「こんにちはー!」
屯所で総悟と近藤さんと一緒にテレビを見ていると、
聞き覚えのある声が門の方から聞こえてきた。
「ちゃんだな!」
「……さんですねィ」
「うん、明らかにお姉だね」
やって来たのは、お姉だった。
「こんにちは、お邪魔します」
「やァ、いらっしゃい、ちゃん」
どうやらお姉は、たちがいる部屋に通されたようだ。
「今日はトシとの仕事じゃないの、お姉」
トシとの仕事だったら、トシの部屋に行くはずだからね。
「うん、今日はにお願いがあって」
「お願い?」
「そうだよ」
お姉の話によると、こうだ。
なんでもいつも仕事を頑張っている(とお姉は思っている)トシのため、
慰労を込めて新年会を開きたいらしい。
「あっ、もちろん真選組の皆さんのためでもあるんですけど……」
こないだ一緒に仕事をしたとき、トシが目に見えて疲れてたんだって。
だから、ちょっとでもこのお正月を楽しんでもらいたいらしい。
「お正月も関係なく、みんな仕事してるでしょ?
だから、たまにはいいんじゃないかなって思って」
協力してもらえないかな、とお姉は続けた。
「いいじゃないか、新年会!
ちゃん、俺も協力するぞ!」
「ほんとですか!?」
が答えるより先に、近藤さんが勢いよく返事をした。
……てか、「俺も」って、も協力すること勝手に決定してるんですけど。
「まァ、やってもいいんじゃないですかィ。酒も呑めるし」
「うん、お酒も用意するつもりだよ」
が微妙な心境になっていると、総悟もお姉の意見に賛同してきた。
…………まァ、コイツは酒が呑みたいだけだろうけど。
(てか、未成年なのに酒かよコイツ)
「で、どうかな、」
「…………しょうがないね、手伝ってあげるよ」
「やった!ありがとう」
何だか乗せられた感じがしないでもないけれど、
まァ、いいか。新年会くらいは。
そんなこんなで、新年会の準備を始めることにした。
会場はもちろん屯所。会の指揮をとるのはお姉と近藤さん。
と総悟は準備なんてめんどいって言ったら、別の仕事を任されてしまった。
「しっかし、さんも物好きですねィ。
あんなヤローのために新年会だなんて」
「確かにね。
でも、任された仕事は楽しそうだから、はいいよ」
「そうですねィ」
総悟とは、互いの顔を見てにやりと笑った。
「じゃあ、始めるよ」
「了解」
「おい、近藤さん」
「ん?何だ、トシ」
「さっき山崎の奴が、が屯所に来てるって言ってたんだが
どこにいるか知ってるか?」
「仕事の話でもするのか?」
「あァ」
廊下を歩いていた近藤さん(正しくは買い出しに出掛ける途中の近藤さん)に、
トシが話しかけた。どうやら、お姉を探しているらしい。
「うーん、しかし今は手が放せるかどうか……」
「それなら後回しにするつもりだが、とりあえず声は掛けておきたい」
「そうか、なら、今は大広間辺りにいると思うぞ」
「あァ、サンキュ。助かった」
近藤さんと別れたトシは、その足で大広間に向かう。
「総悟、トシがお姉のところに向かうよ」
「ばっちりさんをフォローしないといけませんねィ」
「うん」
たちがそんなことを話していると、ちょうど向こうからお姉が歩いてきた。
「、今、ちょっといいか?」
「え、あ、い、今……ですか?」
「あァ。手が放せないのか?」
「え、えぇ、まぁ……」
お姉は明らかに挙動不審な感じでトシの問いに答える。
……てか、そんなんで隠し通せるわけないと思うんだけど。
「? 何かあったのか?」
「い、いえ!別に何もありません!!」
「だが、」
「すみません、また後でお願いします!!」
そう言ったお姉は、一目散に逃げていった。
「な、何だったんだ?」
やっぱりとゆーか、お姉の行動を不審に思ったトシは、
そのままお姉を追いかけようとする。
「ひ〜じかたさーん」
だけど、総悟がそれを止めた。
「な、何だよ総悟」
「いやァ、別に大した用じゃないんですが……ねェ、?」
「うん、別に大したことじゃないよ、ただ……」
意味深に話すと総悟を、トシは警戒しているように見える。
「俺たち、今の見てたんですけど……」
「……?」
「トシ、もしかしてお姉に避けられてるんじゃない?」
「……!」
その瞬間、トシの顔色が変わった。
(なんて解りやすい男なんだ)
「な、そ、そんなわけないだろ……たぶん」
努めて冷静さを保とうとするトシだけど、 冷や汗がダラダラ流れている。
「けど、さんって仕事の依頼をしたら
喜んで引き受けてませんでしたっけ?」
「さっきは、すごい変な態度とってたよね。
早くこの場から去りたかったようにに見えたし」
