、14歳!
今日も大好きなあの人に、猛烈アタック中です☆
「むーくーろーさーん!」
「また、あなたですか……」
「はい! 『』です!」
「それで『』さん。今日はどういった御用で?」
む〜……
「名前を呼んでもらう大作戦☆」は失敗かぁ。
「何も用がないのでしたら、僕はもう行きますよ」
「えっ!? 待ってください、骸さん!」
「……なんですか?」
骸さんは心底嫌そうな顔をして振り返った。
まぁいつものことだから、気にしてないけど!
「今日の放課後、空いてますか!?」
「なぜです?」
「一緒にお買い物しませんか!」
うわー、誘っちゃったよ……!
「生憎ですが、僕は忙しいんです」
「そ、そうですか……」
「用はそれだけですか?」
「は、はい」
「じゃあ、僕はこれで」
そう言って、骸さんはさっさと行ってしまった。
同じ学校なんだし、一緒に登校したかったなぁ……。
「でも、そっか……骸さん、忙しいんだ」
だったら仕方ないよね……。
「今日はあたしの誕生日、なんだけどなぁ」
でも、付き合ってるわけじゃないもん……
ワガママなんて言えないよ。
「仕方ない、今日は一人でお買い物だ!」
友達はみんな部活だしね!
なんか寂しい気もするけど……
一人でゆっくりってのも、たまにはいいかも。
夜はお母さんがご馳走つくってくれるし!
「クフフフフフフフ……」
「骸さん、なんか変だびょん」
「機嫌がいいんだよ」
「柿ピー、なんか知ってるん?」
「……さあね」
そんなこんなで放課後になったので、
これから買い物に行ってくるよー!
骸さんと一緒でないのが残念だけど……
忙しいって言ってたし、いい加減に諦めよう。
「……はあ〜」
自分の誕生日に骸さんと一緒にいたい、
とあたしが思ったのには理由があって。
この間、並中に通ってる友人としゃべっていたとき……
『雲雀さんったら、私が何か用があるのかなって
気付いてくれてたみたいなのー!』
『マジで!? めっちゃカッコいい!』
『でしょ!?』
『うん! いいなー!』
『も、お願いしてみればいいんじゃないかな?』
『え……?』
『その“むくろさん”って人に』
『で、でも……』
『お願いしないことには始まらないよ』
『うーん……』
そんなワケで、さっきの骸さんとのやり取りに繋がります。
友人は、あの有名な雲雀恭弥さんと付き合ってて。
怖いって噂なのに、その子にはすごく優しいみたい。
うらやましい……。
「……ま、落ち込むのはここまでだよ」
気分を変えて、お買い物を楽しもう!
お買い物がひと段落したところで、
ふいにケータイが鳴った。
「電話?」
あ、お母さんからだ。
「もしもし、お母さん?」
「! 今どこにいるの?」
「駅前のデパートだよ」
「何やってるの! もう8時よ?」
「え!?」
お買い物に夢中になってたから、
全然時間を見てなかった!
7時には帰るって約束してたのに……。
「ご、ごめんなさい!
お買い物が楽しくて……」
「まあ今日だけは見逃してあげるわ。
とにかく早く帰ってきてね?」
「うん!」
かなり遅くなっちゃった……
急がないと!
「……あ、」
ここを通ればかなり近道なんだけど、
夜は危ないって噂なんだよね。
「……」
でもお母さんが心配してるし、遠回りなんてしてられない!
意を決して、その道に足を踏み入れたんだけど……
「やあ、お嬢さん」
「……!」
お約束というか、なんというか……
まだそんなに歩いていないところで、ふいに声を掛けられる。
「そんなに警戒しなくても……なあ?」
「そうだよ、お嬢さん」
「…………」
いかにもガラの悪そうな人たちなんだけど……!
「俺たち暇なんだよねー、一緒にどっか行かない?」
そう言いながら、その人はあたしの腕を強く引く。
「遠慮します! 離してください!」
まずい、と思って、すぐにそう返したけれど。
「いーじゃん少しくらい」
「嫌です!」
ガラの悪い人たちは、気にする様子もない。
「…………」
――この人たちには、力じゃ敵わない。
どうしよう……
誰か……!
「むくろさんっ……
……!」
あたしは……何を言ってるの?
骸さんが来るわけないじゃない。
だって、あたしのこと……
嫌いなのに……
「あなたも馬鹿な人ですね」
「……!?」
うそ……
なんで、骸さんが……!
「その人に手を出したら、どうなるか……
思い知らせてあげましょう」
クフフ、と笑った骸さんには、
異様な迫力がある。
「く、くそっ! おい、行くぞ!」
「あ、ああ!」
その気迫に負けたのか、
ガラの悪い人たちは何もせず立ち去っていった。
そして、あたしはというと……
腰が抜けてその場に座り込んでしまう。
「……大丈夫ですか?」
「なんで……」
「……?」
「なんで来たんですか!?」
いつもあんなに冷たいのに……
「なんで助けになんか……
あたしのこと、嫌いなくせに!」
思わせぶりなことしないで……
「嫌いなら、ほっといてよぉ……」
「は本当に馬鹿ですね。
僕がいつ、あなたのこと嫌いだと言いましたか?」
「え……?」
どういうこと?
ってか今、あたしの名前……!
「むっ、骸さ「好きです」
「……!?」
「あなたのことが、好きですよ」
うそ……
「でも、あたしのこと邪魔だって
思ってたんじゃないんですか!?」
「そんなこと思ってませんよ。
どうしてそう、早とちりするんですか」
「早とちりって……」
そう思っても仕方ない行動してたの、骸さんじゃない!
「…………すみません、僕が悪かったんですよね」
「骸さん……」
「のこと、本当に好きですよ。
あなたが可愛くて、つい意地悪してしまいました」
「え……」
「本当にすみません」
じゃあ……あたしのこと、嫌いじゃなかったの……?
「嫌いじゃないですよ、むしろその逆です」
骸さんは、あたしの心を読んだかのような、的確な答えをくれた。
「むくろさ……ふぇ……」
「全く、何泣いてるんですか」
「むくろ、さん……すきっ……」
「……知ってますよ」
そう言った骸さんはしゃがんで、
私のことを優しく抱きしめてくれた。
色々とあった誕生日だけど……良かった、のかな?
〜翌日〜
「おはよーございます、骸さん!」
「またですか。懲りない人ですね」
「骸さん、今日の放課後は空いてますか!?」
「忙しいですよ」
「えっ……」
やっぱりダメなんだ……
昨日のは、都合のいい夢だったのかな……
「忙しいですが、あなたのためなら空けましょう」
「ホントですか!?」
「ええ。それでは、また放課後」
「は、はい!」
やったぁ!
やっぱり昨日のは、夢じゃなかったみたい!
本当はあなたを見かけるだけで
(僕の機嫌が良くなることを、あなたは知らないでしょう)
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これを書いていたときは骸さん激推ししてました。
当時は獄寺とスクが二大推しだったのですが、
このとき骸さんが二人を抜いたそうです。
(過去のあとがき参照しました)
そんなわたしですが、今ではすっかり骸さん最推しです。
最推し俳優に演じられて、一気に転がり落ちました。
怖い世の中です(何
余談ですが、このお話は雲雀さん夢とリンクさせています。
元々そういうのがやりたかったのですが、
スマートにリンクさせられず悔しかった記憶があります。