ピリリリリ ピリリリリ


          ピッ





          「あーーーミドリン、ちょこっとぶりーーー!!
           最近どーおーー!?いい感じーー!?
           あのねーー実は
ピッ















          ピリリリリ ピリリリリ





          「前回といい、なんなのだ。
           いい加減に……」


          ピッ







          「もぉーー、ミドリンったらどうしていっつも途中で切っちゃうかなぁ!」

          「誰のせいだと思っている

          「せっかくいい情報あげようと思ったのにぃ〜」

          「人の話を聞くのだよ


          いつかと同じ調子で電話を掛けてきた桃井。
          その上、こちらの話など耳に入っていない様子だ。

          ――これ以上は相手にしても時間の無駄だろう。
          そう思い再び電源ボタンを押して電話を切ろうとすると……










          「ミドリンも知りたいでしょ?
           ちゃんの情報」

          「……何?」


          の情報、だと?







          「どういうことなのだよ」

          「あっ、ミドリンが興味持った!」

          「……いいから教えるのだよ!」

          「もぉー、しょうがないなぁ。
           あのね、実は――……」






































 
         「……おっ、真ちゃん、おはよーサン」

          「お前にしては早いな」

          「あー……なんつーか、たまたま早く学校に着いちまったっつーか」


          教室に入ってきた真ちゃんに声をかけると、挨拶より先にそんな言葉が返ってきた。
          (ふつーは挨拶を返してから言うことだけど、まあ、そこは真ちゃんだからな)

          けど確かに、オレが真ちゃんより先に登校してるっつーのも珍しいから
          そう言いたいのも解るんだけどさ。















          「だが、ちょうどいいのだよ」

          「は? 何が?」

          「昨日の晩、桃井から有力な情報を得た」

          「有力な情報〜?」


          えーっと?
          桃井っつーのは確か、真ちゃんと同じ帝光だったってゆう……
          (マネージャーだったっけか?)







          「んで、その『有力な情報』っつーのは具体的に何よ?」

          「桃井によれば、今日はの誕生日らしいのだよ」

          「えっ、……マジで?」

          「ああ、間違いないだろう」


          アイツの情報には中学のときから助けられてきたからな、と、真ちゃんはしみじみ言う。

          ……いや、つーかそんなことより、










          「それってお祝いしなきゃじゃね?」

          「無論」


          言うまでもない、という風に答えた。















          「そんで……
           わざわざオレにも教えてきたっつーことは、混ざってもいいってことっしょ?」

          「ああ。
           正直オレは必要ないと思うが、お前のようなおしゃべりな奴が居た方が
           も妙な気を遣わずに済むだろう」

          「どーゆー意味だよ


          ったく、その物事をハッキリ言うところはある意味で尊敬すっけど
          オレ以外だと単に相手を怒らせるだけだかんな?

          ……そんなオレの言葉も右から左に流れているのか、
          返事らしい返事もせず、真ちゃんは黙々とメールを打っている(のだと思う)。










          「誰にメールしてんの?」

          「馬鹿め。
           今の流れで以外に居ないだろう」

          「あー……ハイハイ、そーですね


          なんかもう、まともに会話できると思わない方がいいわな、こりゃ。
          (って、それは今更か。)







          「けど、どーすんだよ?
           今朝はたまたま朝練が無かったってだけで、放課後は部活もあるし……」


          あんまり遅いと、ちゃんを連れ出せないだろうし
          だからと言ってやっぱ祝うなら当日だろーから……







          「その辺はぬかりないのだよ。
           今日の部活は早く切り上げると、昨日主将が言っていただろう」

          「あ、……」


          そーいやそーだわ。
          確か、体育館の設備点検が入るとかで、
          体育館で行う全ての部活が早めに切り上げないといけない……とかなんとか言ってたっけ。















          「じゃ、部活が早く終わる分、その時間を使ってちゃんのバースデーを祝うと」

          「そういうことなのだよ」


          なるほどなーー。







          「けど、よくこんなタイミングで設備点検とか入ったよなぁ」


          ラッキーだったんだな。










          「日頃から人事を尽くしているゆえの結果だろう」

          「あー……きっとそうだわ。そうに違いねーわ」


          もう真面目に返すのもめんどくさくなってきたので、オレは適当に相槌を打った。
          (でも真ちゃんは自分の世界に入り込んでいるので、それほど気にしていない)















          「……お、真ちゃんケータイ鳴ってんじゃん。
           ちゃんからじゃね?」

          「そのようだな」


          そう言いながら、手元にあったケータイを開く真ちゃん。
          十中八九さっきのメールの返事だろうから、オレも大人しく待った。










          「ちゃん、なんだって?」

          「特に用があるというわけではなさそうだが、何故か戸惑っているのだよ」

          「は?」


          ……真ちゃん、いったいなんてメール送ったんだよ?

