「私はつくづく物好きだと思うのだよ」
藍色の空の下、少し前まで騒がしかった公園は今はとっても静か。
「まだ12歳って年齢なのに、好きな人を追いかけてイタリアから日本に来て」
ブランコのキイキイという音が私の寂しさをあらわしてるみたい、なんてガラじゃないことを考えたり。
「なのに彼ときたら私にはちっともかまってくれないし」
「
・・・」
溜息交じりの言葉に、控えめに呼ばれる私の名前。
ブランコを囲う柵の向こうで所在無さげに立つのは、親に勘当を言い渡されても離れたくなかった愛しい人。
・・・彼−獄寺隼人にとって私がどの程度の存在なのかはわからないけれど。
タイムリミット
「何かあったら10代目。何もなくても10代目。口を開けば10代目」
愚痴っぽい言葉は普段絶対言わないこと。
彼の過去を知っているから。
だけど、責めるつもりはないけれど、たまにはいろいろ言いたくなる。
「怒ってんのか?」
「どうだと思う?」
困ったように問うてくる隼人に問いで返せば、すいと逸らされる視線。
その姿が私を拒絶しているようだと感じるなんて、どれほど彼に溺れているのか。
浮かべる笑みは、さぞかし引きつっていることだろう。
「悪ぃ・・・」
「何を謝っているの?」
弱々しい隼人の声に、自分でも驚くような冷たい声を返す。
さすがに度の過ぎた八つ当たりかと思い謝罪の言葉を口にする前に、隼人が口を開く。
「寂し・・・かったんだろ」
怒るところなのかもしれない、思い上がるなと。
泣くところなのかもしれない、気付いていたのかと。
「別れてしまえば楽だと分かっているんだけどね」
「!」
自嘲というにふさわしい笑みを浮かべて。
つい洩らした本心に、顔色を変える隼人。
私たちの間にある柵を飛び越えて、一瞬といってもいいくらいの速さで目の前へ。
「別れよう、イタリアに帰ろうって思うようになると、
隼人はタイミングよく抱き締めにきてくれるんだ」
「ったりめぇだろ。
を手放してたまるか」
視界を埋める白いシャツ。
感じられるのはタバコの香りと人のぬくもり。
本当にタイミングのよい抱擁に苦笑をもらせば、強められる腕の力。
「隼人は意地悪ね」
少し苦しいけれど居心地のいい隼人の腕の中。
普段なら絶対しないであろうその胸に擦り寄るなんてことをしたのは、本音を告げる照れ隠し。
「きっと私はもう隼人なしじゃ生きていけない」
責任とってくれるのかしら?なんて冗談交じりに言ってみて。
照れて怒鳴ってくると思っていたのに返事はなくて、ちょっと不安になって顔を上げる。
「当たり前だろ」
見上げた先には見惚れてしまうような真剣な顔。
「愛してる。
」
「ん・・・っ」
これ以上ないくらいの嬉しい言葉と、口付け。
心を埋め尽くしていた寂しさや不安が一気に消えるなんて単純だとは思うけれど。
「私も愛してるわ」
「あ、当たり前だ!」
照れて真っ赤になった顔を知るのが私だけである間くらいは、この愛に縋っていてもいいよね?
Fin.
無駄に長い気がする・・・
しかも相変わらず話微妙だし;
すっごい今さらな気がしないでもないですが、相互してくださっている蝶月さんへの贈り物です
お持ち帰りは千夜さんのみお願いします。
・・・取る人なんていないでしょうが;
こんなの贈り物にしようとする私はチャレンジャー(苦笑
'07.11.23
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「夢追い人の宴」の黒猫あやめちゃんから、相互記念として頂きました!!
照れてる獄寺とか、ちょー可愛いですv千夜がすごく好きな展開です!
あやめちゃん、素敵なお話どうもありがとーございました!
秋月千夜