『夜に忍び込むのが調査としては理想的だが、
           ターミナルは、夜は完全に封鎖されちまうからそれも叶わねェ』

          『それじゃあ……』

          『人のまばらな昼間に、客のフリをして潜入する。
           11時にターミナルだ』

          『解りました』



          昨日、土方さんにそう言われたため、
          あたしはターミナルへと足を運んでいた。




















僕らが過ごす日々――第三話 調子を狂わせるひと



































          ……なんて返事をしたものの、ターミナルの場所も解らなくて
          またもや銀さんに送ってもらってるんだよね……。


          近所だけじゃなくて、ある程度の範囲までは
          ちゃんと地理を把握しておかなきゃね。

          依頼にも支障が出ちゃうし……!











          「着いたぞ、

          「えっ?」

          「ココがターミナルだ」


          ここが……。






          「送ってくれてありがとう、銀さん!」

          「これくらいお安い御用だ。んじゃ、俺は帰るな」

          「うん」

          「遅くなるときは、ちゃんと連絡するように〜」

          「はーい!」


          さてと……






          「11時まで、あと10分か……」


          ええと……
          土方さんはもう来てるのかな?















          「こっちだ」

          「……!」


          後ろ……?






          「土方、さん?」

          「おぅ、待たせたな」

          「あ、いえっ……」


          ってゆうか……






          「今日は私服なんですね……」


          いつもと雰囲気が違う……。















          「…………お前はバカか」

          「えっ?」

          「客のフリして潜入するってのに
           真選組の隊服着てくるわけねーだろ」

          「あっ!」


          そっか!





          「…………。
           (の言う通り、コイツやっぱり天然だよな……)」

          「でも……」

          「何だ?」

          「隊服も似合ってましたが、私服も格好いいですね」

          「なっ……!(何言ってんだよ……)」


          なんでも似合うなんて、羨ましいなぁ。






          「と、とにかく! さっさと潜入するぞ」

          「はい」

          「とりあえず、別の宇宙船で旅行に出かける風を装うからな……
           これが搭乗チケットだ」

          「解りました」


          B−1チケットか……。
          それにしても宇宙旅行って、スケールでかいよね。






          「新婚旅行みたい……」

          「……!? 
           だ、だからお前はさっきから何言ってんだ!」

          「あたし、何か変なこと言いました?」

          「(
オイイィ!なんでコイツこんなに天然なんだよ
            なんでとキョーダイなのに180度正確が違うんだよ!!)」


          土方さん、どうしたんだろ?















          ピーンポーンパーンポーン




          『本日も当ターミナルをご利用頂き、誠にありがとうございます。
           搭乗予定のお客様にお知らせでございます』






          「ん?」


          何だろう?






          『B−1チケットをお持ちのお客様、Bゲートまでお越し下さい。
           5分後に搭乗開始となります』














          「(いや、落ち着け、俺!
            今は調査中だ、余計な考えは捨てるんだ……)」

          「土方さん!」

          「(そうだ、落ち着け……よ、よし、少し落ち着いてきたか。)」

          「土方さん!」


          もう、土方さん聞いてないし!






          「土方さん! Bゲートに行きますよ!!」


          ぐいっ






          「お、おいっ!何すんだよ!
           (やっと落ち着いてきたってのに……!)」

          「搭乗時間なんです!
           土方さんがぼーっとしてるのが悪いんですよ!」

          「わ、解ったから放せ!」

          「ダメです! ほっといたら、また考え込むんだから!」




          「(誰のせいで考え込んでると思ってんだよ!!
            つーかコレ、腕組んでるみたいじゃねェか……)」
















          あっ、Bゲートあった!




          「土方さん、自分のチケット出して下さい!」

          「あ、あァ」






          「いらっしゃいませ」

          「あの、B−1チケットで乗る予定なんですが……」

          「はい、このゲートをくぐり、
           突き当たりを左手にお進みください」

          「解りました、ありがとうございます!」


          よーし……






          「とりあえず潜入できましたね」

          「そうだな……。
           (考え込むのは後だ、とにかく今は調査をしねェと……)」

          「これからどうします?」

          「奴らの船に行くしかねェだろうな」


          それはそうだけど……





          「でも、船の場所は……?」

          「……そこが問題だ」


          やっぱり、さすがの土方さんでもそこまでは解らないか……

          ゲートは違っても中は繋がってるみたいだから、
          一応全て調べることは出来るんだろうけど。















          「おい、早くしろ!」

          「解ってる!」


          あれは……






          「土方さん、隠れてください!」

          「なんでだよ」

          「いいからっ!」






          「今日はどこから離陸するんだ?」

          「A−3だとよ。
           真選組に嗅ぎ付けられぬように毎回場所を変えるたァ、
           手が込んでるよな」

          「全くだぜ」















          「土方さん、今の……」

          「あァ……ビンゴだ」


          真選組を警戒してるくらいだし、
          悪いことやってるのは確かだよね。






          「行くぞ、A−3だ」

          「はい!」
























          「……で、具体的にこの後はどうしましょうか」

          「そうだな……船の甲板で騒ぎでも起こすか」

          「そのスキに調査ですか?」

          「あァ」


          ってことは、この間と同じような感じだよね。






          「単純な方法だが、こーゆーの方が案外有効でな」

          「そうですね……じゃあ、騒ぎを起こすのと調査するのとで
           二手に別れましょう」

          「それなら俺が騒ぎを起こすから、お前はその間に調査しろ」

          「解りました」


          そうして、あたしと土方さんはそこで二手に別れた。














          「さて、一口に調査と言っても……」


          闇雲に探し回るのはリスクが高いし、そんなに時間もかけられない。
          ターゲットを絞った方が良さそうだよね。





          「…………」


          ……。


          …………。







          「風の流れが違うのは……」


          あの辺り、かな?










          
ドォン!





          「あっ!」


          土方さんが何かやってくれたみたい!









          「オイ、何があった!?」

          「解りません、甲板の方で何か……!」

          「チッ、とにかくそこに向かうぞ!!」

          「はい!!」














          「よーし」


          上手く注意をそらすことが出来たね。






          「それじゃあ、あたしも始めようかな」



















          To Be Continued...「第四話 再び闇とまみえる刻