          そう言ってオレはケータイをのぞき込む。
          すると……







          2012/10/5 7:39
          To 
          Sub おはよう

         ―――――――――――

          突然だが今日の夕方
          は空いているか?

         ―――――END―――――















          「って、それだけかよ!!」

          「長々と説明するより簡潔だろう。
           それに、誕生日のことはサプライズにした方がいいのだよ」

          「そりゃそーだけど……」


          いや、でも、唐突にメールでそれだけ書かれてたら
          さすがにちゃんも戸惑うだろうに……。

          本当にマイペースなエース様だなと呆れつつ、
          オレはポケットから自分のケータイを取り出す。







          「とにかく、すぐメールが返ってきたってことは
           今のちゃんには、いくらか時間に余裕があるってことだよな」


          だったら、オレのメールもすぐ読んで返事をくれるだろう。
          そんな考えから、オレは真ちゃんのよりも短い文を打ってメールを送る。










          「……お、返ってきた」


          予想通り、それほど間を空けずしてちゃんからの返事が来た。
          オレはそのメールをしっかり確認したあと、メール画面を閉じてアドレス帳を開く。












          「……電話か?」

          「まーな」


          、と書かれたページにある番号を押して、俺は電話を掛ける。
          すると、メールと同じようにそれほど間を空けずして相手に繋がった。










          『もしもし、です』

          「あっ、ちゃん? おはよーサン」

          『うん、おはよう、高尾くん!』


          割と朝早い時間だというのに、電話の向こうからは元気な声が返ってきた。







          「突然電話なんてごめんねー」

          『ううん、大丈夫だよ。
           今は朝ごはん食べ終わって、一息ついたところだったから』


          それに直前にメールで伝えてくれてたから、と言う彼女に、
          なら良かったわーと言いながら、オレはさっそく本題に入る。















          「それでさ、さっきの真ちゃんからのメールなんだけど」

          『あ……あの唐突なメール?』

          「そーそー」


          うん、やっぱそーだよな。
          あれは唐突すぎるよな。







          「あれの補足をしようと思って電話したんだわ」

          『あー、なるほど!』

          「電話の方が手っ取り早いっしょ?」

          『うん、そうだよね』


          あたしメールのやり取り長々とやるの苦手だから、と、ちゃんは賛同してくれた。
          実は単にちゃんの声を聴きたかったから……つーのも実はあったんだけど、
          それはあえて言わないでおく。










          「でさ、今日の夕方なんだけど、ちょっと会えないかなって思ってさ」

          『別に用は無いんだけど……
           でも、二人とも部活は?』

          「なんか今日は設備点検が入るとかで、早く終わるんだと」

          『そうなんだ』


          最近のこととか一緒にしゃべりたいって思ったんだけど、どう?







          『うん、楽しそうだね!
           でも早めに終わるとはいえ、部活のあとで大丈夫?』

          「へーきへーき、そんなにヤワじゃないしオレら」

          『そっか……
           じゃあ、せっかくだし会いたいな』

          「おっしゃ、決まりね!」


          時間と場所は後で連絡することにして、ひとまずオレは電話を切った。















          「誕生日のこと隠したまま、なんとかちゃんを誘い出せたな」

          「……そうか」

          「何?なんか真ちゃん、不機嫌じゃね?」

          「そんなことはないのだよ」


          いや、明らかにイライラして……
          ……って、もしかして。







          「オレばっかちゃんとしゃべってたから、妬いてんだろ」

          「そっ、そんなことはないのだよ!」


          いやいや真ちゃん、そんなに動揺してたら誤魔化せてねーって。
          マジでツンデレだよなー。














          「……お? 真ちゃん、またメールじゃね?」

          「あ、ああ……」


          不思議そうにしながらメールを読んだ真ちゃんは、直後、
          一目で解るくらいの幸せオーラを出していた。

          ……間違いなく、ちゃんからのメールだな。これは。







          「良かったじゃん、真ちゃーん!」

          「うるさい黙れ騒ぐな

          「またそんなこと言うー。
           照れ隠しにもなってないっての」

          「フン」


          まあ、とにかく。










          「あとはどうやってちゃんをお祝いするかってことだよなー」

          「サプライズに限るのだよ」

          「いや、だからその『サプライズ』をどうするかって話だよ


          まあ、いいや。
          とにかく、放課後までには考えねーとな!





























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           自分の誕生日を自分で祝うために書き出したもの。(オイ
           簡単に終わらせようとしたら、だらだら続いてしまい
           1話で終わらなくなってしまいました。(え

           続く意味があるのか果たして謎ですが、ちょっと続きます。

           ちなみに、緑間が最後にもらったメールに書いてあった内容は、
           ご想像にお任せしようかと思います。(何