトの中では割と人が居るこの広間に、
今もこうしてメンバーが集まっている。





、寒いなら王子が温めてあげるよ」

「なっ……お゛ぉい、
 絶対に、こいつのとこには行くんじゃねぇぞぉ!」


ベルのやつ、また妙なこと言いやがって……!





「何言ってるんだい、スクアーロ。
 君だって同じことを考えていただろう?」

「い、いや、オレは別に……!」

「その慌てっぷりだと図星だね」


マーモンに畳みかけられて、たじたじになるオレ……

……い、いや!
オレはそんなこと考えてねぇ! 断じて!










「ところで、僕と一緒に寝るかい?
 子どもは体温が高いんだよ」


そして自分のアピールも欠かさないマーモン。
さすがはアルコバレーノだぜぇ……。





「マーモンだったら抱き心地もいいもんね。
 お願いしようかな?」

「君なら特別に、無料で寝てあげるよ」

「他の奴だったら金取んのかぁ!」

「スクアーロ、わかってないね。
 僕がその辺の奴と一緒に寝るわけないじゃないか」

「…………」


ああ言えばこう言うガキだな……。










……
 も、もし良かったらオレのところで、一緒に……」


レヴィが急にレヴィが会話に入ってきた。
なんだか知らないが、ハァハァ言っている。





「う゛お゛ぉい、近寄んなぁ!
 てめぇ、きもいんだよぉ!」

「安心しろ、スクアーロ……
 オレが近づくのは彼女だけだ……!」

「それをやめろっつってんだよぉ!」


さらに息を上げながらアピールしてくるレヴィを、
力づくで黙らせたとき。

突然ドアが開いた……





「……、寒かったらオレのところへ来い」


……と思ったら、すぐにまた閉じた。










「……ってボスまで何言ってんだぁ!」


ここは「うるせぇ」って一喝するところじゃねぇのかぁ!?





「ボスったら、私たちの会話を聴いてたのかしら?」

「盗み聞きなんてボスらしくないね」

「ボスは盗み聞きなんてしない!
 超直感で悟られたんだ!」

「お前、『超直感』で何でもできると思ってる?
 それ勘違いだし。マジでバカじゃん?」





「みんな、ホントに仲良しだなぁ」


当の本人は、のん気なこと言ってるしよぉ……

鈍感なのもいい加減にしてほしいぜぇ、全く。















――そして、その日の夜。

仕事が無い奴らは、そろそろ寝静まる頃。

オレらの任務っつったらほとんど夜からだから、
任務で留守にしてる奴も、もちろん居るが。





「何だってんだよぉ、ったく」


そんな中、ボスに呼ばれていたオレは
とりあえずボスの部屋に向かっているのだった。





+++





「……やっぱり寒いなぁ」


ベッドに入ったはいいけど、寒くて全然眠れないよ……。





「やっぱり誰かと一緒に寝ようかな?」


お昼にも、みんなで話していたし。





「でも確か、ルッスーリアは任務なんだよね」


ああ言ってもらった手前、頼みやすかったんだけどな。
うーん、どうしようかな……





「……よし!」


決めた!





+++





「ボスの奴、思いっきり殴りやがって……」


ボスの部屋に行ったはいいが、
何故か不機嫌だったせいで理不尽な感じで殴られた。

まあ、たぶん……
あいつと一緒に寝れないからだろうがなぁ。










「スクアーロ」

「マーモンかぁ、どうした?」


自室に戻ろうとするところを、引き止められる。





が居ないんだ。
 どこにいるか知らないかい?」

が居ない……?」


居ないって、一体……





「つーか、なんで居ないって分かるんだぁ?」

「ベルが夜這いに行ったらいなかったみたいだよ」

「あいつ、殺す!」


冗談じゃねぇぞぉ!!





「ベルのした事は僕も許せないけど……
 とりあえず今は、彼女を探さないかい?」

「あ、あ゛ぁ……そうだな」


確かにマーモンの言う通り、
今はとにかくあいつを探さねぇとな。















「おい、カス。あいつは見つかったか?」

「俺はカスじゃねぇ!
 ……まだ見つかんねぇよぉ」


どこ行ったんだよ、ったく……。





「とりあえず、一旦みんな部屋に戻ろうか。
 少し落ち着いてから、また探してみよう」

「そーだな」

「じゃあ、一度部屋に戻るぞぉ」










「ったく……」


マジでどこ行きやがったんだ、あいつは……。

心の中でそう悪態をつきながら、自室のドアを開ける。





「……………」


う゛お゛ぉい、ちょっと待てぇ!

いいか、とにかく落ち着くんだオレ!
冷静に考えるんだオレ!!





が……オレの部屋のベッドで寝てる……」


このアジトのどこを探しても見つからなかったのが、
オレの部屋で眠ってたんだ。

――意味わかんねぇ……!










「いや、でも……無事で良かったぜぇ」


ベルかボスのところでなくて良かったと思う。


本当にそう思う。





「そういやこいつ、さっき寒いとか言ってたなぁ」


だから誰かの部屋に行こうとしたのか?





「だけど……」


オレを選んでくれた、ってことだよなぁ?





「ちくしょう……」


嬉しいじゃねぇかぁ……。










お前が寒さを感じないように、今日はお前を抱きしめて眠ろう。

そして、いい夢が観られるように祈りながら……
オレも眠りにつこう。




















どうか、


(今夜だけは 誰にも邪魔されないように)














そして、翌日。


ヴァリアーの面々によりボコボコにされたスクアーロが、
発見されたとか、なんとか。









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◇神名さんのリクエスト夢◇

2008年・お年賀企画の第五弾でした。
こちらも修正させて頂きました。

逆ハーは大好きなのですが、いざ自分で書いてみると
かなり難しいんだなぁと再確認した記憶があります。

やっぱりヴァリアーだとスク推しなので、
スク落ちにするのは楽しかったです。



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