――カフェに入って、飲み物を注文してから。

食べたいお菓子を食べ、おいしいお茶も飲んで
雑談をしながら休憩をしていたあたしたち。


もっとおしゃべりしていたい気持ちはあったけど、
あーちゃんと氷室くんはもともと日帰りの予定で。

遅くならないように……と思い、
そろそろ解散しようということになった。










「今日はわざわざありがとう、あーちゃん……
 それに、氷室くんも」

「オレもうまいお菓子買えたからいいよ〜」

「ああ、久しぶりに話せて楽しかったしな」


今は、新幹線に乗る二人をお見送りしているところだった。





ちん、オレが買わなかったお菓子の感想、
 あとでちゃんと教えてよね〜」

「うん、任せて!
 あーちゃんこそ、みんなへのお土産食べちゃダメだよ?」

「そ、そんなこと解ってるし」


と言いつつ、今ちょっとどもったような……。









「本当にアツシは、さんに弱いな」

「はぁ〜? 室ちん、うるさいんだけど〜」

「はは、悪い悪い」


悪態をついてはいるけれど、あーちゃんだって
氷室くんを本気で邪険に思ってるわけじゃないんだろうな。


あーちゃんも……
誠凛のみんなと試合して、氷室くんの本気を肌で感じて。

そういった中で、いい方向に変わっているんだよね。















「……さてと。名残惜しいけど、そろそろ帰るよ。
 さん……それにタイガも、気を付けて帰れよ」

「なっ……
 もうガキじゃねーんだから、んなこと解ってんだよ」

「それもそうだったな」


火神くんと、氷室くんも……
お互いの間にあったぎこちなさは、もう感じられない。

あたしは、幼い頃の二人をよく知ってるわけじゃないけど……
あの頃の二人に、戻れてるといいな。












「むかつくけど他にいないから……
 火神〜、ちゃんとちんを送ってってよね〜」

「それも解ってるっつーの」


そしてあーちゃんと、彼を変えてくれた誠凛の光……

絆というのとはまだちょっと違うかもしれないけど、
これからお互いに切磋琢磨できる仲になってほしい。





「…………」


こうやってみんなでおしゃべりする機会が、
この先もっと増えるといいな……














「……さん? 大丈夫すか?」

「え? あ、……」


考え込んでいたせいで、あたしを何度か呼んでたらしい
火神くんの声を聞き取れていなかったようだ。

声に出していないが、あーちゃんと氷室くんも
少し心配そうな顔をしてこちらを見ている。





「ご、ごめんね、気づかなくて! 
 ただ、ちょっと考え事してて……」

「考え事?」

「うん……
 またこうして、このメンバーでご飯食べたり
 おしゃべりできたらいいのになぁって」

「「「……!」」」


あたしの言葉を聞いた三人は、一瞬目を丸くするけれど。










「まぁ、そうだね〜」

「あんたがそう望むなら、」

「オレたちは、いつだって駆けつけるさ」


すぐ笑顔になって、そう言ってくれるのだった。







































みんなと出会えたことが あたしにとってはキセキで



(今はただ その出会いに感謝していたい)