えーっと……先に目を開けてから、起き上がることにしよう。
そう思って目を開けると……
「…………!!!???」
――め、め、目の前に顔が……!!
あたしの目の前には、何故か渚くんのかわいらしい寝顔がある。
「え、ちょっ……」
なんで?
一体どーしてこうなったの!?
「いや、ってゆうか……」
とにかく、まずは離れないと!
そんな結論に至ったあたしが、慌てて後退しようとすると……
「…………!!!???」
腰の辺りを、がしっと掴まれてしまった。
「なっ、渚くん!?」
起きてるの、と問いかける。
見た感じは普通に眠ってるんだけど、
この腕の力は明らかに起きている……はずだ。
「……ふふ。おはよう、ちゃん」
そっと目を開けた渚くんは、そう言って微笑んだ。
「あ、おはよう……
…………じゃなーいっ!」
危うく渚くんのペースに乗せられるとこだった!
「そーじゃなくて!
渚くん、この腕離して!」
「え〜〜、やだなぁ〜〜」
「な・ぎ・さ・く・ん!!!」
早くと急かしてみるものの、渚くんは気にすることもなく
(何故か)あたしのおでこに自分のをくっつけてくる。
「なっ、なぎさく……!」
いや待て待て待て!!
近い近い近いよ……!!
「ちゃん、顔真っ赤だね。かわいい」
「かっ、かわいくない!」
「え〜、かわいいよぉ」
「かわいくないったらかわいくない!!」
お前のほうがよっぽどかわいいよ!
と思ったけど、残念ながらそんなこと言ってる余裕もないあたしだ。
「…………ごめんね、ちゃん。
ちょっと意地悪しすぎちゃったかな」
さっきまで楽しそうに笑ってた渚くんが、今度は困ったような笑顔でふいにそう言った。
「涙目になってる」
「っ……」
あたしの頬に手を添えて、再び「ごめんね」と謝ってきた。
……こんな風に悲しそうな顔をする渚くんを見たことが無かったので、
あたしは一瞬戸惑ったけど、添えられた手の上に自分のを重ねて言う。
「あのね、渚くん……えーっと、その〜……」
「……?」
「い、嫌だったわけじゃない……よ」
恥ずかしいのをこらえながらそう言うと、渚くんが目を見開いた。
「ただちょっと、恥ずかしかっただけで……
嫌じゃ、なかったから」
だから、そんな悲しい顔をしないで。
「、ちゃん…………」
渚くんは俯いてしまい、あたしからはその表情が見えない。
でも泣いているわけではなさそうだから……それは救いだった、かもしれない。
「ねえ、ちゃん……」
「ん?」
少し間を空けて、渚くんが再びあたしを呼ぶ。
「腕は離すし、もう少し距離も取るから……
みんなが起きるまで、このまま一緒に寝よう?」
「…………うん、そうだね」
悲しい顔はさせたくなくて、できるだけの笑顔でそう答えると。
渚くんも、安心したような笑みを浮かべてくれた。
Happy Halloween?
(じゃあ、手繋いで寝よっか)(……! うん!!)