「♪かさなる影 飾らない気持ちで」
「さん、なんだか機嫌がいいみたいですね」
新八の言う通り、ここ2、3日のは妙に楽しそうだった。
一週間前、ターミナルから帰ってきた後しばらくは
様子も変だったが……
…………ってかある意味、今も変だよねコレ?
僕らが過ごす日々――第七話 君は笑顔が一番だから
「男アルな」
神楽が唐突にそんなことを言った。
「って、オイィ! 男ってどーゆーことだァ!?」
「そのままヨ。女があんなに楽しそうにしてるなんて、
男ができた以外に考えられないアル」
「に男!?」
まさか、んな訳ねーって……
でも、最近ホント機嫌いいしなァ……
「いーや、やっぱりんな訳ねェ! に男なんて!!」
「銀さん、なんでそう言い切れるんですか?」
「は将来、俺がお嫁さんにもらう(予定)だから」
「なに勝手なこと言ってるんだァァ!!」
いや、もう決まってることだからさ、俺の中で。
「そんなんアンタの勝手な妄想でしょ!?
絶対さんの許可取ってねーだろオイ!!」
「いや取るって、これから」
「これからかいィィ!!」
ちっ、これだから新八はうるさくて敵わねーよ。
「……と、とにかく、そんなに気になるんなら
さん本人に聞いてみればいいんじゃないですか?」
「それが出来れば苦労しねーんだよダメガネ」
「誰がダメガネだ」
「しょーがないアルな、私が代わりに聞いてきてやるヨ!」
「お、オイ!」
頼むから余計なことしないで、神楽ちゃん!
銀さんの一生のお願い!!
「〜」
「あ、神楽ちゃん。どうかした?」
「、最近楽しそうネ。何かあったアルか?」
「え?」
神楽ァァ!!
めちゃくちゃ単刀直入なんですけどォ!?
「男でもできたアルか?」
余計な一言加えやがったしよォ!!
「なんか神楽ちゃんめちゃくちゃ聞いてるけど、
スッキリしてて逆にいいんじゃないですか」
「何言ってんだテメー、スッキリしすぎだよ
もうちょっと遠回しに行くべきだよホントは」
「やだなぁ神楽ちゃん、そんなんじゃないよ」
「じゃあ、なんでヨ?」
「うん、ちょっと仕事が上手くいってるから嬉しくて」
「仕事?」
「そうだよ」
な、なんだ仕事かよ……。
「銀さん、明らかにホッとしてますね」
「うるせーよ」
「(銀さんって、さんのことが本気で好きみたいだなァ……)」
「なーんだ、つまらないネ」
つまらなくねーよ、むしろそっちの方がいいよ!!
「ご期待に添えなくてごめんね(笑)
ところで神楽ちゃん、一緒にお散歩しない?」
「散歩アルか?」
「うん。今日は天気もいいし……
それと、に渡すものがあるから
途中で真選組の屯所にも寄ってこようと思って」
え? 何?
のやつ、またあのムサいトコに行くの?
「との散歩はすごく行きたいけど、屯所は嫌ヨ」
「えっ、なんで?」
「いけ好かない野郎がいるネ」
「そっか……(誰のことだろう?)」
「私の代わりに、あそこにいる銀髪を連れていくヨロシ」
…………は?
「銀さんを?」
「そうヨ、なんかさっき暇だって言ってたヨ」
「でも、銀さんも屯所は好きじゃないみたいだし……」
「が頼めば平気ネ」
「そうかなぁ……
(でも一人じゃつまらないし、お願いしてみようかな。)」
やべっ! がこっちに来る……!
「銀さん」
「おっ、おう、。どーした?」
「一緒にお散歩しない?」
「さ、散歩?」
「うん!」
つっても、途中であのムサい屯所に寄るんだよな?
俺もあそこは嫌いなんだよなァ……
でも、そーすっとが一人であそこに行くことになるし……
だーっ!! やっぱそれはダメだ!!
「よ、よし! 銀さん、と一緒に行こうかなァ〜」
「ほんと!?」
「あ、あァ」
「ありがとう、銀さん!」
あーもう、お前のその笑顔が見れるなら
屯所だろうが何だろうが、一緒に行ってやるよォ!!
「じゃあ、あたし出かける支度してくるね!」
「あ、あァ」
「…………」
はァ〜……。
「良かったアルな、銀ちゃん」
「神楽、お前……」
なんで……
「銀ちゃん、にホレてるアルな?」
「……!!」
って、なんでバレてんの?
「女の勘をナメるんじゃないヨ」
「女の勘ってお前……」
お前は“女”ってキャラじゃねーだろ。
「実は、僕もそうなのかなァって思ってたんですよ。
どうなんです、銀さん?」
新八にまでバレてるなんて俺、終わってね?
「教えてくれたっていいじゃないですか」
「いーや、やだね!」
「もう認めろヨ、バレバレだヨ」
「うるせェ!!」
「銀さん、お待たせ〜」
「あ、」
「それじゃあ、行こっか!」
「そ、そうだな。
じゃオメーら、留守番よろしくなァ〜」
のおかげで助かったな……。
「……チッ、逃げられたか」
「神楽ちゃん、キャラが変わってるよ……。
それにしても、やっぱり銀さんはさんのことが
好きなのかなァ?」
「そうに決まってるネ。
それなら、銀ちゃんがを故郷から連れてきたのも納得ヨ」
「それもそうだね」
『新八、神楽。オメーらに話がある』
「あのときの銀さん、珍しく真剣だったし……」
『これからココで一緒に暮らそうと思ってる子がいる。
……の姉ちゃんだ』
「それに、珍しく必死だったネ」
「うん……」
『には優しく接してやってくれ』
「私もが大好きヨ」
「うん……僕も、もう一人姉上がいるみたいで嬉しいんだよね」
「正直あの天パーにはもったいないけど
背に腹は変えられないヨ」
「……?」
「がずっとココにいるように、
それなりに銀ちゃんを応援してやるアル」
「そ、それなりにって神楽ちゃん」
『神楽ちゃん! 新八くん!』
「うん、まァ、僕も銀さんを応援しようかな……
…………それなりに」
「あんまり応援したら、が私らにかまってくれなくなるヨ」
「それはちょっと」
「まァ、あとは銀ちゃん次第ネ」
「そうだね」
「やっぱり天気がいいから、お散歩は正解だったね」
「そ、そうだなァ、うん」
なんとか逃げ切れたが、
明らかに新八と神楽にバレてるよね俺?
はァー……。
「まァ、別にいーけどよォ……」
「何が別にいいの?」
「えっ、あ、いや……何でもねーって」
「そうなの?」
「そうなの」
「……?」
きょとんとしてても可愛いなァ……
「銀さーん!」
「ん〜?」
ってのやつ、いつの間にあんなとこまで?
え? なんか速くね?
「おいしそうな苺大福があったから、買っちゃった(笑)
はい、銀さんにも!」
「おっ、サンキュー。銀さんコレ大好きなんだよ」
「それなら良かった!」
「……!」
まァ、確かにきょとんとしてたも良かったけど……
『銀さん!』
やっぱり笑顔が一番だよな。
隣で幸せそうに大福をほおばるを見つめながら、
俺はそんなことを考えていた。
To Be Continued...「第八話 紙一重の優しさと厳しさ」