「…………」
総悟との攻撃で、どんどん顔色が悪くなるトシ。
……ま、避けてるってもちろん嘘だけどさ。
ただ、こっそり新年会の用意をしてビックリさせたいんだって。
で、トシにばれないようにフォローするのがや総悟の役目。
フォローと言いつつ、うちらの作戦ではトシいじりをしようということになった。
(話がぶっ飛んでるとか言わない、そこ)
「た、たまたまだろ」
「どうだかねー」
「さんの顔、ちょっと引きつってましたぜィ」
「…………」
実際には、引きつっていたわけじゃないと思うけど。
ただ、トシはたぶんお姉の顔を真っすぐ見れないから(恥ずかしくて)
そこまで気付いてないんじゃないかなというのが、の意見だね。
「と、とにかく、俺はに依頼する」
そう言って、トシも去っていった。
「…………ごめん、総悟。
ちょーうけるんだけど」
「謝らないでくだせェ、。
俺も同じでさァ」
こんな感じで、は総悟と一緒にトシいじりをして
夕方までお姉の計画がばれないようにフォローした……たぶん。
「こんな感じで大丈夫でしょうか?」
「あァ、飾りつけも完璧だしな!」
総悟と一緒に大広間に戻ると、ちょうど準備が完了したところだったらしい。
お姉と近藤さんが、そんな会話をしていた。
「あ、、総悟くん、お疲れさま!
何とか土方さん注意をごまかせた?」
「うん、ごまかせたと思うよ」
「充分すぎるほどに」
「……?」
また意味深に笑ったうちらを見て、お姉は少し不思議そうにしている。
「それで、土方さんは?」
「トシなら、ショックで屯所にいられないからって
市中の見回りに出かけたけど」
「しょ、ショック!?何かあったの?」
の話で、お姉が少し焦る。
「別に大したことじゃないと思いますぜ」
「そ、そうなんだ……?」
「そうそう、大したことないって」
トシ的にはやばいかもしれないけどさ。
「でも、そっか……じゃあ、あたしは土方さんを迎えにいってくるね」
「行ってらっしゃい」
「気をつけるんだぞ、ちゃん!」
「はーい!」
そう言って、お姉は屯所を出て行った。
「あっ、いた!土方さん!」
「……!?」
突然現れたお姉に、慌てるトシ。
……あァ、ちなみには、総悟と一緒にお姉を尾行しています。
これでまたトシをからかうネタが増えるからね。
「探してたんですよ!あたしと一緒に、屯所に戻ってください」
「いや、だが……」
「いいから、早く!」
「って、オイ、!」
お姉はトシの手をとって、そのまま歩き出した。
急いでいるためか前しか見ていないお姉、そして顔を真っ赤にしているトシ。
「この構図、面白すぎるよね」
「えェ、本当に。こりゃあまたネタが増えますぜ」
「同感」
そんな会話をしつつ、うちらもこっそり屯所に戻った。
「おっ、やっと来たか、トシ!!」
「こ、近藤さん……こいつァ、一体……」
見事に飾り付けられた大広間を見て、唖然とするトシ。
「土方さんのために、慰労を込めた新年会をやろうと思って。
だから、朝から準備してたんですよ」
お姉が補足を加える。
「びっくりさせたくて、秘密にしてたから……
図らずも避けてしまってごめんなさい」
「あ、いや……そんなに気にしてねェよ」
嘘つけ。
「じゃあ、さっそく始めましょうか!」
「そうだな!」
お姉の掛け声で、新年会が始まった。
トシはというと、お姉に避けられていたわけではないと解って
顔がにやけるのを我慢しているように見えた。
「、土方さんが気持ち悪いですぜ」
「今くらいは見ないふりをしといてあげようよ」
「りょーかい」
たまにこういうご褒美がないと、トシの怒りもすぐ頂点に達するしね。
がトシいじりをするためにも、今日くらいは、ね。
たまにはご褒美を?
(これでまた、いじれるってことだよ)
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そんなわけでお年賀企画第3弾でした!いかがだったでしょうか?
こちらは妹の楓からリクしてもらったもので
リク内容は「総悟くんと一緒に土方さんをいじる」でした。
一応土方さんが一番好きな千夜は、ヒロインに
いじってもらうっていうのがなんか書けなくて……
「君と一緒に。」ヒロイン設定で、いじるのは妹にお願いしました^^;
でも、二人は水を得た魚のようにいじるんですよ(え
とにもかくにも、最後までお付き合い頂き、ありがとうございました!!
リクしてくれた楓のみお持ち帰り可です。
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