とある日の夜……
メリオダス、バン、キングの三人は酒盛りをしていた。





「なあ、キング……
 お前まだに誤解されたままなのか?」

「だ、だって、団長……!」

「お前がしっかりしねぇから誤解されたままなんだろうが」

「バンは黙ってて!」

その酒盛りを始めてからすぐ、キングを問い詰めたのはメリオダスだった。






「オイラだって、このままじゃマズイって思ってるけど……
 他でもないが、あんな感じなんだもの」

「まあ、確かになぁ〜……
 今日だって、お前とディアンヌを二人にしようって魂胆見え見えだったしなぁ」

それは、今日の昼間のこと。

買い出しや食料調達、店の掃除の分担をメリオダスが割り振ったわけだが、
がうまい口実を使い、キングとディアンヌが一緒の分担になるよう計らっていたのだった。






「もうこりゃあ、アレだな。
 に『お前が好きだ!』って言っちまうべきだな♪」

「ええっ!? そんなこと……!」

顔を真っ赤にさせたキングは、「そんなこと出来ない」と言いたげだ。










「……いや、でもバンの言うことにも一理あるぞ」

「だっ、団長〜!」

「だって考えてもみろ、キング。
 そんな鈍い方でもないが、お前の気持ちだけは気づかないんだぞ?」

このまま言わなけりゃ、一生気づかないかもな。
至極真剣な表情で(しかし内心では楽しみつつ)メリオダスは言った。

言われた側のキングは「そこまで言わなくても」と思いつつも、
「その通りかもしれない」と思い始めていた。










「…………解った。
 オイラ、に伝えるよ!」

「いいぞ、キング! その意気だ!」

「よっ! オッサン!」

「オッサンは余計だよ、バン!!」












+++












「おーい、!」

「メリオダス! どーかした?」

翌日の昼食後。

ディアンヌ、エリザベス、ホークとあたしでお茶をしてたところに、
メリオダスがやって来る。





「キングが、お前に話したいことがあるんだってよ」

「キングが? 何だろ……」

とにかく、向こうで待ってるから行ってやってくれよ。

不思議に思いつつも、
あたしはその言葉に従ってキングが待ってるという場所に向かった。



















「……あっ」

あそこだ!





「キング〜!」

その後ろ姿に声を掛けると、背中がびくっとなった気がした。





「あ、ごめん……びっくりさせちゃった?」

「い、いや、ううん……大丈夫だよ」

振り返ったキングは、苦笑しながらそう答えた。





「メリオダスから聞いたんだけど……話って、何?」

「う、うん……
 あのさ、

「うん」

少し間を空けてから、キングが口を開く。














……
 オイラは、君のことが好きなんだ!!」

「へ? あたしもキングのこと好きだけど?」

「えっ!?」

「メリオダスもバンもエリザベスもディアンヌもホークもホークママもみんな好き!」

「えっ…………」










「こりゃあ、のやつ……意味わかってねぇな」

「これはこれで面白いけどな〜♪」(覗き見・二人組)














「そっ、そうじゃなくて!
 オイラは、一人の女の子として君が好きなんだよ!!」

「…………えええええ!!!???」

なっ、何それ!?初耳なんですけど!?





「いや、だって……今、初めて言ったし」

それはそーかもしんないけど!





「だ、だって、キングはディアンヌのことが……」

「……うん、確かにそうだったよ。
 でも、今は君のことが好きなんだ」

ディアンヌも知ってるよ。





「そ、そんな……」

キングが、あたしのことを……?
なんか……恥ずかしいんですけど……!










「……別に、今すぐ君に何か求めるつもりは無いから安心して」

「え、あ……」

「ただ、知っててほしかったんだ。オイラの気持ちを」

キング……





「まあ、そういうことだから。
 これからは、変に画策するのはやめてよね」

「画策?」

「オイラとディアンヌを二人にしようとするアレ」

「……!!」

そ、そーだった……

てっきりキングはディアンヌのことが好きだと思ってたから、
今までそーゆーことばっかしてたけど……。





「……そろそろみんなのところに戻ろうか」

「う、うん……」

……いや、ちょっと待てよ。

キングはいつからあたしのことを?
最近じゃないとすると、あたしのやってきたことって……










「あ、あの、キング! ごめん……!」

既に歩き出していたキングの背中にそう叫ぶと、その足を止めて振り返る。





「……その『ごめん』って、オイラの気持ちに対する答え?」

「ち、ちがっ……!」

あまりにも哀しそうに笑ってそう言うので、あたしは慌てて訂正した。





「そーじゃなくて!
 あたし、今まで……要らぬことしてたから……」

申し訳なくてあたしは俯く。
キングは何も言わないけど、こちらに戻ってきていることが雰囲気で解った。










「……ありがとう、
 君がそういう風にやさしいから、オイラは好きになったんだ」

「え、……」

「さ、戻ろう。
 あんまり時間をかけると、団長たちが心配するかもしれないから」

「ちょ、ちょっと待って、キング……!」

さっさと行ってしまうキングを、あたしは慌てて追いかけるのだった。





























そのとき以来……なんだかあたし、おかしいんです


(キングと一緒にいると、なんかすごく恥ずかしいっていうか……!!)