水溜まりの中に入ってから、少しして。
ふいに何かが光り出す。
『ポケットの中に、何か……』
ガラス玉だ。
すごくあったかい、これは……
『彼女の、本当の笑顔……』
そっか……
オレは、これを彼女に届けないといけないんだ。
『失くさずに持っていかなきゃ』
オレが代わりに、君へ届けるよ。
人の輪から外れてしまうのが怖くて、
無理やり周りに合わせてしまうことがあった。
でも……
誰もが違う生き物で、他人同士なんだよね。
『だからこそ、寂しさを知ったときは温もりに気づけるの』
どうして忘れていたんだろう……。
――今の私に、勇気はあるかな?
『きっと、一度 心を覗いたら……』
君が隠した痛みも、一つ残らず知ってしまうでしょう。
『君を、傷つけてしまうかもしれない』
そうだとしても、私だって同じ分だけ傷つけば……
『それが、分かち合えるものじゃないのなら』
『君の抱えているものが、
分かち合えるものじゃないのなら……』
2倍あればいいだけだから。
『きっと怖いんだ……オレも、彼女も』
自分を見るのも見せるのも、あるいは誰かを覗くことも。
『でも、』
精いっぱい送っていたんだ。
『沈めた』 『自分から』
『『祈るようなメーデー』』
そう呟いた直後……
目を空けていられないほどに、辺りが輝きだす。
誰か……助けて…………!!
『……!』
次に目を開けたときには、目の前に彼女の姿があった。
ここは……深い心の片隅。
『こんな所にいたんだね、』
『ツナ……』
こっちにおいで。
逃げなくて大丈夫だから。
『……あ、そうだ。これを君に』
『……?』
ポケットの中にあったガラス玉を、彼女に差し出す。
『オレが君から預かった、君の本当の笑顔だ』
『私から……』
強い光が収まって目を開けると、そこにはツナがいた。
ここは……深い心の片隅だ。
『やっと見つけたよ、ツナ』
『、オレ……』
『心配しなくて大丈夫』
だから、そばにおいで。
『……あっ、そうだ。これはツナに』
『……?』
さっきポケットの中で光っていたガラス玉を、ツナに差し出す。
『これは……』
『私がツナから預かった、ツナの本当の笑顔』
『オレから……』
さあ、あと少しだ。
『オレに、』
『私に、』
もう少しだけ、勇気はあるだろうか。
『さあ、帰ろう』
『うん』
一度手を繋いだからには、絶対に離さない。
そのまま外まで連れていくから、信じていいよ。
『息は持つかな……』
『あの眩しい心の外まで……』
再び呼吸をするときは
『『君と……一緒に……!!』』
ふたり揃って、そう叫んだ直後に。
バシャン、という音が聞こえた。
『あっ……』
『ツナ!』
さっき飛び込んだ水溜まりの中から、
ここに戻ってきたんだ……!
『、ありがとう……
心の奥底に居たオレを見つけてくれて』
『ううん、私の方こそ……
見つけてくれたのが、ツナで良かった』
……不思議な感覚だ。
水溜まりに飛び込んだのは私で、
私がツナを連れてきたはずなのに。
ツナも水溜まりに飛び込んで、
私を連れてきたことがよく分かる。
『なんか、色々あって疲れちゃった』
『うん……じゃあ戻ろう』
『そうだね。また明日ね、ツナ』
『うん、また明日』
――そして、翌日。
オレも彼女も、悩みはなくなっていた。
メーデー
(僕を救ってくれたのは 君だったんだ)
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またバンプネタでした。
修正したのですが、正直もうこれが一番
よく分からなかったです。
歌詞に沿いすぎてて、意味わからないっていうか……
まあ、これはそういうもの、と思って
修正のほうも勢いで終わらせました。
以前よりは、グダグダしていない気がしますが、
まあ今後は歌ネタも少し考えないと……
いろんな問題もありますし……汗