「こんなもんで大丈夫じゃないの」

          「そうだね! じゃあ、そろそろ戻ろっか」

          「うん」


          の提案で買い物しに行ったんだけど、
          一通りは揃ったので屯所に戻ることにした。




















新たな暮らしが始まる日――第三話 その裏に隠された何か






























          「ただいまァ〜」

          「ただいまです」

          「おぉ、お帰り、二人とも!」


          屯所に戻ったあたしとを、局長の近藤さんが迎えてくれた。





          「必要な物は揃ったのか?」

          「はい、バッチリです!」
 
          「そうか、良かったな!」


          近藤さんって、なんだかお兄ちゃんみたい……















          「近藤さん、悪りィがちょっと来てくれ」

          「おぅ、解った! ……じゃ、俺はもう行くけど
           ちゃん、ちゃんを空いてる部屋に案内してやってくれ」

          「はーい」


          いいなぁ、お兄ちゃん……





          「……? お姉、どうかした?」

          「うん……なんか、近藤さんってお兄ちゃんみたいだよね」

          「あー……解るソレ」

          「ほんと!?」

          「うん」


          やっぱりそうだよね!





          「ま、お姉は上にキョーダイがいないから
           余計に新鮮なんじゃない?」

          「うん、そうなんだよね!
           総悟くんも、なんだか弟みたいだし……」


          本当に血が繋がっている訳じゃないけれど……
          そういうの、いいなぁって思うんだ。





          「近藤さんが兄で総悟が弟ね……
           ま、二人とも色々と問題はあるけど、それもいいんじゃないの」

          「うん!」


          これからもっと仲良くなっていけたらいいな……。










          「……じゃ、いつまでも玄関にいるのもアレだし部屋に案内するよ」

          「うん、お願いね」

























          〜〜♪







          「ん……?」


          電話……?






          「もしもし?」

          『おっ、か?』

          「銀さん! どうしたの?」

          『いや、ちょっとのことが心配でなァ〜』


          銀さん……
          心配してかけてくれたんだ……。





          「ありがとう、銀さん。
           でも、真選組のみんなも優しいし、大丈夫だよ」

          『そっか〜、そりゃ良かったよ』

          「うん!」















          「……ん?(誰か電話してんのか……?(」














          『それでよォ、
           お前のこと新八と神楽にちゃんと説明しといたから』

          「えっ、ほんと!? 大丈夫だった……?」

          『あァ、心配いらねーよ』
          
          「そっか、良かったぁ……」
















          「…………」



          『いつもがお世話になっています、あたしは姉のです』



          あの女か……。
          近藤さんや総悟を始め、隊士は皆、あの女を信用しているようだ。






          「だが……」


          俺はまだあの女を信用した訳じゃねェ……
          いくらの姉だとしても、だ。





          「何か引っかかるんだよ……」


          何かを隠しているような……。















          『じゃ、また明日、迎えに行くかんな』
 
          「うん、待ってるね、銀さん!」

          『おォー。それじゃ、オヤスミ』

          「おやすみなさい」













          「…………。
           (そういやあの女……万事屋んトコに住むんだったか。
            確かがそう言ってたな……。)」




















          「ふぅ……」


          良かった、銀さんも新八くんや神楽ちゃんに
          きちんと説明してくれたみたい……。





          「の様子と、仕事場の雰囲気も解ったし……」


          これなら安心だよね。





          「……さてと、少し荷物を整理しておこうかな?」


          銀さんが来たらすぐ出発できるようにね。




















          「……トシ?」

          「……! 近藤さん……」

          「どうしたんだ、こんな廊下の真ん中で」

          「あ……いや……」


          そうだ……何をしてんだよ、俺は……。





          「おい、トシ! ホントに大丈夫か?」

          「……あァ、何でもねェ」

          「そうか?」


          あんな女について考えてる暇なんか無かったはずだ。
          総悟が溜め込んだ書類も残ってるし……





          「トシ、疲れてるなら休んだ方がいいぞ?」

          「……そうだな」


          書類が終わったら、な。


























          「お姉、片付けもいいけどそろそろ寝れば?」

          「うん、そうだね……ねぇ、
           近藤さんと土方さんって、まだ起きてる?」

          「うーん……この時間ならまだ起きてるんじゃないの」


          そっか……。





          「用事?」

          「ううん、先に休ませてもらいますって挨拶に」

          「そんなのいいよ、別に」

          「そういう訳にはいかないの! 
           じゃ、ちょっと行ってくるね」

          「……いってらっしゃーい」















          「……って出てきたものの、近藤さん、いないし……」


          退くんはいつものことだろうって言ってたけど……
          どういうことなんだろ?





          「とにかく、土方さんにだけでも挨拶してこよう」















          ええと……ここかな?





          「あの……土方さん?」

          「誰だ」

          「の姉の、です……
           少し、いいですか?」

          「……(あの女か……)…………入れ」



          シャッ






          「すみません、こんな時間に」

          「……何の用だ」

          「いえ、あの……先に休ませてもらおうと思って。
           泊めてもらっているんだし、その挨拶に来ました」

          「そうか。(ご苦労なこった……)」


          よし、じゃあ挨拶も出来たし、寝ようかな。





          「それじゃあ……おやすみなさい、土方さん」

          「……あァ」


          シャッ



          …………。













          「…………フン」


          よく解らねェ女だ……



          『おやすみなさい、土方さん』







          「お休み、か……」


          久しぶりに面と向かって言われたな……






          「……チッ、なんであんな女のこと考えてんだ」


          俺ァ、さっきからどうかしてんだ……
          あの女のことなんか考えたって、仕方ねェだろ……。










          「……どうせ、もう関わることも無いだろうしな」


          だが、すぐにその言葉を訂正する日が来ることを、
          その時の俺はまだ知る由も無かった。





















          To Be Continued...「第四話 闇夜に迷った心