『一緒に行くぞ、』
『うん!!』
そんな訳で、あたしは江戸にやってきました。
新たな暮らしが始まる日――第一話 二年の月日が流れた後
「ここが江戸…………」
やっぱり都会なんだなぁ……。
「……じゃ、とりあえずんトコに行くか。
報酬ももらわなきゃなんねェし」
「うん」
「お前のことも言わねェとなァ〜」
「そうだね……」
これから江戸に住むこととか、色々と説明しないといけないね。
「じゃあ、行くぞ。真選組の屯所だ」
どーん
「ここが真選組の屯所……」
すごくでかい……!
「でも、銀さん……
こんなすごそうな所に入れたりするの……?」
「心配いらねーよ、すごいのは見た目だけだから。
中にいる奴らは大したことねーしな」
「大したことねーってのは誰のことだ?」
「……!」
誰……?
「よォ〜、多串くんじゃねーか」
「誰が多串だ。
つーかテメェ、なんでここにいんだ……?」
真選組の人、だよね……?
でも瞳孔開いててすごく怖いんですが……!
「おいテメー、がビビってんじゃねーか
その瞳孔開いた目つきやめろ」
「うるせー、こりゃァ元々だ」
ええっ! もともと!?
「…………で、この女は何者だ?」
「ちゃんだ。
俺とおんなじ万事屋やってて、今さっき故郷から出てきたんだよ」
「…………?」
『はお姉と二人姉妹なんだ』
『へェ……姉がいんのか』
『あァ……けど、お姉は故郷にいる』
「(二年前に入隊したアイツの苗字は“”……
まさか、この女…………)」
「いつもがお世話になってます、あたしは姉のです」
「…………。(やはりそうか……)」
「えーと……多串、さん?」
「違げェっつの」
ええっ!
銀さんが呼んでたから、てっきりそういう名前なのかと……
「……俺は真選組副長の土方十四郎だ」
「あ……副長さんだったんですね」
「まァな」
この人が副長さんかぁ……
うん、まぁそんな感じもする……。
「……でも、副長さんと友達だなんて銀さんってすごいなぁ」
「だろォ〜? 銀さんのこと見直した?」
「うん!」
「誰と誰が友達だオイ」
『トシ、これから先、
お姉と会うことがあるか全く解らないが……』
『……?』
『お姉は天然だから、会ったときは気をつけてくれ』
『…………は?』
「(今ならのあの言葉がよく解る……)」
「あの……土方、さん?」
「……何だ」
「局長さんもいらっしゃいますか? ご挨拶したいんですが……」
「…………生憎だが局長は出払ってる」
そっか……
「気にすんなよ、。 ゴリラに挨拶なんて必要ねーし」
「ゴリラ?」
「誰がゴリラだよ」
何のこと??
「それにどーせアレだろ、
ストーカーしに行ってんだろアイツ」
「ストーカー?」
「ちっ、違げェよ」
「じゃあ何してるってんだァ?」
「それは……」
「やっぱストーカーだろォ? そうだと思ったぜ」
…………?
「とっ、とにかくだ! 局長はいいからに会ってこいよ」
「それもそうですね」
いないのなら仕方がないし、先にに会いに行こう!
「オイ、いるか?」
「いるよォ」
「入るぞ」
「オッケー」
シャッ
ドカーン!
「ってオイィィ!!
ふすま開けた瞬間バズーカ撃つなァァ!!」
「いや、トシが自分から死にに来てくれたのかと思って」
「んな訳ねェだろ!
……客に当たったらどうするつもりだ?」
「客……?」
「大丈夫か?」
「うん、かばってくれてありがとう、銀さん……」
「……!」
「お前に客だよ」
「…………」
『!!』
「お姉…………」
「お姉も割と元気そうだね」
「うん!」
「どうだった? 銀時との生活は」
「うん……」
『俺のところへ来い』
「色々あったけど……すごく、楽しかった…………」
銀さんはすごく優しいし、
あたしに手を差し延べてくれた…………
「……良かったね、お姉」
「うん……銀さんに依頼してくれてありがとう、」
本当に……銀さんに会えて、良かった……。
「…………。(銀時とお姉を会わせたのは正解だったか……)
で、江戸に出てきたってことは、住むつもりなの?」
「うん、そうだよ。 銀さんに依頼されたの!」
「依頼?」
「そう」
でも……本当はそうじゃないんだよね。
きっと、あたしが気を遣わないように、
そう言ってくれたんだ……。
「銀さんのところにいる神楽ちゃんって子、知ってる?」
「うん」
「住み込みで、その子の遊び相手をしてくれって」
「ふーん、なるほどね……」
神楽ちゃん……そして新八くん、早く会ってみたいな。
「……。(でも銀時の奴、初めは乗り気じゃなかったクセに
ちゃっかりお姉まで連れて帰ってきてるし……)」
「荷物は後から届く予定なんだよ」
「そう」
「あたし、銀さんのところで上手くやっていけるかなぁ……」
仲間はずれとかにされちゃったら、どうしよう……!
「……心配ないんじゃない。
とりあえず、新八と神楽には焼き肉でもふるまっとけばいいよ」
「そういうものなの……?」
えらく単純な気が……。
「オーイ、〜」
「あっ、銀さん! どうかした?」
「お前、今日はココに泊めてもらえ」
え……?
「……ほら、新八や神楽にお前のこと説明しなきゃなんねェしな。
今日だけはココで我慢してくれ」
「そっか……うん、解った。
、今日だけ泊めてもらってもいい?」
「たぶん大丈夫だと思うよ」
「ほんと?」
良かった……。
「……じゃ、屯所内でも回ってくれば?
迷ったらめんどくさいだろうし」
「うん……そうする! は?」
「今から銀時と報酬の相談」
「あっ、なるほど(笑)
それじゃあ、ちょっと行ってくるね」
「いってらっしゃい」
…………。
「…………で? なんで連れてきたんだ?」
「うっ、うるせーぞ!
言っとくけど、俺はに依頼しただけだかんな!!」
「ふーん……」
ってか“依頼”とか、かなり建前じゃん。
「……置いていくなんて、出来なかったんだ」
「…………」
「俺は、の、本当の笑顔が見たい……
…………ただ、それだけだ」
「…………あっそ」
なんか銀時、キャラが変わったなァ……。
「もしかしてお姉にホレた?」
「…………悪りィかよ」
「別にィ〜〜」
普段はちゃらんぽらんだけど、銀時なら合格ラインだ。
それに……お姉と合ってる気がするしね。なんとなく。
「んじゃ、これ報酬な」
「おっ、おう」
「それで明日、お姉と夕飯の材料でも買ってこい」
「なんで夕飯の材料?」
色々とあるんだよ。
「銀時」
「ん〜?」
「お姉を連れてきたからには、絶対に哀しませるなよ」
「……! …………わァーってるよ」
ま、お姉もコイツの人柄に惹かれたからついてきたんだろうしね。
大丈夫だろう。
「それじゃ、また明日を迎えに来るからなァ〜」
「忘れんなよォ」
「忘れねーよ!!」
「お姉、思いっきり楽しみなよ」
もう少しでこの部屋に戻ってくるであろう人物に、
は密かにエールを送った。
To Be Continued...「第二話 浮かぶ疑念」