これから江戸に向かうんだ……







          「どんな所なんだろう…………」


          いろんな場所に行ってみたいし、
          お買い物したり、いろいろやってみたいな。




















新たな暮らしが始まる日――プロローグ






























          「久しぶりににも会えるよね……」


          二年ぶりかぁ…………


          どんな仕事をしているのか、どんな仲間がいるのかとか、
          一応お姉として聞いとかないとね(笑)







          「オーイ、〜」

          「はーい!」


          とりとめもなく考えをめぐらせていると、
          銀さんの声が聞こえてきた。








          「なーに〜?」

          「食器類はダンボールに詰め終わったぞ。そっちはどうだ?」

          「うん、あと少しで終わるよ」


          江戸に向かうことを決めたあたしは、
          銀さんに手伝ってもらいながら荷造りをしていた。


          …………まぁ、荷物は郵送して
          後で受け取ることにしたんだけどね。







          「よォ〜し、ちょっとスピードアップして終わらすぞ!」

          「おー!」


          そうしてまた、あたしは自分の作業に戻った。




















          「…………あ、」


          お父さんとお母さんの写真…………






          「これも持っていかないと……」


          お父さん……お母さん……
          あたしも、が向かった江戸に行きます。






          「故郷を離れてしまうことになるけれど……」


          だけど、完全に離れる訳じゃないよ。
          この場所は、いつまでもあたしたちの故郷だから。


          江戸に行って、いっぱい学んでくるね!








          「万事屋の仕事も続けたいし……」


          頑張らないとね。





















          「んじゃ、準備オッケーだな」

          「うん!」








          「ホントに行っちゃうんだねェ、ちゃん」

          「元気でやれよォ!」

          「はい! みんな、ありがとうございます」


          とうとう出発するというときに、
          町のみんなが見送りに来てくれた。







          「ちゃん、これ持ってきな」

          「……!
           おばさん、これって……」


          渡されたのは、たくさんのフォークだった。







          「慣れない場所だし、たくさんあった方がいいだろ?」

          「でも……」

          「どう使うかは、ちゃんに任せるよ」

          「……! …………はい」


          あたしは、それがどういう意味なのかよく解っていた。




















          「、そろそろ行こうぜ」

          「そうだね!」

          「いつでも帰ってこいよ、ちゃん!」

          「はいっ!」






          「みんな、またね!!」


          “さよなら”ではなく“またね”をみんなに送り、
          あたしは旅立った……――――




















          To Be Continued...「第一話 二年の月日が流れた後