「忘れ物、ない?」

「ああ」

「そっか……
 じゃあ、行ってらっしゃい、大我くん!」


行ってきます、と意外にも(と言ったら怒られるかな…?)律儀に答えてくれたあと、
彼は自身の通う大学へと向かって部屋を出た。







「さてと……」


あたしも、やることやらないとね。
まずはどうしようかな……







「洗濯から片付けちゃったほうがいいかな……
 午後から曇ってくるかもって天気予報でも言ってたし」


うん、そうしよう。
そうと決まれば、行動開始だ!

意気込んだあたしは、さっそく作業に取り掛かった。




















「はあ……」


洗濯物干して部屋の掃除して、食器洗って……
とりあえず、ここでいったん休憩にしよう。







「お昼どうしようかなぁ……」


冷蔵庫の中をチェックしてみようかな、なんて思ったとき、ふとケータイが鳴った。
この着信音は、大我くんからだ。












「メールみたいだけど……」


えーっと、なになに……?






     From:火神大我

     Title:今から黒子とメシ

     ―――――――――――

     冷蔵庫ん中に昼飯入って
     るんで、ウチにいるんだ
     ったら食ってください。


     ―――――――――――










「えっ、ほんと!?」


慌てて冷蔵庫の中を見てみると、本当にお昼ご飯(チャーハン?)が置いてあった。
ご丁寧にサラダとおかずまで一緒に用意されている。





「確かに、今日の朝ごはん当番は大我くんだったけど……」


まさか、お昼ご飯まで用意してくれてたなんて……










「ずっと思ってたけど、ほんと
 家事に関しては大我くんのほうが、だいぶしっかりしてるよね……」


なんかかなり情けないんですけど……。

ちょっとショックを受けつつも、あたしは慌ててお礼のメールを返した。















「……でも、大我くんのご飯、すごくおいしいもんね!」


お腹もすいてるし、ありがたく頂こう。

そうしてあたしは、しまってあったチャーハンを温めるのだった。
































「えーっと……」


夕方、あたしは近所のスーパーに来ていた。
今日の夕ご飯当番はあたしなので、その材料を買いに来た…というわけである。







「お昼は、大我くんが作ってくれてたしな」


夕ご飯でいつもより少し頑張って、いいとこ見せないと!

そう意気込んでやって来たものの、特売品とかいろいろ買い込んでしまい
けっこうな荷物になってしまった。










「うう……
 やっぱり、いくらなんでも買いすぎた……」


とりあえず、車で来てたからマンションの駐車場まではいいとして……
そこから部屋まで運ぶのか。

いや、エレベーターがあると言ってもこれは……
一度じゃ運びきれないな。





「二回に分けるしかないか……」


手間かかるけど、しょうがない…!
自分が買い込んだのが悪いんだし……















さ……
 うおっ!? なんでこんな荷物なんだ? ですか?」


あれ?この変な敬語は……







「大我くん!」


車から荷物をおろそうとしているところで、声を掛けられた。
この変なしゃべり方は、間違いなく大我くんである。
(敬語はいいよ、って言ってはいるんだけど、未だに直らないみたいだ…)

今日は3限までだった気がするから、おそらく授業が終わって帰ってきたところだろう。










「あ、あの、ちょっと安売りしてたの買いすぎちゃって……」


罰が悪い感じでそう言うと、少し呆れたような顔をした。
でも、すぐにこちらまでやって来て、荷物を持ってくれる。







「あ、ありがとう、大我くん…!」

「いや、いいっすよ。
 どーせアンタ一人じゃ、何往復もするんだろうし」

「うっ……」


その通りです…さすがですね……。














「あ、いや、そうじゃなくて……」

「……?」

「重たいもん運んで、さんに怪我されたら嫌なんすよ……俺が」

「……!」


大我くん……










「……ありがとう、大我くん!」

「礼はいいっすよ」


照れくさそうにそう返した大我くんを、とても愛しく想った。




















































いつも、守ってくれてありがとう。




(そう言ったら、「当たり前だ、ですよ」と、また変な敬語で返ってくるのだった。)





















































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四発目は火神でした!
火神は、妹と友人に聞いたら「火神だと思う」と言われたので決めました。(何
でも確かに、いろいろ考えたら火神が合っていると思う…料理できるし。

おしゃべりでもウゼーと思うけど、あんましゃべんないのもアレだし。
テキトーに相手してくれる人がいいです(笑)